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奨学金は債務整理で解決できる?奨学金が払えない場合の選択肢について説明

奨学金は大学生の4人に1人が借りていると言われています。

奨学金も借金と同じで返せない場合は、信用情報が傷ついたり最終的には支払督促や差押などに発展する可能性もあります。人的保証の場合は保証人に迷惑をかけることにもなります。

 

ここでは、奨学金が払えない場合の対処法(救済制度や債務整理の種類)について説明します。

 

※奨学金は「返済」ではなく「返還」という表現が正解ですが、奨学金も借金ではあるので「返済」と表記しています。

奨学金と債務整理 払えない場合にどんな解決法があるのか?

奨学金が返せないとどうなる?

奨学金が払えないとブラックになる

奨学金の返済が滞ると、最初のうちは書面や電話で催促がきます。

 

延滞が3か月以上つづくと信用情報に延滞という情報が載る(ブラックになる)ことになり、新たな借り入れやクレジットカードや携帯電話の分割購入の審査にも影響してきます。

 

4か月目以降は、債権回収会社に回収の委託(アルファ債権回収など)がされます。

そして、延滞から9か月頃には残額一括請求になり支払督促などの法的手続きが開始される可能性がでてきます。

保証人が親と親戚など人的保証の場合は、保証人にも書類が届きます。

 

機関保証の場合は、保証会社である公益財団法人日本国際教育支援協会が代位弁済をして、新たな債権者になります(この場合も、債権回収会社に委託して一括請求がされます)。

支払督促が届いた場合

奨学金の支払督促

奨学金の返済を放置していて裁判になり支払督促が届いた場合でも、督促異議を提出し裁判所に出廷すれば話し合いで解決することは可能です。

 

多くの場合は、分割払いに応じてくれます。届いた場合は、受け取って対応しましょう。

 

【解決方法】

・裁判所の書類を受け取る

・分割で払いたい内容の督促異議を裁判所に提出する

・裁判期日の案内が送られてくるので当日出廷する

・司法委員が間に入って和解を調整してくれる

・約束どおり返済をする

奨学金の返済ができない場合の2つの救済手続き

奨学金の返還(返済)に困った場合に、日本学生機構が用意している制度があります。

(返済が遅れそうであれば、早めに機構に相談して制度を利用を検討しましょう)

1つ目は、返還期限猶予

2つ目は、減額返還

返還期限猶予|延滞していても利用可能

奨学金の返還期限猶予

奨学金の支払いを一定期間猶予してもらう手続きです。

 

【ポイント】

・現在返還が困難であるため、一定期間返還を待ってほしい場合

・災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合

・一定期間(通算10年(120か月)が限度)、返還が猶予される。

返還すべき元金や利息が免除されるものではない。

減額返還|延滞していると利用できない

奨学金の減額返還

奨学金の毎月の支払い額を減額してもらう手続きです。

 

【ポイント】

・通常どおりの返還は困難だが、減額した金額ならば返還が継続できる場合

・災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合

・一定期間、2分の1または3分の1に減額して返還

返還期間が延長される

・返還予定総額が減額されるものではない

・延滞している場合は利用できない。

他にも債務がある場合は債務整理も検討する

奨学金の返済が厳しい場合に、奨学金だけでなく他にも債務があれば、猶予や減額返還と併せて債務整理も検討する必要がでてきます。

 

【方法は2つ】

1.奨学金を除いて手続きができる任意整理

2.奨学金も含めて対応する法的整理(自己破産・個人再生)

 

どちらの手続きが利用できるのか、まずは、奨学金の保証人を確認しましょう。

奨学金の保証人がネックになる

奨学金の保証人はどっち

奨学金には保証人がついています。

債務整理を検討する場合は、まずは保証人が誰になっているか確認しましょう。

 

日本学生支援機構の奨学金の保証人は下記の2パターンがあります。

  • 人的保証(連帯保証人が親・保証人が親戚)

人的保証を利用している場合は、債務整理をすると保証人である親や親せきに迷惑がかかることになります。

 

  • 機関保証(保証料を支払って保証会社が保証)

債務整理をすると保証会社が日本学生支援機構に代位弁済し保証会社が債権者になります。

※こちらの機関保証の場合は、債務整理の選択肢が広がります。

奨学金は任意整理にむかない!

奨学金の任意整理

金利が低く長期の分割である奨学金は任意整理をするメリットがありません

 

奨学金は任意整理の対象から除外し、その他の債務を任意整理で対応することになります。

奨学金がある人の自己破産や個人再生

奨学金の自己破産や個人再生

奨学金があっても自己破産や個人再生をすることも可能です。

 

ただし、人的保証(親と親戚が保証人)の場合は、保証人に迷惑がかかります。

保証人に請求がいくのを避けるためには奨学金を除外した任意整理を選択する必要があります。

 

人的保証の場合に自己破産や個人再生をすると、保証人に請求がいくことになります。

そして、保証人が今後の支払方法について学生支援機構と話をすることになります。

(引き落とし口座を保証人の口座に変更して、保証人が支払いを継続していくことになります)

 

親や親戚が保証人ではない機関保証の場合は、奨学金も手続きに加えた自己破産や個人再生も検討できます

(機関保証であれば人的保証に比べて格段に選択肢が広がり解決しやすくなります)

事例紹介:奨学金の保証人がネックで任意整理を選択した方の事例

大学を卒業し製薬会社に転職したAさん。

営業職で5年間頑張っていましたが、職業柄、接待の多い日々を送っていました。

そして一人で営業を任されるようになって以降、契約を取らなくてはいけないという責任感から自腹で接待をする事を始めました。

 

お金が足りない時はカードで決済するようになり、その度にリボ払いを利用する事が増えていきました。

そんな生活を続けていきましたが段々とリボ払いでも毎月の返済が出来なくなり、毎月の返済をすれば空いた枠でまた利用してしまう日々。

そして、頼りにしていたボーナスが減らされるとの発表を受け、これ以上の支払継続はできないと考え当事務所に相談に来られました。

 

【Aさんの債務の状況】

A信販会社100万円

B信販会社80万円

C信販会社70万円

D消費者金融会社50万円

 

合計300万円

毎月の支払額も10万円近くとなっていました。

 

面談時に家計状態を教えてもらうと

・お給料が毎月手取りで平均23万円程度

・家賃は毎月7万円

・上記の債務の他に、日本学生支援機構の奨学金を利用しており約300万円を毎月3万円支払っていることがわかりました。

最初は自己破産も検討されていました

ご来所される前、Aさん自身は自己破産も検討していた様でした。

毎日営業で終電帰りになる事も多く、心身ともに疲れ切っていました。

自己破産で免責が認められれば、借金から解放され生活が一変しますので、当然選択肢に入ってくる手続きでした。

 

しかし、Aさんの自己破産には大きな問題がありました。それが奨学金の存在です。

学生支援機構の奨学金は、支援を受ける際にご両親・ご親戚の方に保証人になってもらうのが原則です。(機関保証という制度もあります)

Aさんも、お父様・叔母様に保証人になってもらっていたのですが、もし自己破産してしまうと、Aさんは免責されれば支払い義務はなくなりますが、奨学金は保証人の方に請求が全て行くことになってしまいます

Aさんには、奨学金を含めないで自己破産が出来ないかとも尋ねられましたが、「自己破産は全ての債務を対象としなくてはいけない」という原則のためそれは出来ません。

奨学金は債務整理で解決できる?奨学金がある場合の債務整理の選択方法について解説

Aさんも少々ショックを受けている様子でした。

司法書士と任意整理について検討しました

ここからAさんと任意整理で返済可能かどうかの話をしました。

もし、任意整理でも返済ができない場合、ご家族に支援のお願いをしたり、保証人の方と相談して自己破産という方法しかなくなってしまいます。

 

まず、Aさんの債務を任意整理すると毎月の返済が約55,000円程度になるとの見込みがありました。

そこに、Aさんの収入から家賃・光熱費・通信費等の固定費、奨学金の返済額を加えると手元に残るのが約5万円になる事が分かりました。

 

一般的にこの金額であればギリイリ生活は可能でしょうが、Aさんは営業職ということもあり外食も多く、生活費が多くかかってしまうタイプでした。

また、一人暮らしであり、2年に1度は部屋の更新費がかかってきますのでその分も貯めておく必要があります。

毎月の返済を見直すと返済が楽になる

支出の見直しを検討すると

携帯電話を格安携帯にする

これで毎月1万円程度浮く計算になります。

奨学金の減額返済制度を利用する。

奨学金の返済減額制度は、通常どおりの返還は困難だが、減額した金額ならば返還が継続できる場合で、返済困難な事情が生じた場合に利用できる制度です。借金の総額は変わりませんが、一定期間、返済額を1213にしてもらえます。

なお、この制度は延滞していると利用できませんが、Aさんは幸いにもずっと支払を続けていた為、この制度を利用する事が出来ました。これにより、毎月2万円程の余裕ができました。

今後は無理な自腹接待は控える

生活の根本を見直さないとまた借金を繰り返してしまいます。

今度借金を増やしたら自己破産しかなくなってしまう事を説明し、Aさんも繰り返さないと誓ってくれました。

任意整理の手続をスタートして返済をストップ

任意整理の手続きを開始すると当事務所からAさんの代理人になった旨の通知(受任通知)を送り、Aさんには返済を一旦ストップしてもらいます。

その間に、当事務所の費用を分割で支払っていただきましたが、返済していた時期と比べかなり余裕を持つことができるとAさんも安堵していた様子でした。

(浮いた分は返済開始時の為にしっかり貯めておいていただきました)

 

そして、数か月後無事和解も終わり、毎月の返済も予定通りの金額となりました。

(幸い、任意整理に寛容な債権者が多かったのが救いだったと思います)

さんに和解内容をお伝えした際のホッとした声が印象的でした。

現在、大学に進学された方の3人に1人は奨学金を利用しているといわれています。

その為、家計が自己破産相当であっても保証人の方に迷惑をかけたくないという理由で任意整理をする方が多いと感じます。

当事務所ではこの様なご相談者様には一緒に家計を見直すなどのお手伝いもさせていただいておりますのでお気軽にご相談下さい。

奨学金の債務整理に関するよくあるご質問

ここではよくあるご質問をご紹介します。

奨学金が返済できない場合、どのようなリスクがありますか?

奨学金の返済が滞ると、まず書面や電話で督促が行われます。延滞が3か月以上続くと、信用情報に「延滞」と記録され、いわゆる「ブラックリスト」に載ります。

これにより、新たな借り入れやクレジットカードの利用、携帯電話の分割購入が難しくなります。

さらに、9か月頃には支払督促などの法的手続きが始まる可能性があります。保証人がいる場合、保証人にも影響が及びます。

奨学金が払えないときに利用できる救済制度はありますか?

奨学金を返済できない場合に利用できる救済制度が2つあります。

  • 返還期限猶予

返済が困難な場合、最大10年間の返済猶予を申請できます。ただし、元金や利息の免除はありません。

  • 減額返還

毎月の返済額を一時的に減額して返済を続ける制度です。ただし、延滞しているとこの制度は利用できません。

債務整理をするときに奨学金はどのように扱われますか?

奨学金は、金利が低く長期返済が可能なため、任意整理には向きません。

そのため、奨学金以外の債務を任意整理することが一般的です。

 

ただし、自己破産や個人再生を選択する場合、奨学金も含めることになりますが、人的保証がある場合、保証人に迷惑がかかります。

機関保証の場合は、奨学金も含めた整理がしやすくなります。

債務整理のお役立ち情報

債務整理の相談者さんの中には奨学金もある方の比率はかなり高いです。

奨学金の返済で月々の生活費が減り消費者金融やクレジットカードを利用してしまう。

そうなると完全に悪循環が発生し自転車操業になります。

保証人が親・親戚という方は奨学金以外を任意整理するパターンがほとんどです。

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