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自己破産の職業制限とは?自己破産するとできない仕事を紹介

自己破産の職業制限

自己破産をすると仕事に影響がでる職業があります。

多いのは警備員・生命保険募集人・宅建士です(自己破産の職業制限)。

 

この記事では、自己破産の職業制限がある具体的な業種と制限がある期間について解説し、該当する場合の自己破産以外の解決方法も紹介します。

この記事を読んでわかること

  • 自己破産の職業制限の代表例(士業・警備員・生命保険募集人・宅建士)
  • 制限期間は、開始決定から免責決定確定までの半年程度の間のみ
  • 該当する場合、裁判所から会社に通知されないので、自分で会社に報告する

自己破産の職業制限とは?

自己破産をすると、自己破産の手続中は特定の職業や資格に就くことが制限されるため、一時的に資格を失ったり、仕事ができなくなったりすることがあります。

 

これを自己破産の職業制限といいます。

 

自己破産をして、職業や資格の制限を受けるのは、破産手続きの開始決定から免責決定確定までです。

過去に自己破産をしているから、一生つけない職業があるという訳ではありません。

 

それでも該当する場合は、現在の仕事ができなくなったりましますので影響は大きいです。

自己破産の職業制限の期間

自己破産の職業制限の期間

自己破産をして、職業や資格の制限を受けるのは、破産手続きの開始決定から免責決定が確定するまでの間です。

 

免責決定が確定すると「復権」し、職業制限が解除されます。

 

期間にすると同時廃止であれば、約3〜4ヶ月間と一時的なものです。

管財事件であれば、半年~1年程度のケースもあります。

免責不許可の場合

免責が不許可になった場合は、破産手続開始決定から詐欺破産罪で有罪判決を受けることなく10年が経過すると自動的に復権することになり職業制限も解除されます。

免責不許可となった後に個人再生の手続に移行し、再生計画認可決定が確定した場合は、その時点で復権し職業制限も解除されます。

家族にも職業制限がある?

家族にも職業制限がある?

自己破産をすると家族への影響を気にする方もいます。

自己破産をしても家族の資格など職業制限に影響はありません。

 

また、自己破産した人の家族だからといって就職に影響することもありません(そもそも家族の就職は先は、家族が自己破産したことを認識できないため)。

自己破産するとできない仕事の代表例

自己破産するとできない仕事の代表例

【士業】

弁護士、司法書士、行政書士、税理士、公認会計士、不動産鑑定士、弁理士、社会保険労務士、宅地建物取引士

 

【一部の職の公務員】

公証人・人事院の人事官・公正取引委員会の委員、公安委員会委員

 

【営業するのに資格登録が必要な職業】

有価証券投資顧問業者、保険勧誘員(損保代理店、生命保険外交員)、警備員、質屋、古物商、建設業者、風俗業者

 

【会社役員】

合名会社、合資会社の社員、株式会社、有限会社の会社役員

※ただし、再度選任されれば就任は可能。

 

【他人の財産を管理する職にある人】

後見人、保証人、保佐人、後見監督人、補助人、遺言執行者

自己破産の職業制限がない仕事・資格

自己破産の職業制限は、特定の職業に限られています。

ほとんどの職業は、自己破産をしても影響を受けません。

 

以下の職業は、職業制限の対象外です。

  • 一般のサラリーマン・会社員(上記の制限対象外の業種)
  • 医師、看護師、薬剤師などの医療職
  • 教員・学校の先生
  • 一般的な公務員(上記の特定ポストを除く)
  • 飲食店・小売業・製造業など一般的なお仕事

職業制限に該当する場合の会社への対応

職業制限に該当すると自己破産したことが会社に連絡される?

職業制限に該当する方が、自己破産をした場合でも裁判所から勤務先等に連絡がされるわけではありません。

 

職業制限に該当する場合は、自ら申告する必要があります。

自ら勤務先に報告したほうがいい?

職業制限を会社に報告

この点については、自ら報告して職業制限に該当しない部署などに配属してもらうなど対応することをおすすめします。

 

対象となる職業の場合は、会社が官報を確認している可能性があり、そこから露見する可能性があります(自己破産の申し立てを裁判所が勤務先の会社に通知することは、勤務先が債権者になっていない限りありません)。

自己破産で解雇されることはある?

自己破産を理由に会社から解雇されることは、原則としてありません。

 

労働契約法では、客観的に合理的な理由がなければ解雇は無効とされており、自己破産はその理由には当たりません。

「自己破産をしたから解雇する」という会社の行為は、不当解雇になる可能性が高いのです。

 

ただし、職業制限に該当する職種の場合は、その業務を続けることができなくなるため、会社から別の部署への異動や休職を求められるケースがあります。

 

「解雇されるのでは」と不安に思っている方も多いですが、自己破産そのものを理由に職を失うことはありません。

士業の登録は取り消し

士業の資格など専門職の場合は、法律に抵触し資格を失う(登録の取り消しなど)ことになります。

 

これに対し、破産手続き中でも資格試験を受験することは可能です。

自己破産の職業制限に該当する場合の他の解決方法

職業制限に該当する職業に就かれている場合、自己破産を選択すると仕事への影響が出てしまいます。

この場合、他の債務整理方法を検討することが現実的な選択肢になります。

任意整理

任意整理は、貸金業者と直接交渉して、今後の利息(将来利息)をカットしてもらい、残金を36回〜60回(3〜5年)の分割で返済する手続きです。

 

裁判所を通わない手続きのため、職業制限が生じません。

また、整理する借金の相手先を選ぶことができるため、会社からの借入がある場合でもその会社だけ除外するといった対応も可能です。

 

ただし、現在の借金の元金自体は減額されません。そのため、債務額が多い場合(目安として300万円以上)は、毎月の返済額が高くなりすぎて完済が難しいケースもあります。

個人再生

個人再生は、裁判所を通じて借金をおおむね5分の1に減額してもらい、原則3年(36回)で返済する手続きです(最低弁済額の基準は下記を参照)。

 

自己破産と同様に裁判所を使う手続きですが、個人再生には職業制限がありません。そのため、警備員・生命保険外交員・宅建士など、自己破産で職業制限を受ける方が選ぶケースが多い手続きです。

 

任意整理では返済が難しい金額の借金であっても、個人再生であれば毎月の返済額を大幅に減らせる可能性があります。住宅ローンがある方は「住宅ローン特則」を使って自宅を守りながら手続きを進めることもできます。

 

どちらの手続きが自分に向いているかは、借金の総額・収入・職業・資産の状況によって異なります。

まずは司法書士や弁護士に相談して、状況に合った解決方法を確認することをおすすめします。

個人再生の最低弁済額の基準

  • 債権総額が100万円未満の場合は全額
  • 100万円以上500万円未満は100万円
  • 500万円以上1500万円未満は5分の1
  • 1500万円以上3000万円未満は300万円
  • 3000万円以上5000万円以下は10分の1

自己破産の職業制限のため個人再生を選択した事例

当事務所に相談にこられたCさんは生命保険の仕事をされていました。

 

Cさん 35歳男性

「給与」手取り(平均)月30万円

「家族構成」一人暮らし

「職業」生命保険関係

「債務の内容」

 住宅ローンなし

 住宅ローン以外の債務総額600万円

 (内訳:消費者金融2社150万円 クレジットカード5社450万円)

「資産」生命保険の解約返戻金 約30万円

「退職金」制度なし

生命保険の募集の仕事をしながら付き合いで債務が増える

Cさんは、生命保険の募集の仕事をしていました。最低の基本給はありましたが、ほぼ歩合制の給料だったため毎月の収入にはばらつきがありました。債務が増えた原因は、保険の勧誘をしながらお客さんとの付き合いで外食や出費が多くなりカード払いを使いすぎたことです。

 

「収入が多い月に返済すればいいや」という考えでリボ払いを利用していましたが、収入が減った月が続くことにより毎月の返済が困難になり、当事務所に債務整理の相談にこられました。

 

ご本人は職業上自己破産はできないという認識があったため、当初は任意整理を検討されていました。ただ、債務額が600万円と多く任意整理では毎月の返済が最低でも約10万円は必要になる試算でした。

 

給与は平均すれば毎月30万円ありますが、多い月と少ない月の差が激しく毎月10万円の捻出は不安とのことでした。

 

仕事のこと(自己破産の職業制限)で、自己破産は選択できませんが、個人再生の手続は可能ですので、個人再生について説明させていただき、個人再生で手続きを進めることになりました。

個人再生だと毎月4万円の支払いに!

個人再生の結果144万円を3年(36回)かけて毎月40,000円で返済することになりました。

 

600万円の債務の5分の1は120万円ですが、正確には個人再生の開始決定がでるまでの間の利息や損害金も加算されるケースが多いので、その時点の債務は720万円(依頼から開始決定まで1年くらいかかると約20%遅延損害金が増える)になっており、5分の1の144万円を支払う計画になります。

自己破産できない職業で個人再生のご相談が多いのは

・不動産会社にお勤めの宅地建物取引士

・保険関係の募集の仕事をされている方

・警備員の方

自己破産の職業制限 よくある質問

ここでは自己破産することの職業への影響や制限についてよくある質問を紹介します。

Q. 自己破産中に就職・転職はできますか?

自己破産の手続き中でも、就職活動や転職をすることは可能です。

 

ただし、職業制限の対象となる職種への就職は、免責決定が確定するまでの間(同時廃止で約3〜4ヶ月)はできません。

一般的な会社員・サービス業・医療職など、制限対象外の職業であれば、手続き中も問題なく転職することもできます。

Q. 自己破産中に資格試験を受けることはできますか?

受験自体は可能です。

 

自己破産の手続き中でも、どの資格試験でも受験することができます。

ただし、職業制限のある資格(士業など)の場合、試験に合格しても免責決定(復権)が確定するまでは資格の登録申請ができません。

復権後に登録手続きを行う必要があります。

Q. 自己破産後、職業制限のある仕事に戻ることはできますか?

できます。

 

免責決定が確定して「復権」すれば、職業制限はすべて解除されます。

警備員・生命保険外交員・宅建士・弁護士・司法書士なども、復権後であれば改めて登録や就業が可能です。

 

ただし、免責不許可となった場合は、破産手続開始決定から10年間が経過するまで復権できない点には注意が必要です。

まとめ

自己破産の職業制限について、この記事のポイントをまとめます。

 

  • 自己破産をすると、手続き中は特定の職業・資格に就くことが制限される
  • 制限期間は、破産手続開始決定から免責決定が確定するまでの間(同時廃止で約3〜4ヶ月)のみ
  • 免責決定が確定して「復権」すれば、すべての制限は解除され、元の仕事に戻ることができる
  • 裁判所から勤務先への連絡はないが、職業制限に該当する場合は自分で会社に申告する必要がある
  • 自己破産を理由に解雇されることは、原則としてない
  • 職業制限に該当する場合は、任意整理・個人再生という別の解決方法も選択できる

 

「仕事のことが心配で自己破産に踏み出せない」という方も、解決方法は必ずあります。

まずは専門家に相談して、あなたの状況に合った最善の方法を確認してみてください。

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この記事の執筆者

執筆者 司法書士黒川聡史

黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)

東京司法書士会所属:登録番号第4230号

簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号

行政書士(登録番号第19082582号)

ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)

経歴: 平成19年に個人事務所を開業。債務整理を中心に15,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動

著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある

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