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自己破産マップはまだ存在する?掲載された際の影響を紹介

「自己破産マップ」とは、官報の情報を元に自己破産者の氏名や住所をGoogleマップ上に掲載したサイトのことです。2018年12月に「破産者マップ」が登場して以来、「モンスターマップ」や「新・破産者マップ」など、類似サイトが後を絶たず社会問題となっています。

 

本記事では、自己破産者マップとは何か、問題点や現在の動向、破産者マップに掲載されたときの対処法を解説します。

 

※2024年8月現在では、破産者マップ関連のサイトはGoogleにより検索結果から削除され閲覧できなくなりました。

破産者マップの現状について

自己破産者マップとは?

自己破産者マップとは、自己破産した人や企業の情報をGoogleマップ上にピンで表示したサイトのことです。地図上のピンをクリックすると、以下の3つの情報が確認できます。

 

  • 破産手続きをした日

  • 自己破産者の住所

  • 自己破産者の氏名

 

正式名称は「破産者マップ」といい、2018年12月に運用がスタートしています。その後、炎上によりサイトにアクセスが集中したり、弁護団体が設立されたりなど、紆余曲折を経て2019年3月にはサイトが閉鎖されました。

 

しかし、後継サイトが出現するなど、破産者マップが閉鎖しても問題は依然として解決していません。

自己破産者マップの問題点

自己破産者マップは、誰でも自己破産者の情報を検索できることから、名誉棄損・プライバシーの侵害・個人情報の流出などさまざまな問題があります。

 

中でも、自己破産者本人やその家族に精神的な苦痛や社会活動への影響を与える点が指摘されています。

 

ここでは、自己破産者マップの問題点を解説します。

1. 自己破産者やその家族の精神的苦痛になる

そもそも自己破産は、やむを得ない理由で借金が返済できなくなった人の救済手段として、法的に認められた手続きです。とはいうものの、理由は何であれ世間体を考えて、過去に破産をした事実には触れないでほしいと考える自己破産者も多くいます。

 

借金の問題を解消し新たに生活をスタートさせようとしたときに、マップ上で簡単に自己破産の事実が知られてしまうと、自己破産者本人はもちろん、その家族の精神的苦痛にもつながります。

2. 自己破産者やその家族の社会活動・人間関係への影響

自己破産の事実を知られたくない理由には、社会や周囲からの印象が好ましくなく、社会活動や人間関係に影響がでることがあるためです。

 

たとえば、親が自己破産したと知られることで子どもが学校でからかわれる、親族に知られたことで関係が悪化するなどが考えられます。

 

また、会社などに知られるのを不安に思う人もいるでしょう。興味本位で情報を入手できると、自己破産への正しい理解がない人からの偏見にもさらされます。

3. 犯罪などに悪用される

自己破産者マップの実害としては、犯罪への悪用が考えられます。これらの問題については、後ほど詳しく解説します。

4. 類似サイトが増加する

破産者マップでは削除要請の増加から、以下のような内容を入力する「削除申請フォーム」が作られました

  • 氏名

  • 現住所

  • 電話番号

  • 生年月日

  • 破産した理由

  • 現在の生活

情報の削除を条件とすれば、個人情報の収集や金銭の要求が簡単にできてしまいます。そのため、手口を悪用した類似サイトが出現することも問題のひとつです。

5. 自己破産をためらう人が増加する

自己破産マップは、公開当時多大な影響があったことから、マップに掲載されることを不安視して自己破産をためらう人が増加したともいわれています。

 

自己破産は、債務整理の最終手段でもあります。自己破産が必要な状況まで追い込まれているのに、手続きを遅らせてしまえば、闇金などの違法な金融業者からの借入れを増やす恐れもあれます。さらに問題が悪化し、追い込まれれば人命に関わるケースもあるでしょう。

 

もし、借金の問題に悩んでいるなら自己破産者マップについて考えるよりも、まずは司法書士などの専門家に相談しましょう。

自己破産者マップは官報のデータを元に作成されている

官報とは、国の法令や公示事項を掲載し国民に周知するための機関紙のことで、国が発行しています。行政機関の休日を除き、毎日発行されており、自己破産や個人再生では官報に所定の情報が掲載されます。

 

なお、破産手続では通常、開始決定時と免責許可決定時の2回掲載されます。

官報に破産者情報を掲載する理由

自己破産者マップは官報の情報を元にしているとはいえ、情報を公開する目的が大きく異なります。

 

自己破産や個人再生は借金を帳消しにしたり、大幅に減額したりできる手続きです。そのため、破産が許可されれば、お金を貸している債務者や取引先などの利害関係者にも大きな影響がでます。

 

これらの関係者に破産の情報を知らせる手段として、官報へ掲載しています。

官報に掲載される自己破産者の情報

官報には、自己破産者の氏名や住所などの情報のほか、破産管財人の連絡先など、利害関係者にとって必要な以下の情報を掲載しています。

 

  • 破産者の氏名

  • 破産者の住所

  • 決定の内容

  • 手続きを開始した年月日

  • 債権者集会の場所・日時

  • 破産管財人の連絡先 など

 

なお、借金の理由などは明らかにされません。

官報の情報は直近90日まで無料で閲覧可能

官報は紙で発行されるため、掲載された情報が削除されることはありません。当日発売の官報は、全国の政府刊行物取扱店や、インターネット版官報で閲覧可能です。

 

インターネット版では、直近90日まで無料で閲覧できます。過去の官報は図書館やインターネット(会員制有料サービス)で確認できます。

 

以上のように官報でも自己破産者情報の閲覧は可能です。

 

しかし、一般の人が確認する機会が多くある書面ではないため、それが理由で周囲に破産の事実が簡単に知られるものではないでしょう。

自己破産者マップはまだ存在する?

元祖「破産者マップ」は2019年3月に閉鎖され、その後も類似サイトなどが登場するもこちらも次々に閉鎖されています。

 

しかし、2022年6月にネット上に「新・破産者マップ」が登場し、従来の自己破産者マップ以上に手口が悪質化しているため問題となっています。

類似サイトが登場するも次々と閉鎖

破産者マップが閉鎖された後も、「モンスターマップ」や「自己破産・特別清算・再生データベース」などの類似サイトが出現しました。

 

「モンスターマップ」と「自己破産・特別清算・再生データベース」は、どちらも2019年9月に開始し2020年8月に閉鎖しています。

 

どちらも同年同月に閉鎖をしている理由としては、政府の個人情報保護委員会が上記事業者に対し、同年8月27日までにサイトを停止するよう命令を出したためと考えられます。

2022年6月には「新・破産者マップ」登場

破産者マップの停止後も類似サイトが出現しては個人情報保護委員会が停止命令を出す、いたちごっこの状態が続いていました。

 

このような状況で、2022年6月20日に「新・破産者マップ」という新たな自己破産者マップが出現したことで問題となっています。

 

新・破産者マップの概要は以下のとおりです。

 

  • 2009年~直近の破産者の情報を掲載

  • 海外で運用しているため現地の法律が適用される

  • 内容の削除にビットコイン(10万円前後)を要求される

 

「新・破産者マップ」は海外で運用しているため、日本の法律の影響は受けないと主張しています。このため、個人情報保護委員会が停止命令を出しても、従わないと考えられます。

 

また、マップに表示されるピンの内容やピン自体の削除手数料としてビットコインの支払いを求めるなど、従来以上に悪質性が増している点も特徴です。

個人情報保護委員会の対応

個人情報保護委員会は「新・破産者マップ」の運営者に対し2022年7月20日にサイトの停止勧告を行ったと発表しています。

しかし、改善が見られないため、2023年1月11日には、同委員会初の刑事告発を行っています

 

ですが、現在でも「新・破産者マップ」の運営は続いており、破産者情報が最新のものに更新され、誰でもアクセスできる状態となっています。個人情報の保護のためにも、今後のさらなる対応が期待されます。

自己破産者マップに掲載されたときの影響

自己破産者マップへの掲載は、破産者やその家族の精神的苦痛になるだけでなく、詐欺などのリスクも懸念されます。

 

ここでは、新・破産者マップなどのサイトに掲載される実害を解説します。

詐欺やトラブルの被害に遭う可能性がある

破産者マップでは、ピンの非公開の条件として氏名や住所のほか、それらを証明する身分証などの個人情報の提供を求められました。また、新・破産者マップでは、個人情報だけでなく高額の金銭も要求されています。

 

なお、これらの求めに応じたとしても、本当にマップ上の情報が削除されるとは限りません。

 

自己破産者マップの情報は運営元とトラブルに発展しやすいだけでなく、その情報を元にした第三者からの詐欺に合うリスクも高まってしまいます。

闇金業者に勧誘されるリスクが上がる

闇金とは、出資法の上限金利を超えて金銭の貸付を行う違法金融業者のことです。これらの業者は、昔から自己破産者をターゲットに勧誘を行っていました。

 

マップ上で自己破産者の氏名と住所が可視化されれば、勧誘が容易となる可能性があります。

自己破産者マップに掲載されたときの3つの対処法

自己破産者マップに自分の名前や住所が掲載されたら速やかに弁護士など信頼できる専門家に相談しましょう。間違っても、サイトの求めに応じて金銭を支払ってはいけません。

1. 金銭は絶対に支払わない

「所定の手数料を支払えば情報を削除する」と書かれていても、絶対に金銭は支払わないようにしましょう。万が一支払ったとして、本当に削除される保証はありません。

 

それどころか、現在の個人情報を合わせて聴取され、悪用される恐れもあります。サイトの指示には従わないようにしましょう。

2. サイトに直接問い合わせることも控える

サイトに個人で問い合わせるのも危険なため止めましょう。サイトそのものが詐欺サイトの可能性もあるため、下手に処理するとウイルスに感染する恐れもあります。

 

ウイルスによっては、所定のページにアクセスするだけで感染するものもあるため大変危険です。

3. 信頼できる専門家に相談する

自己破産者マップに自分の情報を見つけたら、まずは弁護士に相談しましょう。サイト名やどのような情報が記載されているかを控えて、弁護士に相談してください。

 

削除依頼は弁護士から出すことも可能です。また、初期の破産者マップのように、行政の働きかけにより閉鎖する可能性もあります。

自己破産を考えているときは専門家への相談がおすすめ

自己破産や個人再生では、官報や自己破産者マップに掲載されることが懸念されるものの、借金をゼロにできる大きなメリットがあります。そのため、借金が毎月膨らんでいるときは早めに専門家に相談しましょう。

 

ここでは、専門家に相談するメリットを解説します。

自分にあった借金の解決方法が確認できる

借金を解決する方法は自己破産だけでなく、以下のようにさまざまな手続きがあります。

 

  • 任意整理:今後の利息をカットする話し合いをする

  • 個人再生:債務を大幅に減額(おおむね5分の1など)する方法

  • 自己破産:債務を免除してもらう方法

  • 過払い請求:払い過ぎた利息を返してもらう方法

  • 時効援用:5年以上支払っていない借金の消滅時効手続き

 

このため、相談者の状況によっては「過払い請求」や「任意整理」など、官報に載らない方法で借金を整理できることもあります。

自己破産のメリットとデメリットが把握できる

自己破産をすると官報に掲載されるだけでなく、クレジットカードが作れなくなる、財産が処分されるなどのデメリットが強調されることが多いものの、借金をゼロにできる大きなメリットがあります。

 

また、司法書士や弁護士を通して自己破産手続きをすれば借金の取り立てを止めることも可能です。なお、自己破産後に築いた財産は処分されることはありません。

 

以上のように、人生をやり直す上でもとくに有効な手段です。抵抗感があったとしても、まずはどのような制度なのか専門家に相談することをおすすめします。

自己破産者マップはいまだに存在するが対策も検討されている

自己破産者マップとは、破産者の氏名や住所などをGoogleマップ上にピンで表示したサイトのことです。2018年に登場して以来、現在でも類似サイトが残っており、個人情報流出や詐欺の温床になるため問題となっています。

 

しかし、問題を放置するのではなく、行政からは停止命令や刑事告発がされています。また、各専門家からは破産公告のあり方を変える必要性などの意見も上がっており、改善に向けた取り組みも進んでいます。

 

もし、自己破産に関する悩みがあるときは、過度に不安がらずに、まずは司法書士などの専門家に相談しましょう。

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