債務整理に強い弁護士事務所・司法書士事務所を見分ける3つのポイント

借金の整理を依頼する専門家を探すとき、できれば「債務整理に強い弁護士事務所や司法書士事務所」に依頼したいと考えるのが当然です。

それでは「債務整理に強い事務所」とはどういった事務所なのでしょうか？

この記事では、「強い事務所」と「そうじゃない事務所」の見分ける方法や「やってはいけない間違った探し方」を紹介します。

債務整理に強い事務所とは、ズバリ「債務整理を専門的に取り扱っている事務所」です。

司法書士も弁護士も国家資格を取得した専門家。どの業務範囲においても、一応専門性は有しています。

たとえば司法書士の場合、主に不動産登記・会社の登記・成年後見・債務整理などの専門分野がありますが、ほとんどの事務所はどの分野にも一応は対応しているものです。

ただ「一応扱っているレベル」と「力を入れて多く扱っているレベル」はまったく違います。

当然、積極的に取り組んでいる事務所の方が、スムーズかつ的確に事件処理をしてくれるでしょう。依頼者にとっても安心感があります。

たとえば「債務整理を5件扱ったことがある、何でも対応できる事務所」と「債務整理ばかり年間1,000件扱っている事務所」では、1,000件扱っている事務所を選ぶべきといえるでしょう。

「債務整理専用のホームページ」を持っている事務所は、その分野に力を入れている可能性が非常に高いです。

ひとつのホームページでたくさんの業務を掲載している事務所より、債務整理に特化した専用のサイトを作っている事務所の方が、力を入れている可能性が高いからです。

債務整理専用サイトを作ると時間もお金もかかります。

「それだけのコストをつぎ込んでも債務整理専門で集客したい」と考えるほど、その事務所は熱心に債務整理事件をこなしていると考えられます。

「何年くらい前から債務整理を扱っているか？」も確認しましょう。

長年、債務整理の手続きに取り組んでいれば実績、知識、ノウハウやスキルが蓄積してきます。

たとえば消費者金融や信販会社の業界でも、ここ10年間に合併や債権譲渡・倒産などいろいろな出来事がありました。裁判所の運用も頻繁に変わりますし、依頼者のお悩みには似通った「パターン」や対処方法があります。

長年の経験が蓄積されていると「この会社はこうだったな」「こういう方はきっとこのような悩みを抱えているだろう」「この場合はこうやって解決するのがベスト」と的確に判断できます。

専門家に相談する最大のメリットは、その人の状況における「ベストな解決策」を示してくれる点にあります。

債務整理に強い専門家は、単に任意整理をすすめるのではなく、まず依頼者のすべての債務状況、収入や支出といった生活の状況、保有している財産（持ち家、車など）を確認します。

その上で、「任意整理をした場合」「個人再生をした場合」「自己破産をした場合」それぞれのメリット・デメリットを検討し、依頼者の希望（「家だけは残したい」「保証人に迷惑をかけたくない」など）を踏まえて、最適な手続きを提案してくれます。

任意整理は、消費者金融や信販会社など金融機関と今後の利息カットや長期の分割返済の交渉をして返済の負担を減らす方法です。

• 任意整理後の返済ができる収入がある人
• 保証人がいる奨学金など、手続きから除外したい借金がある人
• 家族や会社に内緒で手続きを進めたい人

個人再生は、裁判所に申し立て、借金を5分の1など大幅に減額する手続きです。

たとえば800万円の借金であれば160万円まで減額することができます。

そして、減額された借金を3年で返済します。

• 負債が高額（例：400万円以上）で、任意整理では返済できない人
• 借金を大幅に減額したい人
• 住宅ローンを支払いながら、他の借金だけを整理したい人
• 会社員など安定した継続収入がある人
• 保証人付きの奨学金などが無い人

自己破産は、裁判所に申し立て債務を免除（免責）してもらう手続きです。

自己破産をすると、持ち家や車などの高額な財産（時価20万円が目安）を失う代わりに、借金の支払い義務がなくなります。

• 借金が高額で、返済が不可能な人
• 高額な財産を持っていない人
• 保証人付きの債務が無い人
• 今後の安定した収入が見込めない人（無職・生活保護受給中など）

弁護士や司法書士に債務整理を依頼し、専門家が債権者に対して「受任通知」を発送すると、その時点で債権者からの直接の取り立てや連絡が法律（貸金業法第21条）によって禁止されます。

電話や自宅への督促状が止まるため、精神的なプレッシャーから解放されます。

もし自分で債務整理を進めようとすると、交渉中であっても返済を止めれば当然ながら督促は続きます。

弁護士・司法書士に依頼すれば、債務整理の手続きの大部分を代行してもらえます。

任意整理であれば、債権者との交渉から和解まで一任できます。

自己破産や個人再生であれば、裁判所への申立書の作成や、裁判所とのやり取りをすべて任せることが可能です。

ただし、自己破産や個人再生の手続きで裁判所に提出する必要書類（住民票、給与明細、通帳のコピーなど）の収集は、自分で行う必要があります。

もちろん、何をいつまでに集めればよいか専門家が指示してくれるため、自分一人で進めるのとは負担が違います。

弁護士・司法書士に依頼すると、前述の通り債権者からの直接の取り立てが止まるため、返済をストップしても自宅に請求書や督促状が届くことがなくなり、家族に借金問題を知られるリスクを大幅に減らせます。

専門家との連絡も、郵送物を事務所名ではなく個人名で送ってもらったりといった配慮もしてくれます。

また、任意整理後の返済についても、「返済代行」を行っている事務所に依頼すれば、完済まで専門家が窓口となり、各債権者への送金を代わりに行ってくれるため、家族に知られずに手続きを終えることが可能です。

以下のような事務所は債務整理に強いとはいえません。

過払い金、任意整理など得意な手続きに偏りがある事務所です。

ときどき「債務整理に強い」と言いつつ「実は任意整理、過払い金請求しかやらない」事務所があります。

しかしこういった事務所に依頼すべきではありません。

債務整理には任意整理・自己破産・個人再生など種類があります。状況に応じて最適な方法を選択しなければなりません。

それにもかかわらず「債務整理が得意」と標榜しながら「実は任意整理がほとんど」「過払い金請求しかやらない」事務所が存在します。

借金問題を解決するには、すべての債務整理に関する知識と経験を活かし、総合的な見地から対応を進めるべきです。「任意整理のみ」「過払い金請求のみ」という姿勢では、本当の意味でのベストな解決ができません。

たとえば任意整理では解決できない場合にまで「こちらでは任意整理にしか対応していないから」といって無理に任意整理で進めてしまっては解決につながらないのです。

債務整理を相談するときには、トータルで借金解決を提案してくれる「任意整理」「自己破産」「個人再生」すべてについて検討してくれる事務所を選びましょう。

最近、ニュースなどでも「債務整理二次被害」が取り上げられることがあります。

これは、「国が認めた借金救済制度」といった誘い文句で大量に広告を出し、多くの依頼を集めている一部の弁護士事務所・司法書士事務所の問題です。

この問題は、本来であれば自己破産や個人再生を選択すべき内容であるにもかかわらず、任意整理に誘導するケースです。

なぜかというと、事務所側にとって、任意整理は自己破産・個人再生に比べて手続きが簡易で、事務員任せにできる部分が多いためです。

その結果、無理な返済を続けることになり、結局返済できずに再度専門家を探すことになってしまいます。

このような事務所を避けるためにも、任意整理だけでなく、自己破産や個人再生も含めて多角的に解決策を検討してくれる事務所を選ぶことが非常に重要です。

ネット検索していると「債務整理に強い事務所ランキングサイト」が目に付きます。

実はこういったサイトを信用して事務所を選んではいけません。広告業者やアフィリエイターが作成したステルスマーケティング（広告）用のサイトだからです。

たとえば広告業者のサイトの場合、高額な広告料を払った事務所が優先的に表示されているケースが多数です。

アフィリエイトサイトの場合には、アフィリエイト報酬の高い事務所が上位に掲載されていたりします。実際、複数サイトがありますが、どこのサイトでも同じような事務所が出てきます。

そういった事務所は債務整理に強いのではなく「高額な広告費をかけている事務所」です。

広告業者やアフィリエイターは、一度も弁護士や司法書士に会ったことがなく、債務整理の「さ」の字も知らないような人であることも珍しくありません。

本当の意味で「債務整理に強いかどうか」とは無関係に、「債務整理に強い事務所ランキング」で上位表示されているのです。

広告費用は高額です。そのような費用をかけても上位表示させている事務所なので、依頼料も高額になるでしょう。

依頼の際には、そういったデメリットにも注意すべきといえます。

信用できる事務所かどうかは、電話で問い合わせるか専門家と直接面談して自分で判断しましょう。

弁護士と司法書士の違いについても押さえておきましょう。

任意整理の場合、1社で140万円を超える借入先については、司法書士には手続きができません。この点では、金額制限のない弁護士の方が債務整理に強いといえるでしょう。

ただし1社で140万円を超える債務がないなら、この違いは影響しません。

費用面では司法書士の方が安い傾向にありますので、できるだけ安く抑えたい方にとっては司法書士のメリットが大きくなります。

法的整理（破産・再生）の場合、状況によっては弁護士事務所の方がいい場合もあります。

特に自己破産で管財事件になるケースです。弁護士であれば債権者集会などに同席してもらえますが、司法書士の場合には同席できません。

このように、司法書士と弁護士は状況によって選ぶ必要があります。

理論上は、債務整理を専門家に依頼せず自分で行うことも可能です。

• 任意整理：自分で各債権者（貸金業者）と電話や書面で交渉する。

• 自己破産・個人再生：裁判所のホームページなどから申立書をダウンロードし、自分で必要書類をすべて集めて申立書を作成し、裁判所に提出する。

しかし、これらを個人で行うことは現実的ではありません。

任意整理の場合、多くの債権者は個人からの交渉にそもそも応じてくれず、「専門家を介してください」と断られてしまうのが実情です。

また、自己破産や個人再生についても、裁判所は手続きの複雑さから専門家が関与することを前提とした運用になっています。

個人で申し立てようとしても、手続きの不備を理由に、結局は法テラスなどを紹介されたりして、個人で進めることは極めて困難です。

「債務整理に強い」弁護士事務所・司法書士事務所とは、ネットの「おすすめランキング」で上位の事務所（＝広告費をかけている事務所）ではありません。

本当に信頼できる事務所を見分けるポイントは、「専門性」「実績」、そして「最適な解決策を提案してくれる」ことです。

良い事務所は、債務整理を専門に扱い実績が豊富。任意整理・自己破産・個人再生の全てを比較検討し、依頼者に最適な方法を提案します。

注意すべき事務所は、「任意整理しかすすめない」事務所です。

借金問題は、状況に合った正しい手続きを選べば解決できます。一人で抱え込まず、まずは専門家に相談することが解決の第一歩です。

司法書士法人黒川事務所では、相談無料・着手金不要で、あなたの状況に最適な解決方法をご提案します。15年以上の豊富な実績で、毎月多くの方の借金解決を支援しています。まずはお気軽にお問い合わせください。

黒川聡史（司法書士法人黒川事務所 代表司法書士）

東京司法書士会所属：登録番号第4230号

簡裁代理権認定司法書士：法務大臣認定第501067号

行政書士（登録番号第19082582号）

ファイナンシャルプランナー（CFP®：1級FP技能士）

経歴: 平成19年に個人事務所を開業。債務整理を中心に12,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動

著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある