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行政書士による時効援用の手続き:メリット・デメリットを徹底解説

行政書士の時効援用

借金の返済義務をなくす「時効援用」の手続きを検討する際、「行政書士」と「司法書士(または弁護士)」のどちらに依頼すべきか迷われる方は少なくありません。

 

特にインターネットで検索される方は、「費用を安く抑えたい」という希望から、比較的費用の安い行政書士を検討される傾向にあります。

 

しかし、結論から申し上げますと、安易に「費用だけ」で行政書士を選ぶことは、場合によってはリスクが高く、結果的に費用が高くつく可能性があります

この記事では、行政書士資格も保有する司法書士が、実務経験に基づき、両者の違いと、選ぶべき基準について解説します。

この記事を読んでわかること

  • 行政書士は内容証明郵便作成のみの業務なので費用が安い
  • デメリットは代理権がなく、事前の調査や不成立時の交渉はできない
  • 請求額が低額など安さ重視なら行政書士。調査や交渉も任せたいなら司法書士がおすすめ。

【比較表】行政書士と司法書士の時効手続きの違い

まずは、行政書士と司法書士が、時効援用において「何ができて、何ができないのか」を整理しましょう。

 

最大の違いは、依頼人に代わって交渉する「代理権」があるかどうかです。

  行政書士 司法書士
主な役割 書類作成 代理人としての解決
法的な立ち位置 なし 本人の代理人
相手業者との交渉 不可 可(代理交渉が可能)
事前の調査 不可(本人持参資料のみ) 可(取引履歴の開示等)
内容証明の差出人 本人名義 代理人(司法書士)名義
相手からの連絡先 自宅(本人) 事務所(代理人)
時効不成立時の対応 対応不可 分割交渉へ移行可
費用相場 1万円~2万円程度 4万円前後

このように、行政書士の業務はあくまで「書類作成」に限定されています。

一方、司法書士は「代理人」として、相手業者とのやり取りをすべて引き受けることができます。

 

※元金が140万円を超える場合は、司法書士も代理権が無く弁護士への依頼を検討する必要があります。

行政書士に「代理権」がないことによる3つのデメリット

「書類を送るだけなら、費用の安い行政書士で十分ではないか?」 そう考える方も多いでしょう。確かに、時効の条件が完璧に揃っているなら問題ありません。

しかし、実務では予期せぬ事態が起こり得ます。 代理権のない行政書士では対応しきれない、具体的な3つのリスクについて解説します。

①事前の調査や時効成立の確認ができない

行政書士には時効援用の代理権が無い

行政書士に依頼した場合は、手元の督促状に基づき内容証明郵便を送りますが、資料がない場合は依頼人の記憶を頼りに内容証明郵便を送ることになり、リスクがあります。

 

司法書士が依頼を受けた場合には、まず相手から資料を取寄せて調査をします。その内容を確認して内容証明郵便を送ります。

この調査で、「5年経過していない、過払いがある、他の債権者へ債権譲渡がされている」という事実が発覚することもあります。

 

また、司法書士は相手に時効が成立したかどうかの確認をとります。

しかし、行政書士に依頼した場合は、代理人ではないので相手に連絡ができません。その結果、時効成立の確認をしたい場合は自分で直接相手に確認することになります。

行政書士:事前調査できない、時効成立確認できない

司法書士:事前調査できる、時効成立確認できる

②時効不成立の場合に交渉ができない

行政書士は交渉できない

行政書士は「書類作成」の専門家ですが、司法書士と異なり、代理人として業者と返済の話し合い(交渉)をする権限がありません

 

そのため、調査の結果「過去に裁判されていたので時効期間が経過しておらず、時効が成立しなかった」というケースでは、行政書士の業務はそこで終了してしまいます。

 

時効が成立しなかった場合でも、借金問題は解決していません。

返済をしていくためには、改めて司法書士か弁護士に「任意整理(分割払いの交渉)」を依頼し直す必要があります。

 

その結果、以下のようにお金と手間が二重にかかってしまいます。

  1. 行政書士に支払った費用(時効援用の費用)

  2. 司法書士・弁護士に支払う費用(債務整理の費用)

行政書士:分割交渉できない

司法書士:分割交渉できる

③郵便物や連絡が「自宅」に届く

行政書士の場合は郵便物は自宅に届く

内容証明郵便をインターネットで出した場合は、内容証明の控えが簡易書留で送られてきます。

 

司法書士や弁護士が手配した場合は、代理人の住所である事務所に届きます

 

行政書士が手配した場合は、本人名で通知を出していますのでご本人の自宅に内容証明の控えが届きます

また、配達証明も付けていますので、到着のハガキが同様に送られてきます。

(配達証明のハガキには相手の会社名(●●債権回収など)が印字されていますので同居の方に内緒の場合は注意が必要です

 

相手業者からの回答書や、不成立だった場合の督促電話も、すべてご本人の自宅や携帯電話に来ます。

行政書士:自宅に郵便(家族にバレやすい)

司法書士:事務所に郵便(家族にバレない)

行政書士に依頼するメリットは「費用が安い」のみ

行政書士は上記のような制約があり、結局は、内容証明郵便を作成して送付するだけの作業になります。

そのため、司法書士と比較して費用は安く設定されています

 

当事務所も司法書士の代理による時効援用よりも行政書士の内容証明作成サービスは11,000円安い設定です。

司法書士に依頼するメリット

一方で、司法書士に依頼する場合、費用は行政書士より若干高くなりますが、それに見合う「安心」と「確実性」があります。

すべての手続きを「丸投げ」できる

司法書士は「受任通知」を送付することで、相手業者からの本人への直接連絡を停止させることができます。

 

その後の調査、内容証明の作成・送付、完了の確認まで、すべて代理人が窓口となって行います。

郵便物が自宅に届くことも原則としてありません。

失敗しても「和解交渉」ができる

万が一、調査の結果「過去に裁判されていた」ことが判明した場合、司法書士ならそのまま「分割交渉」の手続きに移行することができます。

また、状況に応じて「自己破産」「個人再生」も検討することがも可能です。

あなたはどちらを選ぶべき?判断基準を紹介

これまでの内容を踏まえ、ご自身の状況に合わせてどちらを選ぶべきか判断してください。

行政書士に依頼しても問題ない方

  • 直近で債権者から送付されてきた督促状が手元にある。

  • 督促状に最終返済日など時効の起算点などがわかる情報が記載されている

  • (督促状がない場合)直近の信用情報(JICC/CIC)を取得しており、債権者や最終取引日が判明している。

  • 自宅に連絡や郵便が来ても、家族にバレる等の問題がない。

  • 時効成立の確認が不要もしくは自分で対応できる

  • もし時効が成立しなかった場合、自分で業者と交渉する(もしくは放置する)自信がある

司法書士に依頼したほうがいい方

  • 督促状など資料が不足しており、最終取引日などがわからない。

  • 今回、裁判所から書類が届いている。

  • 家族に内緒で手続きを進めたい(自宅への郵便物を避けたい)。

  • 相手業者と直接話すのが怖い、関わりたくない。

  • 時効が成立したか最終確認をとってほしい。

  • もし時効でなかった場合は、分割払いで解決したい。

当事務所の対応

当事務所は、司法書士と行政書士の両方の対応が可能です。

基本的には、リスクを回避し、確実な解決を図るために「司法書士による代理プラン」を推奨しております。

しかし、「(請求額が少額なため)費用を最優先にしたい」という方は行政書士の「内容証明作成サービス」もご用意しております。

  費用 内容
司法書士 40,000円 代理で全てサポート
行政書士 29,000円 内容証明作成と送付のみ

行政書士の時効援用に関するよくあるご質問

ここではよくあるご質問をご紹介します。

Q. 行政書士に時効援用を依頼する最大のメリットは何ですか?

行政書士に時効援用を依頼する最大のメリットは、費用が比較的安いことです。

弁護士や司法書士と比べて、行政書士のサービスは書類作成に限定されるため、その分コストが抑えられます。

Q. 行政書士に依頼して、時効が失敗したらどうなりますか?

ご自身で対応するか、改めて専門家に依頼する必要があります。

行政書士は、時効不成立後の分割払いの交渉などは一切できません。その際は、ご自身で債権者と交渉するか、改めて司法書士や弁護士に「任意整理」を依頼することになります。

Q. 司法書士なら、必ず時効になりますか?

100%ではありませんが、事前の調査で「確度」を高めることは可能です。

ご依頼後、債権者から取引履歴を取得し、書面の内容から(必要に応じて債務名義の有無も電話で確認して)時効の条件を満たしているか判断し、内容証明郵便を送付します。

(まとめ)どこに依頼するかは重視するポイントによる

行政書士か司法書士どちらに依頼する

結局、時効援用を依頼する際に「どこを重視するか」です。

 

1.手元に資料があり、自宅に郵便届いても問題ないし、自分である程度の対応もできるから安さを重視するなら行政書士に依頼する方法があっています。

 

2.「もしかしたら過去に裁判されているかも?その場合は交渉してもらって支払って解決したい」「手元に資料がないので調査してもらいたい」というご希望なら司法書士に依頼する。

 

3.「直近で相手と電話で話をしているので債務承認について争われそう」なら裁判対応を得意とする弁護士など

 

当事務所は、司法書士(司法書士法人黒川事務所)による代理の時効援用をメインで対応しております。

少しでも費用を抑えたいという方は併設している行政書士事務所(行政書士黒川事務所)の内容証明作成サービスもございます。

まずは、お気軽にご相談ください。

この記事の執筆者

執筆者 司法書士黒川聡史

黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)

東京司法書士会所属:登録番号第4230号

簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号

行政書士(登録番号第19082582号)

ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)

経歴: 平成19年に個人事務所を開業。債務整理を中心に12,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動

著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある

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