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自己破産は、債務整理の一つです。裁判所に申立てを行い、借金やローンなどの債務を免除(免責)してもらう手続きを指します。ただし、債務の内容によっては、自己破産をしても支払いが免除されない場合があります。
損害賠償責任はその一つです。損害賠償責任の中でも、「非免責債権」として扱われ、自己破産をしても支払い義務がなくならないものがあります。
本記事では、破産手続きと損害賠償責任との関係や、自己破産によって損害賠償責任がなくなるケース、なくならないケースを分かりやすく解説します。
自己破産は、債務の支払いの目途が立たない(支払不能の状態になった)場合に、持っている財産で清算をし、残りの支払いを免除してもらう裁判手続きです。
手続きは財産や負債を調査し、財産により債権者に配当をする「破産手続」と債務を免除してもらう「免責手続」に分かれています。破産手続だけでは負債に関する法律上の責任(支払義務)を免除する効果はありません。
借金やローンの支払い義務を免除してもらうには、さらに「免責手続」を経る必要があります。
この免責手続にあたり、裁判所によっては、裁判官と面談し、債務を免責(支払義務の免除)すべきかどうかを判断することもあります。
「免責不許可事由」に該当する場合、債務の免責が認められない可能性があります。免責不許可事由について定めているのは、破産法第252条1項各号です。
免責不許可事由の一部を抜粋すると、以下の場合は免責許可がおりない可能性があり、債務の支払い義務が免除されないこともあります(該当する場合でも裁量免責という制度で免責されるケースもあります)。
●免責不許可事由の事例
破産手続や免責手続において虚偽の説明・陳述をした場合
浪費やギャンブルによって負債を増やした場合
クレジットで購入した商品をすぐに換金して負債を増やした場合
財産を隠したり、価値を減少させるような行為をした場合
支払能力について、債権者を欺いた場合
過去7年以内に確定した免責許可決定を受けている場合
例えば、浪費やギャンブル、投機などが原因で債務を負い、その程度があまりにも悪質である場合などは、破産手続きを行っても免除されない可能性があります。
また、破産手続きで裁判所に虚偽の説明を行ったり、債権者を欺いたりした場合(財産隠しなど)も、免責許可がされないことがあります。
ただし、免責不許可事由に該当しても、裁判官が個別に免責許可を出す場合があります。この免責許可を裁量免責(破産法第252条2項)と呼びます。
自己破産手続きで免責が許可されたとしても、破産法第253条で定められた「非免責債権」に該当する場合は、自己破産の免責の対象になりません。
“第二百五十三条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
一 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)
二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
四 次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第752条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第760条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第766条(同法第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第877条から第880条までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
五 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
六 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
七 罰金等の請求権”
例えば、滞納している税金や、離婚後の養育費の支払いは非免責債権に該当するため、自己破産の手続きをしても免除されません。
損害賠償責任(損害賠償請求権)が非免責債権にあたるのは、この破産法第253条1項2号や3号に該当する場合です。
例えば、明確な悪意によって生じた損害賠償責任は、破産法第253条1項2号の規定に当てはまるため、破産後も支払い義務がなくなりません。
そのため、「自己破産を行ったにもかかわらず、損害賠償責任の負担が重く、生活を立て直せない」というケースも発生します。
ただし、一部の損害賠償責任は自己破産をすると免除され、支払い義務がなくなります。自己破産によって損害賠償責任がなくなるケースとなくならないケースの違いを知っておきましょう。
損害賠償責任とは、他人に損害を与えてしまった結果、その損害を賠償するために負った債務のことです。
この中でも、非免責債権に該当しない損害賠償責任については、自己破産手続で免責決定を得ることにより免除されます。
ここでは、損害賠償責任の例を2つ紹介します。
債務不履行によって生じた損害賠償責任
不法行為によって生じた損害賠償責任
債務不履行によって生じた損害賠償責任とは、契約などの約束を守れなかったことにより、相手方に発生した損害の賠償責任のことです。
債務不履行には「履行遅滞(りこうちたい):債務の履行が遅れること」「履行不能(りこうふのう):債務の履行ができないこと」「不完全履行(ふかんぜんりこう):債務の履行が不完全であること」の3つの種類があります。
例えば、債務不履行に該当するのは以下のようなケースです。
借金をしていたが、決められた期限までに返済できなかった(履行遅滞)
1点ものの絵画や骨董品を破損し、期限までに引き渡すことができなくなった(履行不能)
書籍の販売を行ったが、一部にページの抜け落ち(落丁)が存在した(不完全履行)
履行遅滞、履行不能、不完全履行などの債務不履行による損害賠償責任は自己破産を行うと原則として免責され、支払い義務がなくなります。
不法行為による損害賠償責任とは、他人の権利や利益を違法(法律違反)な行為により侵害して損害を与えたことによる損害賠償請求権です。
例えば、以下のようなケースが不法行為による損害賠償責任に該当します。
配偶者から請求された不貞行為に基づく慰謝料の損害賠償責任
スポーツをしていて相手にけがをさせてしまった場合の損害賠償責任
痴漢行為や暴力行為などがあった場合の相手方への損害賠償責任
不法行為によって生じた損害賠償責任は、債務不履行によって生じた損害賠償責任とは異なり、場合によっては、非免責債権に該当し、支払い義務が免除されない可能性があります。
故意や重大な過失によって、他人の生命や身体を害した場合の損害賠償責任も免責されません。例えば、以下のケースです。
飲酒運転や無免許運転が原因で、歩行者を死傷させてしまった
故意にDVや暴力事件を起こし、相手を死傷させてしまった
故意にDVや暴力事件を起こし、相手の生命や身体に危害を加えた場合、自己破産をしても損害賠償責任は残ります。
また、飲酒運転や無免許運転、ひき逃げなど、重大な過失が原因で他人を死傷させた場合も、損害賠償の支払いは免責されません。
ただし、同じ交通事故でも、以下の場合は免責される可能性があります。
わき見運転など、重大とまではいえない過失で歩行者を死傷させてしまった
飲酒運転や無免許運転が原因で、住宅などの物損事故を起こした
ポイントとなるのは、「重大な過失に当たるかどうか」「他人の生命や身体に関わる事故かどうか」です。わき見運転など、重大とまではいえない過失が原因の損害賠償責任や、物損事故の損害賠償責任は、破産手続きによって免責される可能性があります。重大な過失に当たるかどうか判断しかねる場合には、専門家に相談しましょう。
自己破産をしても、債務の支払いが免責されないものを「非免責債権」と呼びます。損害賠償責任のうち、非免責債権に該当するものは、破産後も支払い義務がなくなりません。
例えば、詐欺や横領によって被害を与えた場合の賠償責任や飲酒運転で人を死傷させたような場合の賠償責任は、破産手続き後も負うことになります。
ただし、債務不履行が原因の損害賠償責任は、自己破産すると免責される可能性があります。自己破産を検討している方や、損害賠償責任が免責されるかどうか知りたい方は、弁護士などの専門家に相談しましょう。
自己破産の手続きに必要な期間は、自己破産の方法や負債額、借入先の件数によっても異なります。通常は半年から1年程度かかることが多い!
黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)
東京司法書士会所属:登録番号第4230号
簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号
行政書士(登録番号第19082582号)
ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)
経歴: 平成19年に渋谷で個人事務所を開業。債務整理を中心に12,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動
著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある
企業理念は『あなたの借金問題解決を低料金でサポートしたい!』です。
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代表者 黒川聡史
東京司法書士会所属
簡裁代理権法務大臣認定
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