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借金を長期間返済していなかった場合、連帯保証人の立場であっても「消滅時効」を援用し、支払義務を免れられる可能性があります。
しかし、連帯保証人の時効は少し複雑です。
借りた本人(主債務者)の行動によって、連帯保証人の時効が成立するかどうかが変わってくるためです。
「自分が払っていなくても、主債務者が払っていたらどうなるのか?」「主債務者が裁判を起こされたらどうなるのか?」
正しい知識がないまま判断するのは危険です。
この記事では、連帯保証人による時効援用について、主債務者との関係性や具体的な条件を解説します。
この記事を読んでわかること
目 次(更新:2026年1月23日)
9. まとめ
連帯保証人であっても借金の時効援用は可能です。
連帯保証人が時効を援用できる条件は、大きく分けて以下の2つのケースです。
主債務と保証債務は法的には別個の債務ですが、保証人は「主債務」の時効を援用することも認められています。
どちらか一方でも時効が成立すれば、保証人の支払い義務はなくなります。
借金の時効が成立する基本的な期間は、「最終支払時から5年」です。
これは、主債務も保証債務も原則として同じです。
このとき注意が必要なのは、「債務者(主債務者)が支払いを継続している限り、時効は成立しない」という点です。
たとえ連帯保証人は全く払っていなくても、借りた本人が支払いを続けている場合、時効期間は進行しません。
連帯保証人が時効を援用する際には、債務者と足並みを揃える必要はありません。
債務者が行方不明であったり、時効の手続きを拒否したりしていても、連帯保証人の判断で、単独で時効を援用できます。
借金が長期間放置されているのであれば、連帯保証人の立場から早めに時効援用通知(内容証明郵便)を発送することを検討すべきです。
| 主債務の時効 | 保証債務の時効 | 連帯保証人の時効援用 | |
|---|---|---|---|
| 債務者へ請求(裁判) | 更新 | 更新 | できない |
| 債務者が債務承認(5年経過前) | 更新 | 更新 | できない |
| 債務者が債務承認(5年経過後) | 援用権を喪失 | 更新されない | できる |
| 連帯保証人が債務承認 | 更新されない | 更新 | 主債務の時効を待って援用できる |
●連帯保証人へ請求(裁判)
2020年4月1日以前の民法では、連帯保証債務について、保証人に対して「履行の請求」がなされた場合には、その効果が主債務にも及び、時効が中断するとされていました。これは、旧民法458条が旧434条を準用していたことによるものです。
しかし、民法改正により旧434条自体が削除された結果、連帯保証人に対する請求について、主債務者の時効に影響を及ぼす規定が失われました。
そのため、改正後は、保証人に対してのみ請求(裁判)をしても、主債務については時効更新の効力は生じないとことになります。
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【この記事の解説上の登場人物の設定】
債権者A、主債務者(借りた本人)B、連帯保証人C
なお保証人には「通常の保証人」と「連帯保証人」の2種類があります。
連帯保証人は、通常の保証人より責任を強化された保証人です。
債務者と同じだけの責任を負うため、債権者から請求されたときに主張できる抗弁が限られており、債務の全体を支払わねばなりません。
保証人を付ける場合、実務上は単なる保証人ではなく連帯保証人が採用されるので、この記事でも連帯保証人であることを前提に解説します。
支払いを止めてから数年が経過していても、5年が経つ前に、途中で債務者が債務を承認してしまったり、一部の支払いに応じてしまったりするケースがあります。
この場合、連帯保証人にはどういった影響が及ぶのでしょうか。
法律上、債務者が債務を承認(一部弁済や支払猶予の申入れ)すると、時効は「更新(リセット)」されます。
それまで進行してきた時間のカウントがゼロになり、そこから改めて5年が経過しない限り時効は成立しません。
主債務者が債務を承認してしまったら、その効力は連帯保証人にも及びます(民法457条1項)。
つまり、連帯保証人自身が債務を承認していなくても、主債務者が認めてしまった時点で、連帯保証人の時効もリセットされてしまいます。
これを専門用語で「絶対効」と呼びます。
したがって、時効期間の経過前においては、主債務者の動向が連帯保証人の運命を左右することになります。
(主たる債務者について生じた事由の効力)
第四百五十七条 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる。
【事例】
主債務者Bが返済を放置して4年経過していましたので、連帯保証人であるCはあと1年程度で時効を主張しよと思っていました。
しかし、債権者AがB自宅を訪問し、その際BはAに対して支払いを再開する約束をしました。
Bが債務を承認したことにより、Cは時効の主張ができなくなりました。
では、5年の時効期間がいったん経過した「後」に、債務者が時効を知らずに債務承認や一部弁済をしてしまった場合はどうなるのでしょうか。
実はこのケースでは、先ほどとは結論が異なります。
時効期間が経過した後に主債務者が債務承認をした場合、主債務者本人は「信義則」により時効を援用できなくなります(最高裁判例:昭和41年4月20日)。
しかし、この効果は連帯保証人には及びません。
すでに時効が成立している以上、債務者が承認しても保証人へ影響しないと理解されています。
そこで連帯保証人Cは保証債務の時効を援用して支払を免れることができます。
この場合、主債務者は支払義務が残りますが、連帯保証人は保証債務の時効を援用して、支払いを免れることができます。
このように、主債務者が債務承認をしたタイミングが「5年経過の前か、後か」によって、連帯保証人が救われるかどうかが決まります。
非常に専門的な判断が必要な部分ですので、ご自身のケースがどちらに当てはまるか、専門家による調査をおすすめします。
【事例】
主債務者Bが返済を放置して10年経過していました。しかし、債権者AがB宅を訪問し、その際BはAに対して支払いを再開する約束をしました。
Bが債務を承認したことにより、B本人は時効の主張ができなくなりました。
それでも保証人のCは、保証債務の時効を主張することが可能です。
これまでは主債務者の行動について解説しましたが、連帯保証人自身が債権者から督促を受け、「払います」と言ったり一部支払ったりしてしまった場合はどうなるのでしょうか。
連帯保証人が債務承認をすると、当然ながら「保証債務」の時効は更新(リセット)されます。
しかし、この承認の効果は「主債務」には及びません。
つまり、連帯保証人の時効期間はゼロに戻りますが、主債務者の時効期間はそのまま進行し続けるのです。
じつは、連帯保証人が債務承認をしてしまっても、その後、主債務について時効が成立すれば、連帯保証人は「主債務の時効」を援用できます。
保証債務は主債務に従属する性質(付従性)があるため、主たる借金が時効で消滅すれば、保証人の借金も消滅します。
【事例】
債務者Bが支払いを止めてから3年後、連帯保証人Cが一部支払ってしまいました(Cの時効はリセット)。
ただし、その後も債務者B自身は支払いをしないまま、さらに2年が経過し、トータル5年が経過しました。
この場合、C自身の時効は完成していませんが、Bの時効(主債務の時効)が完成します。
そこで、Cは「主債務の時効」を援用することで、結果として支払いを免れることが可能です。
債権者が債務者に対して裁判を起こし、判決が確定してしまった場合はどうなるのでしょうか。
この場合、主債務の時効が更新され、新たな時効期間が「判決確定時から10年間」に延長されてしまいます。
そして、主債務に対する裁判上の請求等の効力は、連帯保証人にも及びます(民法457条1項)。
その結果、連帯保証人自身の時効期間も10年に延びてしまいます。
連帯保証人自身が裁判を起こされていなくても、主債務者が裁判をされただけで、連帯保証人も時効援用ができなくなってしまいますので注意が必要です。
黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)
東京司法書士会所属:登録番号第4230号
簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号
行政書士(登録番号第19082582号)
ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)
経歴: 平成19年に個人事務所を開業。債務整理を中心に12,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動
著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある
企業理念は『あなたの借金問題解決を低料金でサポートしたい!』です。
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司法書士法人黒川事務所
代表者 黒川聡史
東京司法書士会所属
簡裁代理権法務大臣認定
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