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自己破産は借金問題を解決する有効な手段ですが、「就職に影響があるのでは?」と心配する方も多いでしょう。
確かに、自己破産には一定の社会的ペナルティが伴います。
しかし、その影響は一般に考えられているほど大きくないのが実情です。
本記事では、自己破産が就職に与える具体的な影響を、破産によって制限を受ける資格・職業を交えながら詳しく解説します。
この記事を読んでわかること
目 次
7. まとめ
自己破産は、借金問題を解決する一つの方法ですが、同時に社会的なペナルティも伴います。
これらのペナルティは、主に情報公開と職業・資格の制限という形で現れます。
自己破産を検討する際は、これらの影響を十分に理解し、慎重に判断するようにしましょう。
自己破産を行うと、破産者としての情報が掲示されます。
掲示される場所を挙げると、政府広報誌である官報と、加盟金融機関と情報のやりとりをする信用情報機関、市区町村役場で管理する破産者名簿の3つがあります。
これらの媒体での情報掲示は、通常、破産開始手続後あるいは免責後の一定期間に渡ります。
この間、少なくとも、クレジットカードの作成や住宅ローンの借入れなど、金融サービスの利用が制限されます。
もっとも、このあと解説するように、上記以外の影響は限定的となる場合が多いと考えられます。
自己破産すると、一部の職業に就くことや資格を登録・更新することが制限されます。
例えば、弁護士、司法書士、税理士、公認会計士などの士業や、宅地建物取引士、警備員、生命保険募集人など、特定の法律で破産が欠格事由とされている職業に就くことが一時的にできなくなります。
これらの制限は免責許可決定の確定により解除されます。
なお、一般職の公務員(教員、警察官、市役所職員等)については法律上の制限はありません。
金融機関や保険会社では、各社の内規により採用や配置に影響が出るケースがあります。
多くの一般企業での就労には影響がないため、全ての職業が制限されるわけではありません。
自己破産した人の情報は3つの方法で掲示されると解説しましたが、それらはどのような媒体なのでしょうか。
気になるのは、破産した人の身辺の人物の目に触れる可能性です。各媒体の特徴や影響範囲を理解することで、自己破産のリスクをより正確に把握できるでしょう。
官報とは、国が発行する公文書で、法律や政令、条約、その他の公文書を掲載する日刊の機関紙です。
自己破産の場合、債権者に届出を呼びかけるため、破産手続開始決定が官報に掲載されます。
2025年4月の官報全面デジタル化以降、官報は内閣府が運営する電子官報サイトで、発行から90日間は誰でも閲覧・ダウンロードできます。
ただし、破産情報などの個人情報は氏名検索の対象外とされ、第三者がピンポイントで検索することは困難になっています。
一般人が日常的に官報を目にする可能性は低いですが、金融機関や一部の企業は定期的にチェックしています。
ただし、個人情報保護の観点から、官報情報の目的外利用は制限されています。そのため、就職や賃貸契約などの際に、官報情報が不利に働く可能性は限定的です。
信用情報機関は、個人や企業の信用情報を収集・管理する民間の機関です。
主な信用情報機関には、全国銀行個人信用情報センター(KSC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)があります。
これらの機関には、自己破産の事実だけでなく、借入れ状況、返済状況、債務整理の有無などの情報も登録されます。
情報の保管期間は機関により異なります。CIC・JICCは免責許可決定の確定日から5年、KSCは破産手続開始決定日から7年が原則です。
登録される信用情報は、金融機関や信販会社などの加盟会員である企業のみが閲覧できます。
その目的は、与信審査など金融機関として営業する場合や、本人や相続人が希望する場合に限られており、ほかの目的(採用活動など)で確認することはできません。
破産者名簿は、本籍地の市町村が作成するもので、裁判所からの通知を受け、破産手続を行った人の情報が記載されます。
名簿に破産者である旨が掲載された場合、市区町村に依頼することで交付される「身分証明書」にも記載されるようになり、勤務先に提出するケースで影響が出ます。
もっとも、破産者名簿に掲載されるケースそのものが稀です。
掲載されるのは、破産手続を開始したにもかかわらず免責許可決定が得られなかった場合などに限られます。
実際に名簿に記載されるケースは極めて少数で、ほとんどの人は掲載されないまま手続を終えます。
仮に名簿に掲載されたとしても、名簿自体が公に開示する性質のものではなく、他人の目に触れる機会はほとんどありません。
よって、破産者名簿に掲載される影響はほとんど考慮しなくても良いと言えます。
ここまで、自己破産の情報が掲示・記録される媒体を見てきましたが、反対に「記録・公開されないもの」についても確認しておきましょう。
まず、住民票や戸籍にも自己破産の記録は載りません。
「役所の書類に一生残るのでは」と心配される方もいらっしゃいますが、住民票や戸籍謄本を見ても、破産した事実はまったく記載されないのです。
さらに、家族の信用情報にも影響はありません。
信用情報はあくまで本人の情報として管理されるため、配偶者や親などの家族が連帯保証人でない限り、家族の信用情報には自己破産の事実が登録されることはありません。
こうした「記録されないもの」を理解しておくことで、必要以上に不安を抱かずに手続きを検討できるでしょう。
自己破産によって制限を受ける職業・資格は多岐に渡ります。
士業や警備業、そのほかの何らかの許可が必要な資格などについては、破産手続を開始すると制限を受けると考えるべきです。
ここでは制限を受ける職業・資格の例を示しますが、併せて解説する通り、どの制限も永続的なものではありません。
基本的には「破産手続が終われば自由に就職できる」と考えて差し支えないでしょう。
破産の申立てにより開始決定を受けた場合、就いた職を罷免・解任される場合があります。
下記はその一例です。
● 司法修習生
● 公安審査委員会の委員長、委員
● 公正取引委員会の委員長、委員
● 再就職等監視委員会の委員長、委員
● 国家公務員倫理審査会の会長、委員
● 裁判所職員倫理審査会の会長、委員
● 地方公共団体金融機構の役員
● 地方公営企業等金融機構の役員
● 地方公務員災害補償基金の役員
● 地方公共団体情報システム機構の役員
● 原子力規制委員会の委員長、委員
● 中央更生保護審査会の委員長、委員
● 公害等調整委員会の委員長、委員
● 中小企業活性化協議会の委員(旧:中小企業再生支援協議会)
● 労働保険審査会の委員
● 社会保険審査会の委員
● 調達価格等算定委員会の委員
● 国地方係争処理委員会の委員
● 個人型年金規約策定委員会の委員
● 原子力損害賠償支援機構の運営委員会の委員
● 日本ユネスコ国内委員会の委員
● 農水産業協同組合貯金保険機構の運営委員会の委員
● 預金保険機構の運営委員会の委員
● 船員等に関する調停員
破産手続を開始することで破産者となったあと、免責許可が確定したときは、破産者としての扱いがなくなります(=復権)。
下記は破産者であることが欠格事由となる職業ですが、復権後は自由に就職可能です。
▼士業
● 弁護士
● 弁理士
● 公認会計士
● 税理士
● 司法書士
● 行政書士
● 土地家屋調査士
● 社会保険労務士
● 通関士
● 公証人
▼その他の職業
● 警備員
● 風俗営業の営業所の管理者
● 動物取扱責任者
● 有料職業紹介事業における職業紹介責任者
● 派遣元責任者
● 不動産鑑定士の登録
● 宅地建物取引主任者の登録
● 中小企業診断士の登録
● 特定非営利活動法人の役員
● 商工会議所の会員、役員
● 商工会、商工会連合会の役員
● 中央卸売市場におけるせり人の登録
● 商品先物取引業者のための外務員の登録
● 金融商品取引業者等のための外務員の登録
● 貸金業務取扱主任者の登録
● マンション士の登録
● 管理業務主任者の登録
● 監査法人の特定社員の登録
▼都道府県・市町村の会議体の委員
● 建築審査会の委員
● 開発審査会の委員
● 土地利用審査会の委員
● 都道府県公害審査会の委員
● 建設工事紛争審査会の委員、特別委員
▼親族関係
● 成年後見人
● 保護者
● 遺言執行者
個人事業主や会社役員として収入を得ている人は、自己破産によって営業を制限される場合があります。
下記がその一例ですが、やはり、営業を制限されたとしても、免責許可を得れば再開して売上を得られます。
● 警備業
● 探偵業
● 鉄道事業の許可
● 銀行等代理業の許可
● 通関業の許可
● 酒類の製造免許、販売免許
● 宅地建物取引業の免許
● 一般建設業の許可
● 一般廃棄物処理業、処理施設の許可
● 産業廃棄物処理業、処理施設の許可
● 産業廃棄物処理施設の許可
● 解体業、粉砕業の許可
● 質屋営業の許可
● 古物商および古物市場主の許可
● 風俗営業の許可
● 有料職業紹介事業の許可
● 自動車運転代行業の認定
● 民間紛争解決手続業務の認証
● マンション管理業者の登録
● 建築士事務所の登録
● 不動産鑑定業の登録
● 測量業者の登録
● 旅行業の登録
● ホテルの登録
● インターネット異性紹介事業者
● 製造たばこの特定販売業の登録
● 製造たばこの小売販売業の許可
● 塩製造業者の登録
● 第一種動物取扱業の登録
自己破産は確かに重大な手続ではあるものの、一般的に考えられているほど就職に大きな影響を与えることはありません。
多くの人は、自己破産に着手したあとも、今まで通りの就業を続けたり、就職を果たしたりしています。その理由は、以下の通りです。
自己破産の情報は官報に掲載されますが、一般の人々や企業が日常的に官報を確認することはほとんどありません。
もっとも他人の目に触れやすいものとして官報が考えられますが、一般的な認知度は低く、多くの人はその存在すら知りません。
過去には『破産者マップ』など、官報の破産者情報をデータベース化したサイトが問題になりましたが、いずれも個人情報保護委員会の指導等により閉鎖されています。
さらに2025年4月の官報デジタル化以降は、破産情報などの個人情報は氏名検索ができない運用となり、90日経過後は閲覧自体ができなくなりました。
免責決定とは、裁判所が破産者の債務返済義務を免除する決定のことです。
通常、破産手続開始から免責決定までの期間は、同時廃止事件で2〜3ヶ月程度、管財事件で3〜6ヶ月程度が目安です。
上記期間中は就職に制限を受けたとしても、免責を得れば、営業許可を再度取得したり、資格を活用して就職したりする行為について、制限を受けるケースはほとんどありません。
現在の勤め先を辞めさせられる可能性についてはどうでしょうか。
結論を言えば、仮に自己破産による資格制限が原因で業務に支障が出たとしても、ただちに解雇を言い渡されることは少ないと考えられます。
まず、労働法が解雇に当たって要求する「客観的に合理的な理由があること」「社会通念上相当であること」に、自己破産が合致しているとは言えません。
自己破産が原因で業務に支障が出たとしても、それがすぐに上記のような解雇理由に合致するとも一般的には言えません。
なお、就業規則に「自己破産した従業員は届け出を要する」旨の定めがある会社もあります。しかし、そのような規定があったとしても、破産の事実を申告しなかったこと自体が直ちに解雇の正当事由になるとは言えません。
自己破産が就職・転職への影響は小さいと解説してきましたが、例外的に不利になるケースも存在します。
あらかじめ把握しておくことで、適切な対策を取ることができます。
自己破産の手続き中(破産開始決定から免責決定まで)は、一定の職業に就けない期間が生じます。
具体的には、前述の通り、弁護士・司法書士などの士業、警備員、宅地建物取引士、などの資格職が該当します。
転職活動でこれらの職種を目指している方も、手続き期間中は就職・就業できない点に注意が必要です。
ただし、免責決定が下りれば制限は解除されます。
通常、免責決定まで4〜6ヶ月程度を要しますので、就職・転職の時期を免責決定後に調整することで、制限を回避できる場合があります。
「自分が目指している職種が制限に該当するかどうか」については、手続き前に必ず確認しておくようにしましょう。
一般的に官報を確認する習慣のある企業・業種は多くありませんが、金融機関・銀行など、与信管理が業務の根幹にある業種では、定期的に官報をチェックしていることがあります。
こうした業種への就職・転職を希望している場合、採用担当者が過去の官報情報で自己破産の事実を知る可能性はゼロではありません。
また、業務上で扱う資金や顧客財産の管理に関わるポジションでは、採用審査において自己破産の有無を確認するケースもあります。
実際のところ、こうした業種への就職が完全に不可能になるわけではありませんが、過去の自己破産が発覚した場合は、採用過程でマイナスの印象を与える可能性はあります。
債務問題を抱えながら就職や転職を考える際、自己破産以外の債務整理方法を検討することで、キャリアへの影響を最小限に抑えることができます。
とくに、任意整理と個人再生は、職業や資格への制限がなく、就職活動への影響も比較的小さい方法です。
これらの方法を選択することで、債務問題を解決しつつ、キャリアの継続や発展を図れます。
任意整理は、弁護士や司法書士を介して債務の返済計画を立て直す方法です。
裁判所を介さず債権者別にとる手続であるため、プライバシーを保護しながら進められ、仕事や家庭への影響を最小限に抑えることができます。
任意整理の開始から終了後までの就職活動は、情報が開示されることも自分から開示する必要もなく、ほかの人と同じように行えます。
任意整理の事実は、与信審査などに用いられる信用情報機関に残されるのみで、採用活動の際に収集されることはまずありません。
個人再生は、裁判所の管理下で債務の一部を免除し、残りを計画的に返済していく方法です。
自己破産と同じく裁判所を通す手続ですが、職業や資格の制限がなく、財産を強制的に換価処分されることもありません。
ただし、保有財産の合計額が最低弁済額を上回る場合は、その額(清算価値)を弁済する必要があるため、財産の多寡が弁済額に影響します。
高額な仕事道具を自分で購入して保有する人や、自己破産によって業務に支障が出る可能性のある人には、向いていると言えるでしょう。
もっとも、裁判所を通す以上、自己破産と同じように、個人再生の事実も官報に掲載されます。
そのため、債務整理したことを完全に秘匿することは難しいかもしれません。
しかし、多くの企業は個人再生の有無を積極的に確認することはないため、実際の就職活動への影響は限定的です。
むしろ、債務問題を解決し、安定した生活基盤を築くことで、より良い就職や転職のチャンスにつながる可能性があります。
自己破産では、官報および信用情報機関で個人情報の開示があり、とくに官報については、一般の人目に触れる恐れがあります。
一部では「身分証明書に記載される」とのイメージがありますが、当てはまるケースは皆無に近いといっても差し支えありません。
問題は資格・職業の制限ですが、基本的には、免責を得るなどして復権した時点で制限は解除されます。
こうした点や、労働法を踏まえると、自己破産が及ぼす就職や勤務状況への影響は、小さいと言えます。
重要なのは、債務問題から逃げずに向き合い、適切な解決方法を選択することです。
自己破産は人生の終わりではなく、新たな出発点となり得ます。正しい情報を得て、慎重に検討し、必要に応じて早めに専門家に相談しましょう。
黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)
東京司法書士会所属:登録番号第4230号
簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号
行政書士(登録番号第19082582号)
ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)
経歴: 平成19年に個人事務所を開業。債務整理を中心に15,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動
著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある
司法書士法人黒川事務所は、債務整理(任意整理・時効援用)などを専門に扱う司法書士事務所です。これまでに19年以上の実績があり15,000人以上を解決に導きました。
企業理念は『あなたの借金問題解決を低料金でサポートしたい!』です。
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