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個人再生の流れと期間:相談から返済開始までの具体的なスケジュールを解説

個人再生申し立ての流れと期間

個人再生の手続きには、司法書士や弁護士への依頼から最終的な返済(再生計画に基づく支払い)がスタートするまで、概ね1年から1年半の期間を要します。

 

個人再生は、借金を大幅に減額できる手続きですが、任意整理と比較して手続きが複雑であり、裁判所が定めた期限(スケジュール)を厳格に守らなければなりません。

 

期限を徒過した場合、手続き自体が廃止(失敗)となるため、全体の流れを正確に把握しておくことが重要です。

 

本記事では、相談から手続き完了までの具体的なスケジュールと、各段階における必須事項について、実例を交えながら詳しく解説します。

この記事を読んでわかること

  • 個人再生の申立てまでの準備期間(必要書類と費用積立)は6か月~10か月程度かかる
  • 個人再生の申立て~認可決定までの期間(裁判所手続き期間)は、6か月~8か月かかる
  • 依頼から手続き完了まで1年~1.5年かかり、その後3年間返済をする

個人再生の期間(スケジュール)の全体像

個人再生の手続き期間は、大きく「申立て前の準備期間」と「裁判所での手続き期間」の2つに分類されます。

  期間の目安 主な内容
① 準備期間(申立前) 約6ヶ月〜10ヶ月 専門家との面談、受任通知の発送(返済停止)、必要書類の収集、費用の積立(分割払い)
② 裁判所手続き期間 約6ヶ月〜8ヶ月 裁判所への申立て、個人再生委員との面談、開始決定、債権額の確定、再生計画案の提出、認可決定
③ 返済期間 原則3年(最長5年) 裁判所に認可された減額後の金額を、各債権者へ分割で返済する

※裁判所の管轄(お住まいの地域)や、事案の複雑さによって期間は変動します。

【具体例】個人再生の手続きの流れとスケジュール詳細

全体の流れを理解しやすくするため、一般的な事例(Aさんのケース)に沿って解説します。

 

【事例の前提条件】

  • 申立人:Aさん(50代男性・都内在住・手取り月収30万円)

  • 債務状況:住宅ローン残高2,300万円 + その他の債務(カードローン等)500万円

  • 管轄裁判所:東京地方裁判所

  • 目的:住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用し、自宅を維持したまま他の債務を圧縮する

ステップ1:無料相談と状況の整理(1ヶ月目)

Aさんから債務状況を伺い、一緒に解決策を検討します。

当初は「任意整理」をご希望でしたが、500万円を任意整理した場合、毎月の返済額は約9万円となります。

今後の家計状況(教育費等の負担)を考慮すると、履行可能性(継続して返済できる見込み)が低いという判断になります。

 

そこで、債務を約5分の1(100万円)に減額でき、毎月の支払いを約2万8000円に抑えられる「個人再生」を方針として検討することになりました。

ステップ2:住宅の価値の確認(1ヶ月目)

住宅ローン特則を利用する場合、事前に必ず確認すべきことがあります。それは「住宅ローンの残債務額」と「住宅の現在の査定価値」の比較です。

 

  • 銀行にて住宅ローンの残高証明書を取得(結果:2,300万円)

  • 不動産会社に簡易査定を依頼(結果:約2,000万円)

 

査定額よりもローン残高が上回っている状態(アンダーローン)であることが確認できたため、清算価値保障原則による最低返済額の制限を受けず、個人再生が利用できることが判明しました。

ステップ3:依頼と返済の停止・費用の積立開始(1ヶ月目〜7ヶ月目)

当事務所との間で書類作成業務の委任契約を締結します。

直ちに各債権者へ「受任通知」を発送し、カードローン等の返済をストップしますす。(※住宅ローンのみ、これまで通り単独で返済を継続します)。

 

返済が停止している期間(約6ヶ月〜8ヶ月)を利用し、以下の2点を行います。

 

  • 費用の積立

専門家への報酬および裁判所へ納める予納金(個人再生委員の報酬等)を、毎月分割で当事務所の指定口座へ積み立てていただきます。

 

  • 必要書類の収集

過去2年分の預貯金通帳のコピー、給与明細、源泉徴収票、保険証券、退職金見込額証明書など、裁判所に提出する資料をご準備いただきます。

ステップ4:裁判所へ個人再生の申立て(8ヶ月目)

書類の準備と費用の積立が完了した段階で、管轄の地方裁判所へ個人再生の申立てを行います。

同時に、住宅ローンの支払いを継続するための「住宅資金貸付債権の一部弁済許可の申立て」も実施します。

※司法書士に依頼された場合、裁判所への書類提出等は当事務所が代行・サポートします。

ステップ5:個人再生委員との面談と予納金の納付(8ヶ月目〜9ヶ月目)

東京地方裁判所などの一部の管轄では、中立な立場で手続きを監督する「個人再生委員(地域の弁護士が選任されます)」が選任されます。

 

申立後、Aさんは個人再生委員の事務所へ赴き、面談を行います(多くの場合、担当の司法書士も同席します)。

ここで、申立てに至った経緯や家計の状況や財産の状況を説明します。

また、東京地裁の場合は、個人再生委員の報酬(15万円、司法書士の場合は25万円)を、指定された口座へ分割で振り込みを開始します。

ステップ6:再生手続開始決定と債権額の確定(9ヶ月目〜10ヶ月目)

再生委員との面談の結果、再生委員から裁判所に「棄却事由が認められないので、再生手続を開始するのが相当である」との意見書が提出されると、再生手続開始決定がでます。

開始決定がでるとその旨が官報に掲載されます。

 

また、申立の際に、債権者一覧表も提出しています。

債権額に争いのない債権者は債権届出を提出する必要はありませんが、争う意思のある債権者は、債権届出期限までに債権届出書を裁判所に提出します。

その届出られた債権額に対してこちらが債権認否一覧表を提出して債権額が確定します。

ステップ7:再生計画案の作成と提出(11ヶ月目〜12ヶ月目)

確定した債権額に基づき、「いくらを・どのように返済していくか」を記載した「再生計画案」を作成し、裁判所へ提出します。

 

再生計画案の提出には厳格な期限が設定されており、1日でも遅過すると手続きは強制的に廃止されます。

ステップ8:書面決議と再生計画の認可決定(13ヶ月目〜15ヶ月目)

小規模個人再生の場合、提出した再生計画案に対して債権者の書面決議が行われます。

「反対する債権者が総数の半数未満、かつ、反対する債権者の債権額が総額の2分の1以下」であれば可決要件を満たします。

 

要件を満たし、個人再生委員からの最終的な同意意見が提出されると、裁判所より「再生計画認可決定」が下されます。

官報掲載から2週間を経て、この決定が法的に確定します。

ステップ9:再生計画に基づく返済のスタート(16ヶ月目〜)

認可決定が確定した月の翌月(または指定された期日)から、再生計画に基づく原則3年間(36回)の返済がスタートします。

 

Aさんの場合、500万円あった借金が法的に100万円に減額され、毎月約2万8,000円を3年かけて返済していくことになります。

これにより、住宅を維持したまま、教育費等の必要な支出を確保し、現実的な生活再建を図ることが可能となりました。

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この記事の執筆者

執筆者 司法書士黒川聡史

黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)

東京司法書士会所属:登録番号第4230号

簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号

行政書士(登録番号第19082582号)

ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)

経歴: 平成19年に個人事務所を開業。債務整理を中心に12,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動

著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある

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東京司法書士会所属
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