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個人再生とは、裁判所を利用して借金を減額する手続きです。
お住まいの地域の地方裁判所に申立て、借金の一部(概ね5分の1)を原則3年間で払うことを条件に、残りの借金返済を免除してもらう債務整理の手続きの1つです。
個人再生は、元金までも減額できる手続きで、借金の額が高額な方に大きなメリットがあります。また、住宅ローンを組んでいる方でも住宅を残す手続きもあります。
個人再生を検討するなら最低限おさえておくべき5つのポイント
目 次(更新:2025年10月28日)
1. 個人再生とは?
2. 個人再生のメリット
3. 個人再生のデメリット
7. 個人再生の2つの種類
8. 個人再生の最低弁済額
11. 個人再生手続きの流れ
12. 個人再生の必要書類一覧
13. 個人再生と他の手続きの違い
個人再生のメリット
個人再生は、同居している家族に内緒で手続きするのは難しいです。
じつは、家族に内緒で手続きできるか?は家族と「同居しているか」「別居しているか」で変わってきます。
まず、同居の家族に内緒で個人再生をするのが難しい理由は、裁判所に提出する書類に、同居の家族の収入証明や財産に関する書類の提出が必要なケースが多くあるからです。
また、同居している家族全体の家計収支表も提出しますが、作成にご家族の協力が必要になります。
逆に、別居している両親などのご家族には内緒で手続きを進められる可能性は高くなります。
同居の家族のような書類提出に関する協力がないからです。
個人再生をしても家族に迷惑はかかりません。
たとえば、家族がローンを組めない・家族のクレジットカードが止まるなどということはありません。
もちろん、原則:家族の財産(貯金など)が処分されることもありません。
家族が借金の保証人になっている場合は、個人再生をすると保証人である家族に迷惑がかかります。
個人再生はすべての債権者を対象にする必要があるので、保証人付きの借金を手続きから除外することができません。
最も多いのが家族(親)が奨学金の保証人になっているケースです。
この場合に個人再生をすると保証人である親に請求がいくことになりますので、これを避けるには任意整理しか方法がありません。
個人再生をしても勤務先の会社にバレませんし、影響もありません。
個人再生の必要書類には退職金見込額の証明書など会社が発行する書類がありますが、就業規則などで代替できるケースも多いのでそれほど心配ありません。
また、自己破産と違い個人再生は手続きをしたら職を失うという職業制限はありません。
勤務先の会社から給料前借りなどお金を借りていると勤務先の会社が債権者になります。
そうなると、勤務先も債権者として個人再生の債権者の一覧に乗せることになりますので会社にばれますし、迷惑をかけることになります。
給料天引きで勤務先の借金を返済している場合は、天引きを止めてもらう必要もでてきます。
勤務先からの借り入れがある場合は、個人再生の手続に加えて勤務先の借り入れも減額した金額を支払って行くことになります(除外して手続きをすることはできません)。
①借金総額が5,000万円を超えている
個人再生を利用できるのは、借金の総額が5,000万円以下の場合です。
ただし、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用する場合、その住宅ローンの残額は5,000万円の計算に含めません。したがって、「住宅ローンを除いた他の借金」が5,000万円を超えているかどうかで判断されます。
②継続した収入がない・収入が不安定
個人再生は、自己破産(借金が原則ゼロになる)とは異なり、減額された借金を原則3年(最長5年)かけて返済し続ける必要があります。
そのため、「将来にわたって継続的・安定的な収入を得られる見込み」が必須条件です。
収入があまりにも不安定であったり、家計の収支(収入から生活費などを引いた額)が、減額後の返済予定額を下回ってしまったりする場合は、「返済能力なし」と判断され、手続きは認められません。
③多額の財産を持っている(返済額が減らない)
個人再生では、自己破産のように財産を強制的に処分されることはありません。
しかし、個人再生には「自分が持っている財産の総額(清算価値)以上は、最低でも返済しなければならない」という重要なルール(清算価値保障の原則)があります。
そのため、もし借金額よりも財産額の方が多い場合、借金は一切減額されず、個人再生を利用する意味がなくなってしまいます。
個人再生は債権者に反対されて失敗することはないのでしょうか?
個人再生には2種類の手続き(小規模個人再生と給与所得者等再生)があり、ほとんどのケースで小規模個人再生が利用されています。
この場合は再生計画について債権者の同意が必要になります。
(正確には同意とは逆で、同意しない債権者が債権者数(頭数)で半数以上いる、または、同意しない債権者の債権額が総債権額の2分の1を超えるケースで個人再生が認められません)
たとえば下記のような反対があった場合は個人再生が認められません。
多くの債権者は個人再生の積極的に反対するという姿勢はとっていませんので個人再生が反対されて認められないケースは稀です。
ただし、一部の債権者が積極的に不同意の姿勢をとります。
この会社が総債権額の半数以上の金額を占めている場合は、小規模個人再生ではなく給与所得者等再生手続きを利用します。
給与所得者等再生では債権者の同意は不要です。
では、最初から同意が必要のない方にすれば?と思われますが・・・
同意の必要のない給与所得者等再生は、同意が必要な小規模個人再生よりも返済額が大幅に上がる可能性があるという難点があります。
個人である債務者のうち、将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあり、かつ、住宅ローン以外の借金の総額が5000万円を超えない方が対象です。
小規模個人再生手続の要件に加え、給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みのある人、かつ、その変動の幅が小さいと見込まれる方が対象です。
※給与所得者等再生手続を利用できる方は小規模個人再生手続を選択することもできます。
給与所得者等再生手続では、返済額を決定する際に、小規模個人再生手続の要件に加え可処分所得の2年分という要件が追加されます。
例えば、独身で収入が多い方などは、給与所得者等再生手続にすると可処分所得が高額になり、小規模個人再生手続よりも返済額が高額になってしまいます。
このような場合は、給与所得者等再生手続を利用できる方は小規模個人再生手続を選択することもできますので、小規模個人再生手続を選択したほうが返済額は少なくてすむことになります。
ただし、小規模個人再生手続では、債権者の反対によって再生計画案が認められないこともあります。これに対し給与所得者等再生手続では、債権者による再生計画案の決議がありませんので、認可される可能性は高いといえます。
現在では、一部の会社で小規模個人再生手続の際に反対する傾向があります。
反対する可能性がある会社が過半数を占めている場合は、給与所得者等再生手続を選択することもあります。
| 債務総額 | 個人再生後の返済基準額 | 備考 |
| 100万円未満 | 全額 | この金額だと手続きをするメリットがない |
| 100万円以上500万円以下 | 100万円 | この金額帯の依頼は多い(ただし、費用を考慮すると250万円くらいからがメイン) |
| 500万円を超え1500万円以下 | 5分の1 | この金額帯の依頼は減額のメリットが大きいので個人再生が一番有効 |
| 1500万円を超え3000万円以下 | 300万円 | 個人の方の債務額としてはあまりない金額帯 |
| 3000万円を超え5000万以下 | 10分の1 |
給与所得者等再生手続きを利用する場合は、可処分所得の2年分という要件が追加されます。
これは、最近2年間の収入額から所得税・住民税・社会保険料を控除した額を2で割った額から、1年分の本人と被扶養者の最低限度の生活費(算出方法は政令で定められています)を除いた額の2年分は返済しないといけないということです。
この可処分所得の2年分が高額になる場合が多いという問題点があります。
上記の最低返済額の基準以外にも、清算価値保障原則というルールもあります。
これは仮に個人再生ではなく自己破産した場合に、財産を処分して債権者に分配できる金額を最低返済額が下回ってはいけないというルールです。
借入期間が短く利息制限法で再計算しても、「4,250,540円」の借金が残る
「4,250,540円」を3年~5年で返済 毎月7万~10万円必要
「1,000,155円」を3年で返済 毎月28,000円の返済
| 任意整理だと | 個人再生だと | |
|---|---|---|
| 消費者金融A | 499,287円 | 117,483円 |
| 消費者金融P | 2,474,898円 | 582,344円 |
| 信販会社J | 380,764円 | 89,594円 |
| 信販会社M | 736,584円 | 173,319円 |
| 消費者金融S | 159,007円 | 37,415円 |
| 合計 | 4,250,540円 | 1,000,155円 |
ショッピングの債務が多く、また、キャッシングの借入期間も短く利息制限法で再計算しても、「5,059,314円」の借金が残る
「5,059,314円」を3年~5年で返済 毎月8万~13万円必要
「1,080,167円」を3年で返済 毎月3万円の返済
| 任意整理だと | 個人再生だと | |
|---|---|---|
| 消費者金融A | 446,591円 | 95,348円 |
| 消費者金融P | 293,653円 | 62,695円 |
| 消費者金融C | 552,689円 | 118,000円 |
| 消費者金融M | 554,317円 | 118,347円 |
| 信販会社N | 1,706,636円 | 364,367円 |
| 信販会社O | 1,209,248円 | 258,175円 |
| 信販会社I | 296,180円 | 63,235円 |
| 合計 | 5,059,314円 | 1,080,167円 |
住宅ローンがある個人再生を検討する際にまず確認すべきこと。
住宅ローンの残債務(残高表や金融機関に確認)
現在の住宅の価値(複数の不動産屋さんに簡易査定をしてもらうなど相場を調べる)
もし、住宅の価値が住宅ローンの債務残高より高額な場合(アンダーローン)は、差額が資産とみなされ、その額まで最低返済額が上がることになります(清算価値保証原則)。
たとえば、住宅ローン2000万円で住宅の価値2300万円・カードローンの債務額500万円なら個人再生をすると通常500万円の5分の1で100万円になるところが、住宅の価値と住宅ローンの債務残高の差額の300万円にしか圧縮できない。
2300万円ー2000万円=300万円(資産)
500万円→300万円(まで圧縮)
つまり、住宅ローンの残債務<住宅の価値の場合は債務がそれほど圧縮できないことがあり、個人再生のメリットが薄くなる。
もしくは個人再生を利用する意味がなくなるケースがあります。
●弁護士に依頼した場合の費用相場
弁護士費用は、多くの場合「着手金」と「成功報酬」で構成されます。
費用の相場:約50万~60万円(税別)
(内訳例:着手金30万円程度 + 成功報酬20万~30万円程度)
※住宅ローン特則(自宅を残す特則)を利用する場合は、さらに費用が加算される傾向があります。
●司法書士に依頼した場合の費用相場
司法書士の費用は「書類作成費用」や「基本報酬」などと呼ばれ、弁護士のような成功報酬は無いのが一般的です。
費用の相場:約30万円前後(税別)
※弁護士と同様、住宅ローン特則を利用する場合には費用が加算されます。(当事務所も住宅ローン特則を利用される場合は加算させていただいております)
次に司法書士事務所である当事務所の費用を紹介します。
| 着手金 | なし |
|---|---|
| 報酬 | 住宅ローンなし298,000円 (税込327,800円) 住宅ローンあり348,000円 (税込382,800円) |
| 通信・交通費等の実費 | 10,000円 |
| 裁判所に支払う費用 | 管轄による(詳しくはこちら) |
上記報酬は、受任から申立てまでの間に積立(分割)でお支払い頂くことが可能です。
※債権者が10社以上の場合は税込33,000円を加算させていただきます。
手続費用や裁判所の実費・再生委員の報酬など考慮すると最低でも35万円~60万円前後かかりますので、それでも大幅に債務が圧縮されるという方にはメリットがあります。
個人再生の手続きでは、弁護士や司法書士に支払う報酬とは別に、裁判所へ「予納金(よのうきん)」を納める必要があります。
特に注意が必要なのが、裁判所が「個人再生委員」を選任した場合にかかる再生委員の報酬(15万円~25万円程度)です。
弁護士に依頼した場合: 弁護士が代理人となるため、再生委員が選任されない裁判所もあります。ただし、東京地裁のように、弁護士がついていても原則として再生委員が選任され、予納金(約15万円)が必要となる裁判所もあります。
司法書士に依頼した場合: 司法書士は「代理人」ではないため、関東の裁判所では、手続き監督のために個人再生委員の選任を必須とする運用が主流です。 その結果、司法書士費用(約30万円)に加えて、再生委員の報酬(15万~25万円)が別途発生するケースが多くなります。
個人再生の手続きについて説明します。
(手続き費用の積立方法を決めたり、集めていただく書類をご案内します。)
債権者に対して受任通知を発送します。
この通知が債権者に届くと、債権者からの取立てがストップします。
そして、債権者への返済もストップします(住宅ローンはそのまま支払いを継続します)。
債権者への返済はストップしていますので、そのかわり当事務所の費用と裁判所の費用を分割で積み立てていただきます。
(費用の分割払いの期間の目安は約半年くらいです)
そして、申し立てに必要な書類を集めていただきます。
(源泉徴収票、保険証券のコピー、通帳2年分のコピー、賃貸契約書等)
必要に応じて面談を行ったり、郵送や電話で書類の確認や打ち合わせを行います。
書類の準備が整ったら、管轄の地方裁判所に個人再生の申立てを行います。
※司法書士が書類作成し、東京地方裁判所に申立てた場合
1.再生委員が選任される
※東京地裁の場合、裁判所が必ず再生委員(都内の弁護士)を選任します。再生委員に対して支払う報酬は25万円(毎月分割で再生委員に対して振込みます)。
2.個人再生委員と面談
※再生委員の事務所で行われます。必ず申立人本人が出席します。
3.再生手続開始決定(これ以降の手続きは依頼している事務所が行います)
4.債権の確定
5.再生計画案を提出
6.債権者の書面決議または意見聴取
・小規模個人再生手続・・・債権者の同意が必要
(再生計画案に同意しない旨を書面で回答した債権者が、債権者総数の過半数に満たず、総債権額の2分の1を超えない場合に、同意となります。)
・給与所得者等再生手続・・・債権者の意見聴取
7.再生計画の認可・不認可
再生計画案が認可され確定すると、債権者への3年間の返済が始まります。
手続にかかる期間の目安は申立てから約6ヶ月〜9月程度(ご依頼からは、返済開始するまでは、約1年程度かかります)。
個人再生は裁判所を利用した手続きになるため、収入や資産に関する必要な書類が多くあります。ここでは代表的な書類を紹介します。
役所で取得する書類
居住関係の書類
収入や勤務先関係の書類
預貯金関係の書類
保険関係の書類
自動車関係の書類
不動産関係の書類
家族や会社にバレたくないので集められないというケースもあります。
代替書類として認められるものあるので、依頼している弁護士や司法書士に相談しましょう。
たとえば、源泉徴収票の代わりに課税証明書、退職金見込額証明書の代わりに就業規則の退職金規定など代用が可能です。
ただし、家族に内緒にだからどうしても必要な書類を揃えられないという場合は、個人再生の手続きは進められません。
必要書類を揃えられない場合は、任意整理を検討するのも一つの方法です。
個人再生は裁判所を利用した手続きなので、必要な書類も多く手続きも厳格です。そのかわり借金はおおむね5分の1に減額されます。
これに対し任意整理は、裁判所を利用せず話し合いで解決する手続なので、メインの手続きは今後の利息をカットしてもらい3年~5年の分割払いにしてもらいます。
個人再生と任意整理を比較すると個人再生の方が借金自体が減額される分、手続後の返済はだいぶ楽になります。
| 任意整理 | 個人再生 | |
|---|---|---|
| 債務の圧縮 | グレーゾーン金利でキャッシング取引をしている場合のみ減額 | 概ね5分の1に減額できる |
| 対象にする債権者 | 一部の債権者の除外も可 | 全ての債権者を対象 |
| 手続き | 債権者との話し合い | 裁判所を利用した手続き |
自己破産も個人再生と同様に裁判所を利用した手続きなので、必要な書類も多く手続きも厳格です。
共に同じような必要書類を集めて裁判所で手続きをしますが、自己破産の場合は全額免除されるので、手続後の返済を考慮すると自己破産の方が楽になります。
残すべき財産が無い場合や自己破産に抵抗が無い場合は、自己破産の方がメリットがあります。
ただ、免責不許可事由や職業制限がある方で自己破産できない方は、個人再生を利用するケースは多くあります。
また、個人再生は財産の処分がないため、住宅や車など財産も残せる可能性もあります。
| 個人再生 | 自己破産 | |
|---|---|---|
| 債務の圧縮 | 概ね5分の1に圧縮できる | 全額免除 |
| 住宅 | 住宅ローンがあっても残すことができる | 住宅は処分される |
| 資格制限(生命保険募集人や宅建士・警備員など) | なし | あり |
| 免責不許可事由(ギャンブルや浪費など) | 問題にならない | 問題になる |
司法書士は弁護士と違い個人再生手続きの代理権がありませんので、代理人として活動することはできません。
司法書士ならではの丁寧な対応を心がけます!
担当者からのお約束!
黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)
東京司法書士会所属:登録番号第4230号
簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号
行政書士(登録番号第19082582号)
ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)
経歴: 平成19年に個人事務所を開業。債務整理を中心に12,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動
著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある
企業理念は『あなたの借金問題解決を低料金でサポートしたい!』です。
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司法書士法人黒川事務所
代表者 黒川聡史
東京司法書士会所属
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