個人再生で反対されるとどうなる?不成立となるケースと対処法

個人再生で債権者に反対された場合の対処法

個人再生では、債権者に反対されるケースはあります。

もっとも、実務上は多くなく、数%程度にとどまることが一般的です。

ただし、次のような場合は、反対によって手続が認められない可能性があるので注意する必要があります。

 

  • 特定の債権者が債務総額の大部分を占めている
  • 債権者数が少ない
  • 反対する傾向の会社が複数含まれている

 

これらに該当する場合、反対の有無が手続の成否に影響します。

 

この記事では、実務上よく問題となる「反対による不成立リスク」と、その具体的な回避方法について解説します。

この記事を読んでわかること

  • 大口債権者がいる場合、債権者が3社以下など少数の場合は、債権者の反対で個人再生が失敗するリスクがある
  • 会社の方針で個人再生に一律反対するケースもある
  • 反対が成否に影響する場合は、給与所得者等再生や自己破産も検討する

反対が問題となるのは小規模個人再生

個人再生には、以下の2類型があります。

手続きの種類 債権者の同意 対象者
小規模個人再生 必要 個人事業主・給与所得者いずれも可
給与所得者等再生 不要 給与所得者のみ

業者の反対が手続きの成否に影響するのは、小規模個人再生の場合です。

 

小規模個人再生では、次の2つの条件を両方満たした場合にのみ再生計画が認可されます。

  • 反対した債権者の数が、全債権者の半数未満であること
  • 反対した債権者の合計債権額が、全体の2分の1以下であること

 

積極的な賛成は必要ありません。

書面で反対を回答した債権者が上記の条件内に収まれば、同意があったとみなされます。どちらか一方でも条件を外れると、再生計画は不成立となります。

個人再生の基本的な仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。

個人再生とは?わかりやすく特徴やメリット・条件などを解説

個人再生に反対する業者・債権者の傾向

反対傾向のある業者は、ある程度傾向があります。

自分の借入先にどのような業者が含まれているかを把握することが、手続き選択の第一歩です。

以下に、債権者別に傾向を紹介します。

消費者金融・クレジットカード会社

消費者金融やクレジットカード会社は、反対する割合が比較的低い傾向にあります。ただし、一部の消費者金融・信販系会社は内部方針として反対するケースがあります。

 

特に注意が必要なのは、同一グループ内に複数の借入がある場合です。

代位弁済などにより同じ債権者になり合算が生じるケースがあるからです。

 

合算が生じる具体例

  • 楽天カード(クレジット)+楽天銀行カードローン(保証会社:楽天カード)→ 合算で高額になるリスクあり

 

このような合算が生じると、1社の反対だけで総債権額の過半数を超える状況になりえます。

信用保証協会・日本政策金融公庫

信用保証協会や日本政策金融公庫など政府系金融機関は、反対する傾向が比較的強い機関のひとつです。

 

債権額が高額な場合は、事前に方針を確認することが重要です。

友人・知人などの個人債権者

友人や知人からの借金が手続の対象に含まれる場合、感情的な理由から反対するケースや、手続きの仕組みを理解していないために反対する意思を示すこともあります。

 

事前に状況を説明し、協力をお願いしておくことをお勧めします。

業者が個人再生に反対する理由

業者が反対する理由は、単に「回収額が減る」という理由だけではありません。

最近では、会社としての方針が影響するケースもあります。

回収額が少なくなるため

個人再生が認可されると、債務は原則として5分の1(最低100万円)まで圧縮されます。

具体例

  • 借金500万円 → 返済額100万円(200万円の債権者は40万円しか返済されない)
  • 借金400万円 → 返済額100万円(100万円の債権者は25万円しか返済されない)

 

業者にとっては、本来回収できるはずの金額が大幅に減少します。

回収額の減少を避けたいという理由が、反対の理由になります。

返済能力が高いと判断される場合

収入や資産の状況から「任意整理で返済できるはずだ」と業者が判断した場合、反対するケースがあります。

 

個人再生を選ぶケースのほとんどは、任意整理では返済が困難な状況です。

しかし、業者側から見て返済能力に余裕があると判断される場合は、「減額は不当だ」として反対の意思を示すことがあります。

ほとんど返済実績がない場合

借りたばかりで全く返済せずに手続きを始めたなど、返済実績がほとんどない場合、業者が「返済意思なく借り入れた」と判断して反対するケースがあります。

業者の内部方針

個別の事情に関係なく、会社の内部方針として個人再生に反対することを一律の対応としている業者も存在します。

 

このような業者の場合、交渉の余地はありません。

債務整理専門の事務所は、反対傾向のある業者をあらかじめ把握しています。

特に大口の債権者が含まれる場合は、依頼前に方針についてよく相談することが重要です。

個人再生が不成立となる典型的なケース

債権者の反対があっても必ず失敗するわけではありません。

反対した業者の数と金額が一定の条件内に収まれば、手続は成立します。

 

問題になるのは、特定の条件が重なった場合です。

どのような状況で失敗しやすいかを解説します。

債権者の半数が反対した場合

債権者の数が少ない場合、1〜2社の反対だけで手続が不成立になる可能性があります

 

『具体例』

債権者4社・債務総額600万円の場合

内訳:A社310万円、B社100万円、C社90万円、D社100万円

 

反対の状況

C・Dの2社(計190万円)が反対 → 4分の2(半数)以上の反対で不成立

債権額で2分の1以上が反対した場合

金額の大きい業者が1社が反対するだけで不成立になることもあります。

 

上記の例では、A社(310万円)が1社だけ反対しても不成立となります。

A社の債権額310万円が総額600万円の過半数(50%超)を占めるためです。

大口債権者の意向に注意する

上記の様に、大口債権者が1社で総債権額の50%超を占めている場合、その1社の反対だけで「債権額ベースの2分の1超」の条件に抵触します。

 

よく見られるケース

  • おまとめローンを利用して1社に残高が集中しているケース
  • クレジットカードと銀行カードローンの保証会社が同じで、合算後に過半数を超えるケース(楽天カードなど)

 

このような構成の場合、小規模個人再生ではなく給与所得者等再生の選択も検討する必要があります。

個人再生に反対されないためにできること

反対リスクは、事前に確認・対策することである程度回避できます。

手続を進める前に確認すべき事項を紹介します。

大口債権者の影響(意向)を事前に確認する

債務整理を専門にしている事務所であれば、ある程度債権者の反対の傾向を把握しています。

そのため申立前に、反対しそうな業者に対して、事前に意向を打診することで失敗のリスクを下げることが可能です。

 

特に下記の様なケースでは申立前に債権者の意向を確認することが重要です。

  • 1社で50%超となる業者がいる
  • 反対傾向のある業者が含まれている
  • 債権者が4社以内など少数

このような場合は、特に反対されると個人再生が認められない可能性が高いケースです。

反対される可能性が高い場合は、次の対処法を検討しましょう。

業者に反対された(反対されそう)場合の対処法

個人再生の申立て前に大口債権者の意向を確認し、反対で否決されることが予想される場合は、小規模個人再生ではなく、次のような手続きに変更することを検討します。

  • 給与所得者等再生(多数決がない)
  • 自己破産
  • 任意整理

給与所得者等再生に切り替える

小規模個人再生で反対されて認可されないことが予想される場合、給与所得者等再生として申立を行う方法があります。

給与所得者等再生は債権者の同意が不要です。

 

ただし、次の点に注意が必要です。

  • 返済総額が増える可能性がある
  • 可処分所得の2年分が最低返済額に加算される
  • 個人事業主は利用できない(給与所得者のみ対象)

任意整理や自己破産への変更を検討する

給与所得者等再生も利用できない場合や、返済額が大幅に増えてしまう場合は、次の選択肢を検討します。

 

任意整理

任意整理は、弁護士や司法書士が債権者と交渉し、「将来発生するはずの手数料(利息)をカット」してもらう手続きです。

残った借金を3~5年程度で分割返済するのが一般的です。

ただし、元金は減らない手続のため、月々の返済額は個人再生と比較すると高くなります。

 

自己破産

自己破産は、全ての借金の支払い義務を免除してもらう裁判所の手続きです。

高額な財産は手放すことになりますが、返済はなくなります。

どちらの個人再生も利用できない場合に、有力な解決策です。

小規模個人再生と給与所得者等再生の違い

債権者の反対で個人再生の失敗が予想される場合は、小規模個人再生ではなく給与所得者等再生を選択する解決法があります。

小規模個人再生は債権者の同意が必要

小規模個人再生は、個人再生を利用する方の統計上約9割が選択する手続きです。

 

再生計画が認可されるには、反対する債権者が頭数・債権額の下記条件内に収まる必要がありますが、本来は給与所得者等再生を利用できる方でも、返済額を抑えられるケースが多いため小規模個人再生が選ばれます

 

認可の条件

  • 反対した債権者の数が全債権者の半数未満
  • 反対した債権者の合計債権額が全体の2分の1以下

給与所得者等再生は同意不要だが返済額が増える

給与所得者等再生では債権者の同意は不要です。

 

ただし、最低返済額の算定に「可処分所得の2年分」という要件が加わります

 

●可処分所得とは?

年収から税金・社会保険料・民事再生法上の最低生活費を差し引いた金額です。

 

この要件が加わると、小規模個人再生より最低返済額が上がるケースがほとんどです。

そのため、給与所得者等再生を利用する方は少数ですが、小規模個人再生で大口債権者の反対が予想される場合は、給与所得者等再生を選択します。

どちらを選ぶべきかの判断基準

状況 手続き
反対リスクがない、または低い 小規模個人再生
大口債権者が反対する見込みがある 給与所得者等再生
個人事業主 小規模個人再生のみ選択可

事例紹介

大口債権者の反対が予想され、給与所得者等再生に切り替えて解決したFさん(35歳・会社員)の事例です。

 

年齢・職業:35歳・会社員

手取り収入:月平均30万円

家族構成:妻(パート月6万円)・子1人

債務総額:480万円(住宅ローンなし)

内訳:銀行カードローン3社:230万円 / クレジットカード1社:250万円

資産:なし

相談の経緯

Fさん夫婦は、今後の子供の教育費増加を見据えて個人再生での解決を希望していました。

複数の事務所で無料相談を受けた結果、任意整理では月々90,000円の返済が必要であるのに対し、個人再生では月々約30,000円弱になるとの説明を受けていました。

 

ただし、1社250万円のクレジットカード会社が「反対する可能性がある」という説明を複数の事務所から受けており、消極的な事務所もあったとのことです。

当事務所での対応

当事務所に相談いただき確認したところ、250万円の会社は反対する傾向のある信販会社でした。

 

小規模個人再生の場合、最低返済額は100万円(3年払いで月約28,000円)となります。

一方、給与所得者等再生の場合、Fさんの可処分所得を計算すると年約80万円・2年分で約160万円となり、最低返済額は160万円(3年払いで月約45,000円)となります。

 

当事務所では、申立時に当該債権者へ事前に意向確認を行うことを提案しました。

会社によっては、事前確認に対して次のような回答が得られます。

  • 「回答しません」
  • 「反対します」
  • 「反対しません」
  • 「返済額がこの基準以上なら反対しません」

 

申立前に、債権者に意向を確認したところ「反対します」との回答でした。

結果

小規模個人再生を断念し、給与所得者等再生で申立を行いました。

3年返済では生活が厳しいため、「特別な事情」を理由に5年返済の再生計画案を作成しました(特別な事情による5年延長は比較的認められやすいケースです)。

 

無事に給与所得者等再生が認可され、160万円を月々27,000円・5年払いで返済する計画がスタートしました。

ポイント

  • 大口債権者が反対傾向の業者だと判明した時点で、給与所得者等再生への切り替えを検討する
  • 申立前に債権者の意向を確認する
  • 5年返済を検討し、月々の返済額を返済可能な水準に抑えた

まとめ

個人再生における業者の反対による失敗は、可能性はありますが過度に心配する必要はありません。

 

反対で個人再生が認められないケースは、小規模個人再生において、全債権者の半数以上が反対、または、債権額で全体の2分の1を超える債権者が反対した場合です。

 

債権者数が2〜4社など少ない場合や1社で総債権額の半数以上を占める大口債権者がいる場合、反対傾向のある業者が複数含まれる場合に事前に対策を立てることで回避できます。

 

債権者の反対で認められない可能性がある場合は、給与所得者等再生に切り替える、任意整理に切り替える、自己破産を検討する方法もあります。

 

司法書士法人黒川事務所では、個人再生・任意整理・自己破産に関する無料相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。

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この記事の執筆者

執筆者 司法書士黒川聡史

黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)

東京司法書士会所属:登録番号第4230号

簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号

行政書士(登録番号第19082582号)

ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)

経歴: 平成19年に個人事務所を開業。債務整理を中心に12,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動

著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある

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