任意整理どこがいいか口コミで探して大丈夫？

任意整理を検討するとき、インターネットで「どこがいいか」と口コミを探すのは、ごく自然な行動です。

洋服や家電を選ぶのと同じように、実際に利用した人の声は非常に参考になります。

しかし、こと債務整理に関しては、その口コミやランキングサイトを鵜呑みにするのは大変危険です。

なぜなら、その多くが広告収入を目的とした、必ずしも中立とは言えない情報だからです。

この記事では、本当に信頼できる口コミを見極める方法と、口コミを参考にしつつも、最終的に自分に合った事務所を見つけるための重要なポイントを解説します。

「任意整理 おすすめ」などで検索して出てくるランキングサイトは、その多くがアフィリエイト報酬を目的としているため、鵜呑みにするのは危険です。

ネットで検索すると数多くの事務所があり、「どこに依頼したらいいかわからない」と悩むと、ついランキングに頼りたくなります。

しかし、2023年10月からステルスマーケティングに対する法規制が実施され、クチコミやランキングサイトを装った広告が「景品表示法上の不当表示の対象」になり、「プロモーション」「広告」「PR」という表記が必要になりました。

サイトをよく確認していただくと「広告」である文言が確認できます。

現時点で口コミで一番信用できるのが、グーグルマップの口コミです。

これは広告によって作られたものではなく、悪い口コミがそのまま掲載されています。

通常の口コミサイトの多くは、良い口コミだけを掲載していますが、グーグルマップは良い口コミだけでなく、悪い口コミもそのまま掲載されます。

そのため、事務所側は悪い口コミを隠蔽することができず、探している人はより正確な情報を得ることができます。

悪い口コミばかりというのは、問題があるとは思いますが、一定数は悪い口コミもあるでしょう。

お互いに感情のある人間なので、致し方ない面もあります。

（もちろん当事務所も下記で紹介しているようにあります。）

そして、競合や悪意のある人による虚偽の投稿・個人的な感想や主観的な意見に基づく投稿も考えられます。

グーグルマップの口コミは、他のサイトにはない一定の信憑性はありますが、必ずしも全て信用できるとは限りません。

口コミを参考にする際には、これらの点を考慮して判断することが大切です。

債務整理の依頼は、専門に扱っている事務所がおすすめです。

司法書士や弁護士の業務は多岐にわたります。 他の業務と並行して「片手間」で扱う事務所よりも、債務整理に特化した事務所の方がはるかに頼りになります。

専門家は、任意整理に関する債権者（貸金業者）ごとの対応を熟知しています。

見分けるポイントは以下の通りです。

• ホームページの情報が詳しい（専門サイトを運営していることも多い）

• 問い合わせの際、任意整理などに関する債権者（貸金業者）ごとの対応を具体的に説明できる

できるだけ「債務整理に特化した事務所」を探して依頼しましょう。

債務整理の依頼先は、コミュニケーションが取りやすく「話しやすい」専門家を選びましょう。 専門家との相性は非常に重要です。

何でも質問しやすく、説明が分かりやすい相手かどうかも確認しましょう。

「話しにくい」「説明が分かりにくい」相手では、ストレスが溜まってしまいます。

気持ちよくやり取りできる専門家と契約してください。

「借金が減る」「借金が無くなるかも」など、良いことばかりを説明する事務所は避けましょう。

任意整理には、以下のようなデメリットも必ず存在します。

• 信用情報に事故情報が登録される
• 借金の元金自体は減額されない

こうした点をきちんと説明しない事務所は、信頼できません。

任意整理は、弁護士と司法書士が扱っています。

任意整理の場合は、1社あたりの元金が140万円以下なら、弁護士・司法書士のどちらに依頼しても問題ありません。

任意整理ではなく、自己破産や個人再生（法的手続き）を検討する場合。

このケースでは、事案によって弁護士が適していることもあります。たとえば、自己破産で免責不許可事由が著しく管財事件になりそうな場合などです。

お住まいの地域の事務所に依頼するか、都心部の事務所に依頼するかという問題もあります。

たしかに、都心部の事務所は債務整理を専門的に扱っているケースが多いです。​

ただ、債務整理の依頼には、専門家との面談が必須です。

そのため、地方にお住まいの方は、まずは地元の事務所を探してみましょう。近くに依頼できる専門家がいない場合は、オンライン面談などで都心部の専門家に依頼する方法もあります。

口コミや評判は参考になりますが、最終的にはご自身で事務所に直接問い合わせ、専門家の人柄や相性を確認することが最も重要です。

なぜなら、他人の意見に振り回されすぎると、ご自身にとっての最適な選択（＝本来の目的）を見失ってしまう可能性があるためです。

「ロバを売りに行く親子」というイソップ童話をご存じですか？

この童話は、まさにその教訓を示しています。

あらすじは

ある日、父親と息子がロバを市場に売りに行くことにしました。

1. 親子がロバを引いて歩いていると、通りかかった人々に「せっかくロバがいるのに、誰も乗らないなんてもったいない。馬鹿な親子だ」と笑われました。

2. 「それもそうだ」と、父親は息子をロバに乗せました。すると、別の人々が「なんて親不孝な息子だ。元気なくせに自分だけ楽をして、年老いた父親を歩かせている」と非難しました。

3. 「それもそうだ」と、今度は父親がロバに乗り、息子が歩きました。すると、また別の人々が「なんてひどい父親だ。自分だけロバに乗り、幼い子供を歩かせている」と非難しました。

4. 「それもそうだ」と、父親は息子もロバに乗せ、二人で乗ることにしました。すると、また別の人々が「なんて残酷な親子だ。あんな小さなロバに二人も乗るなんて。ロバがかわいそうだ」と非難しました。

5. 「それもそうだ」と、困り果てた親子はロバから降り、ロバの足を棒に縛り付け、二人でロバを担いで運ぶことにしました。

6. 親子が橋を渡っていると、担がれたロバが暴れだしました。その結果、ロバは縛られたまま川に落ちてしまいました。

評判に耳を傾けることは大切ですが、何より信頼できるのは、ご自身で直接見聞きした情報です。不安な点も含めて直接相談し、納得できる事務所を選びましょう。

任意整理するならどこがいいか口コミを確認して依頼する場合は、口コミサイトではなくグーグルマップの口コミも確認しよう。

• 口コミサイトはアフィリエイト広告（広告主に誘導）
• お客様声は好意的な内容だけ掲載されている
• グーグルマップは悪い口コミもそのまま掲載されているので信憑性はある

ただし、グーグルマップの口コミも、全て信用できるとは限らず（悪意のある投稿・虚偽の投稿・個人的な意見に基づく投稿など）、口コミだけを参考にするのではなく、実際に電話したり問い合わせをして、総合的に判断することが大切です。

黒川聡史（司法書士法人黒川事務所 代表司法書士）

東京司法書士会所属：登録番号第4230号

簡裁代理権認定司法書士：法務大臣認定第501067号

行政書士（登録番号第19082582号）

ファイナンシャルプランナー（CFP®：1級FP技能士）

経歴: 平成19年に個人事務所を開業。債務整理を中心に12,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動

著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある