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「自己破産って、どれくらいで終わるんですか」ご相談を受けると、必ずと言っていいほどこの質問が出ます。
借金生活からの解放や生活の立て直しがいつから始められるのか、気になって当然です。
結論からお伝えすると、相談から借金がゼロになる(免責)まで、おおむね半年から1年が目安です。
ただ、相談の現場で実感するのは、期間の長さを決める最大の要素が「裁判所の手続き」ではなく「申立て前の準備」だということです。
ここをどれだけ早く準備できるかで、全体が数か月単位で変わります。
この記事では、自己破産にかかる期間を同時廃止・管財事件の種類別に示したうえで、相談から免責までの流れ、手続きを早く進めるコツ、そして終わったあとに影響が残る期間まで、債務整理を専門に扱う立場から順番に解説します。
この記事を読んでわかること
目 次
8. まとめ
自己破産の手続きにかかる期間は準備期間から免責になる(借金がゼロになる)まで、半年から1年程度時間がかかるとされています。
しかし、期間の詳細は債務者の借入額や資産の状況、どのような手続きをするかによっても異なります。
自己破産で一般的な手続きに必要な期間は以下のとおりです。
同時廃止:約6カ月~9カ月
管財事件:約6カ月~1年
このうち「裁判所に申立ててから免責まで」は数か月で、残りの大半は申立て前の準備期間です。つまり、早く相談して準備に取りかかるほど、全体は短くなります。
同時廃止は、財産が少なく(東京地裁では現金33万円未満・その他の財産は項目ごとに20万円未満が一つの基準)、かつ免責不許可事由(ギャンブルなどの浪費が原因の借金など)のない個人に適用される、簡易な自己破産の手続きです。
同時廃止は管財事件に比べ、予納金などの費用を抑えられるうえ、期間も短く済みます。
破産管財人の選任と面談が不要で、基本的に書類審査で進むためです。
なお、裁判所で審尋(裁判官との面談)を受ける必要がある場合もあります。
費用の目安は、専門家への依頼費用が20〜40万円程度、裁判所へ納める手続費用が官報掲載料を含めて15,000円程度です。
管財事件は、一定以上の財産があるときや、免責不許可事由の調査が必要なときに選ばれる手続きです。
次のような場合に選ばれることが多く、最終的には裁判所が判断します。
管財事件では、第三者の立場で破産者を調査する破産管財人(弁護士)が裁判所によって選任されます。
調査がある分、免責までの時間が長く、費用も同時廃止より高くなります。
費用の目安は、専門家への依頼費用が40万円程度以上、裁判所へ納める予納金が別途20万円〜50万円程度です。
管財事件は、さらに「通常管財」と「少額管財」に分かれます。
期間と費用が大きく変わるので、自分がどちらになりそうかは早めに確認しておきたいところです。
少額管財は、手続きを簡略化し予納金を抑えた運用で、期間も通常管財より短く済みます(おおむね6〜8か月程度)。
一方の通常管財は、財産関係が複雑な場合や法人の破産などで選ばれ、8か月〜1年程度かかることもあります。
注意したいのは、少額管財は弁護士が代理人としてついていることを前提に運用する裁判所が多い点です。
司法書士に依頼して本人申立てをする場合、通常管財となり、予納金が高くなるケースがほとんどです。
同時廃止で専門家へ依頼をしてから、免責になるまでの大まかな流れと期間は以下のとおりです。
専門家への依頼~申し立て:3~6カ月程度
申し立て~破産手続開始決定:1カ月程度
破産手続開始決定~免責:2~3カ月程度
自己破産の手続きは自力でもできるものの、一般的には司法書士や弁護士などの専門家に依頼して行います。
依頼から申し立てまでに時間がかかる理由として、自己破産の手続きでは、自己破産申立書や陳述書、資産目録、債権者一覧表など、必要書類が多岐にわたるためです。
また、債権調査票を債権者から収集し借金の正確な状況を把握する、破産申立費用を積み立てるなどの手続きも必要です。
これらの準備が整うのに3~6カ月程度時間がかかります。
なお、司法書士や弁護士が本人から依頼を受けることを受任といいます。受任すると最短で当日には債権者に対して受任通知をすることが可能です。
受任通知が届くと、大部分の債権者は債務者に対し訪問や電話などで借金を直接取り立てることを停止します。
そのため、自己破産が決定する前に取り立ては止めることができます。
自己破産の手続きは申請すればすぐに始まる訳ではなく、裁判所が手続きの開始が相当であると判断しなればいけません。これを破産手続開始決定といいます。
破産手続開始決定では、提出された書類を審査し不備があれば修正する指示をし、修正が終わるのに2週間から1カ月程度時間がかかります。
破産手続開始決定後は、以下の流れで免責まで進みます。
破産手続開始決定と破産手続廃止決定が同時に行われる
裁判所から債権者に意見聴取をする
免責審尋を行う
免責許可決定
免責許可決定が確定する
財産が少なく管財人の選任が不要な場合、破産手続が開始しても、すぐに廃止して終了します。
この「開始」と「廃止」が同時に行われるのが、同時廃止という名前の由来です。
免責審尋とは、債務者が裁判所へ行き裁判官と面談するもので、時間は10分程度です。
開始決定から免責許可決定まで2か月程度、そこから4週間程度で免責許可決定が確定します。
管財事件について、専門家へ依頼してから免責になるまでの大まかな流れと期間は以下のとおりです。
なお、管財事件の場合、管財人が選任されることで、同時廃止手続き以上に時間がかかります。
専門家への依頼~申し立て:3~6カ月程度
申し立て~破産手続開始決定:1カ月程度
破産手続開始決定~免責許可決定:3カ月以上
免責許可決定~免責許可決定の確定:1カ月程度
管財事件も同時廃止と同様に、必要書類の作成や、債権調査票の収集、破産費用の積み立てなど申し立てに必要な準備をするのに、3~6カ月程度時間がかかります。
なお、依頼後は速やかに受任通知を発送するため、取り立てはストップします。
裁判所に破産申し立ての書類を提出した後は内容を確認し、問題があれば訂正します。また、必要に応じ破産審尋などが行われます。
書類の訂正などが終われば、1カ月程度で破産手続開始決定がされます。
管財事件と同時廃止が異なる点は、破産手続開始決定から免責までの間に、管財人の選定や面談を行う点です。
具体的には以下の流れで進みます。
管財人が選任される
管財人と債務者が面談する
債権者集会をする
免責許可決定
管財人とは、裁判所が専任した第三者的立場の弁護士で、破産者の財産調査や負債の原因の究明などを行います。合わせて、財産を管理し、必要に応じて換金した後、債権者に配るなどの業務もあります。
管財人を設けることで、破産者と債権者の利害関係を適切に調整する役割を担っています。
管財人との面談では、財産状況や借金の内訳、借金を抱えた原因などが聴取され、必要に応じて追加の書類などを求められることもあるため、対応しましょう。
これらの情報を債権者に報告する場が、債権者集会です。
通常、面談の1カ月半後ぐらいに開催され、1~3回程度行います。
財産の換金や配当など必要な手続きがすべて終われば、破産手続きは終了します。
破産手続が終わると、管財人は内容を裁判所に報告し、免責許可をしてよいかどうか判断されます。
問題がなければ免責が許可され、約1カ月後には免責許可が確定され、晴れて借金がゼロになります。
なお、管財事件にかかる期間は1年程度とされているものの、申し立ての準備に時間がかかったり、債権者集会が複数回実施されたりすれば、上記以上に時間がかかることもあるため注意しましょう。
「思ったより時間がかかった」というケースには、いくつか共通点があります。
あてはまりそうな方は、早めに対策しておきましょう。
ここに挙げた4つのうち、書類集めと費用の準備の遅れは、早めに対応すればほとんど避けられます。
自己破産手続きをスムーズに進めるためにも、自己破産が必要になりそうなときはすぐに専門家に相談しましょう。
借入先の件数が少なければ、その分費用を節約することも可能です。
また、相談時は隠し事をせず、書類の作成や提出を求められたら速やかに対応するのもポイントです。
借金の問題を抱えたときは、できるだけ早く司法書士や弁護士などの専門家に相談しましょう。
早期に相談すれば、任意整理など別の方法を取れることもあります。
また、問題が深刻化する前のほうが債務の状況も把握しやすく、結果として早期の申し立てにつながります。
借金にうしろめたさがあり、借入先を隠したり、借金の総額をごまかしたりして伝えると、かえって自己破産まで時間がかかってしまいます。
また、財産を隠すなどは、免責不許可事由に該当し最悪の場合、免責が認められなくなる恐れもあるため危険です。
借入先や金額など、把握している情報はすべて伝えましょう。
弁護士事務所などにより異なるものの、自己破産の申し立ては、必要な費用が揃ってから行います。
たとえば、総額30万円必要であれば、分割払いなどで30万円を積み立ててからでないと、申し立てができません。
そのため、可能であれば、まとまった金額を自己破産用に残しておくと、処理がスムーズに進みます。
もしくは、後述する「法テラス」の費用の立替制度(民事法律扶助)を受ける方法があります。
自己破産の手続きでは、基本的にすべての書類が揃って初めて申し立てができます。
とはいえ、必要な書類は多岐にわたるため、専門家から必要書類の一覧表などをもらって間違いのないように揃えましょう。
また、家計簿や陳述書のように、本人でないと作成できない書類もあります。
作成方法を確認し速やかに用意しましょう。
即日面接とは、東京地方裁判所が行っている運用です。
弁護士が代理人として申立てた同時廃止希望の個人破産について、申立日の翌日から3開庁日以内に裁判官が代理人と面接し、同時廃止が相当と判断すれば、面接当日に破産手続開始決定・同時廃止決定が出されます。
同時廃止が認められれば期間を大幅に短縮できます。
即日面接は弁護士が代理人としてつく場合の運用で、司法書士に書類作成を依頼して本人申立てをする場合は利用できません。早さを最優先するか、費用や相談しやすさを重視するかで、依頼先の選び方も変わってきます。
自己破産の手続き開始後は、以下に該当する行為をしてはいけません。
発覚した場合、免責が許可されない恐れがあります。
新規借入れ
債権者への返済
財産隠し
債権者隠し
浪費・無駄遣い
クレジットカードの現金化
裁判所・管財人への非協力
特に見落としがちなのが、親や友人など身近な人への返済です。
「迷惑をかけた人にだけは先に返したい」という気持ちは分かりますが、これも偏頗弁済として禁止されています。
返したくなったら、まず専門家に相談してください。
破産手続き中は以下の職業への就労が制限されます。
士業(弁護士・税理士・司法書士など)
警備員
証券会社等の外務員
保険外交員
制限されるのは手続きの間だけで、免責許可決定が確定して復権すれば、元の仕事に戻れます。
転職を検討する際も注意が必要です。
理由として、上記の就労制限のある職業への転職に支障が生じたり、転職により退職金が振り込まれることで借金の返済能力があると判断され、免責に該当しなくなる恐れがあるためです。
もし、転職を検討するときは事前に専門家に相談しましょう。
破産手続きの中でも管財事件の場合、引越しや旅行は、破産管財人への報告と裁判所の許可が必要です。
転居により必要な書類が受け取れなくなったり、申請者と連絡が取れなくなったりすることを防ぐためです。
管財事件では、破産者に送付された郵便物はすべて管財人に転送されるため、自分で受け取ることはできません。
管財人が財産や債権者に漏れがないか、郵便物を確認した後、破産者に返却する流れとなります。
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます(いわゆるブラックリスト)。
登録されている間は、新たな借入れやクレジットカードの作成が難しくなります。登録期間は機関によって異なります。
* CIC(クレジット会社系):免責許可決定などから約5年
* JICC(消費者金融系):約5年
* KSC(銀行系):破産手続開始決定日から約7年
「一生ローンが組めない」わけではなく、一定期間が過ぎれば回復します。
自己破産をすると、国の機関紙である「官報」に2回(管財事件の場合は3回)氏名・住所が掲載されます。
ただ、官報を日常的に見る人はほとんどおらず、これがきっかけで勤務先や近所に知られるケースは多くありません。過度に心配する必要はないとお伝えしています。
信用情報に事故情報が登録されている間(おおむね5〜7年)は、クレジットカードの新規作成や住宅ローン・自動車ローンの利用が難しくなります。
手持ちのカードも、自己破産の手続きで解約されて使えなくなっています。
日々の支払いは、デビットカードやプリペイドカードで代えられます。
手続き中に制限されていた職業(士業・警備員・保険募集人など)は、免責許可決定が確定すると「復権」によって制限がなくなり、元の仕事に戻れます。
手続きの開始から復権まで、おおむね数か月程度です。
職業制限も信用情報も、影響が残るのは一定期間だけです。
自己破産は「人生が終わる手続き」ではなく、生活を立て直すための一区切りだと考えてください。
黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)
東京司法書士会所属:登録番号第4230号
簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号
行政書士(登録番号第19082582号)
ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)
経歴: 平成19年に個人事務所を開業。債務整理を中心に15,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動
著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある
司法書士法人黒川事務所は、債務整理(任意整理・時効援用)などを専門に扱う司法書士事務所です。これまでに19年以上の実績があり15,000人以上を解決に導きました。
企業理念は『あなたの借金問題解決を低料金でサポートしたい!』です。
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