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自己破産の手続きは、大きく「同時廃止」と「管財事件」の2つに振り分けられます。
このうち同時廃止に振り分けられると、財産がほとんどない個人の方にとっては、費用も期間も負担がぐっと軽くなります。
ただし、誰でも同時廃止になるわけではありません。財産の状況や免責不許可事由の有無といった条件を満たしているか、最終的には裁判官が判断します。
相談の現場でも「自分は同時廃止になりますか?」とよく聞かれますが、実は自己破産のおよそ7割は、この同時廃止で終わっています。
財産が少なく、借金の事情に大きな問題がなければ、多くの方が同時廃止の対象です。
この記事では、同時廃止になる条件と、相談から免責確定までの流れを、実際にあったご相談に近い事例(Aさん)を交えて説明します。
この記事を読んでわかること
自己破産における「同時廃止」とは、破産手続を始めると同時に、その手続を終わらせる(廃止する)決定が出るタイプの手続きです。
配当に回せるような財産がなく、免責に問題がない場合に適用されます。
具体的には、財産が一定額以下(東京地裁では現金33万円未満・各財産項目20万円以下)で、かつ浪費やギャンブルなどの免責不許可事由がない場合に選ばれます。
財産がほとんどなく、借金の経緯に特別な問題が見られない個人の方が主な対象です。
自己破産には、同時廃止のほかに「管財事件」「少額管財事件」があります。
違いを整理すると次のとおりです。
【同時廃止事件】
配当に回す財産がなく、免責にも問題がない場合のタイプ。
破産管財人は選任されません。
【管財事件(通常管財)】
処分すべき財産がある場合や、免責不許可事由の調査が必要な場合のタイプ。
破産管財人が選任され、予納金も高額になります。
【少額管財事件】
管財事件のうち、財産の調査・処分が定型的に済むと見込まれる場合に、予納金を抑えて行う運用上のタイプ。
東京地裁などで広く使われていますが、原則として代理人弁護士がついていることが利用の前提です。
同時廃止と管財事件の主な違いは次のとおりです。
破産管財人が選任されないことが、同時廃止のいちばんの利点です。
同時廃止になるかどうかは裁判官が判断しますが、東京地裁では次のような点が目安になります。
●財産が少額であること
各財産の項目ごとに20万円以下であること、現金は33万円未満であることが目安です。
「全財産の合計が20万円まで」ではなく、保険・自動車・預金などの項目ごとに20万円を超えるかで判断されます。
20万円を超える換価対象資産や、33万円以上の現金があると、原則として管財事件になります。
●不動産を所有していないこと
持ち家など不動産があると、原則として管財事件で処分・換価の対象になります(住宅ローンが残高を大きく上回るオーバーローンの場合など、例外的に同時廃止となる扱いもあります)。
●法人・法人の代表者・個人事業主でないこと
事業に関する財産や債権債務の調査が必要になるため、これらに当てはまる場合は管財事件になるのが一般的です。
●免責不許可事由がないこと、あっても軽微であること
借金の原因がギャンブルや浪費、詐術的な借入などによる場合は、免責不許可事由に当たります。
財産がなく他の条件を満たしていても、免責不許可事由の調査が必要と判断されると、管財事件になる可能性が高くなります。
同時廃止は自己破産の中でも負担の軽い手続きですが、いい面ばかりではありません。両方を押さえておきましょう。
破産管財人が選任されないため、管財人による調査や財産の処分がなく、手続きがスムーズに進みます。
裁判所に納める予納金(引継予納金)が不要で、裁判所費用は官報公告費用などを含めて1〜2万円程度に収まります。
専門家への報酬も管財事件より抑えられ、相場は20〜40万円程度です。管財人とのやり取りもなく、郵便物の転送もありません。
同時廃止自体に大きなデメリットはありませんが、自己破産そのものの影響は同時廃止でも管財事件でも変わりません。
具体的には、信用情報(いわゆるブラックリスト)への登録、官報への氏名・住所の掲載、一部の資格・職業の一時的な制限などです。
これらは同時廃止だから軽くなる、というものではない点に注意してください。
ここからは、実際のご相談に近い事例で流れを紹介します。
【登場人物】
Aさん(男性)40歳 一人暮らし(家賃7万円)
総債務額380万円(5社) 手取り収入20万円
Aさんは20代は堅実に暮らしていましたが、30代でボーナスのない職場へ転職し、付き合いなどで出費がかさむとクレジットカードでキャッシングをするようになりました。
引っ越しや旅行でまとまったお金が必要なときも、貯金がないためキャッシングで賄う生活に。返済はリボ払いが中心で「借りては返す」の繰り返しとなり、気づけば10年で借金は380万円まで膨らんでいました。
Aさんは「任意整理か自己破産をしたい」と当事務所に相談に来られました。
まず任意整理での解決を検討しました。
任意整理をした場合の毎月の返済見込額は65,000円。ところが家計を見直しても、Aさんが返済に回せるのは月40,000円が限度でした。
そこで任意整理は断念し、自己破産で進めることになりました。
面談では、自己破産のデメリット・手続きの流れ・必要書類・費用、そして司法書士と弁護士の違いなどを説明したうえで、手続きをスタートしました。
手続きをスタートすると、債権者への返済はストップします。
Aさんには申立てに必要な書類を準備していただきます。
Aさんは保険未加入で、勤務先に退職金制度もなかったため、資産関係の書類は銀行口座の通帳が中心でした。
ただ通帳記入をしておらず「おまとめ記帳」になっている部分が多かったので、銀行窓口まで出向いて記帳していただきました。
依頼後は債権者への返済を止めているため、その間に事務所費用を分割でお支払いいただきます(当事務所は月3万円〜の分割でお願いしています)。
書類の準備と費用の積み立てが整ったころで裁判所に申し立てます。
申立てまでの準備期間は半年ほどが目安です。その間、来所いただいたり、郵送や電話で書類確認・打合せを行います。
Aさんは、最初の面談を含めて2回ご来所いただきました。
書類の準備が整ったら裁判所に自己破産の申立をします。
Aさんは申立てから1か月ほど後に裁判所へ行くことになりました。事前に打ち合わせた日程で、仕事を休んで出向きます。
裁判所では担当裁判官と面接します(担当書記官も同席しますが、司法書士は同席できません)。
生活状況や破産に至った経緯、提出書類について質問されますが、うまく答えられないからといって破産が認められないわけではないので、ご安心ください。
破産手続開始決定が出ると、官報に公告されます。
官報に載るのは、氏名・住所・破産手続が開始された旨です。
財産がなく、免責について改めて調査する必要がない場合は、開始決定と同時に手続を廃止する決定が出ます。
これが「同時廃止」です。Aさんは高額な財産がなく、浪費やギャンブルもなかったため、同時廃止決定が出されました。
破産手続開始決定から2〜3か月後に、再び裁判所へ行くことになります。
Aさんにとっては2回目の出頭です。
(東京地裁では原則2回出頭します。裁判所によっては1回だけのところもあり、その場合は破産審尋が免責審尋を兼ねます)
日程は、先の破産審尋の際に「次回はこの日に来てください」という書類で指定されますので、仕事を休んででも出席します。
裁判官と面接して免責してよいかが判断されますが、形式的な質問がほとんどです(東京地裁では集団面接のような形で行われます)。
免責許可決定が出され、官報掲載から2週間ほど経過すると免責が確定します。
免責が確定すると借金の支払義務が免除され、資格制限も復権によってなくなります。
前回の免責許可決定の確定日から7年以内に再び免責を申し立てると、それ自体が免責不許可事由になります。
一度免責を受けたら、しばらくは再度の免責が難しい点に注意してください。
自己破産(地方裁判所の手続き)では、司法書士と弁護士で関われる範囲が異なります。
司法書士は、自己破産・個人再生といった裁判所の手続きについて代理人にはなれず、申立書類の作成を通じてサポートする立場です。
一方、弁護士は代理人として裁判所や債権者とのやり取りを本人に代わって行えます。
特に気をつけたいのが東京地裁での扱いです。
司法書士に依頼すると本人申立てとなり、東京地裁では即日面接・少額管財の運用が使えません。
どちらに依頼するかは、費用だけでなく、管財事件になる可能性は高いのか、お住まいの裁判所の運用も踏まえて検討するのがおすすめです。
個人の自己破産のうち、約7割が同時廃止で処理されています(令和の司法統計でおおむね7割前後)。
財産が少なく、借金の事情に問題がない方の多くが対象になります。
裁判所や運用によります。
東京地裁では原則として破産審尋・免責審尋で出頭が必要ですが、地域によっては出頭が1回だけ、あるいは書面のみで済む場合もあります。
免責不許可事由がない典型的な同時廃止では、反省文が必須になることは多くありません。
ただし借入の経緯によっては、経緯を説明する書面(陳述書など)を求められることがあります。
免責不許可事由があると、調査のため管財事件になりやすくなります。
ただし、免責不許可事由があっても、反省状況などを踏まえて裁判官の裁量で免責が認められる(裁量免責)ケースがほとんどです。
破産管財人が選任され、予納金(少額管財で20万円~50万円程度)が別途必要になります。
手続き期間も半年〜1年程度に伸びるのが一般的です。
黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)
東京司法書士会所属:登録番号第4230号
簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号
行政書士(登録番号第19082582号)
ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)
経歴: 平成19年に個人事務所を開業。債務整理を中心に15,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動
著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある
司法書士法人黒川事務所は、債務整理(任意整理・時効援用)などを専門に扱う司法書士事務所です。これまでに19年以上の実績があり15,000人以上を解決に導きました。
企業理念は『あなたの借金問題解決を低料金でサポートしたい!』です。
業界トップクラスの安い費用であなたの借金問題解決を全力でサポートします!
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代表者 黒川聡史
東京司法書士会所属
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