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自己破産では、借金の免除を認めてもらうために、裁判所へ財産・収入に関する多数の必要書類を提出しなければなりません。
集め方がわからず断念してしまう方もいるほどです。
この記事では、自己破産に必要な書類の一覧、自分で作成する書類と取り寄せる書類の違い、書類が揃わないときの対処法、家族や会社にバレずに準備する方法まで、債務整理を専門とする司法書士がわかりやすく解説します。
自己破産はお金を借りている人にとっては「借金を免除してもらう手続き」です。
反対の視点からみると、お金を貸している債権者にしてみれば半ば強制的に「借金を返してもらえなくなる手続き」といえます。
こういった重大な効果があるため、裁判所としては自己破産を申立てる人が「財産があるか(ないか)隠していないか」など慎重に調査しなければなりません。
その際、基本的には自己破産を申し立てる人が提出する書類によって判断するので、様々な書類が必要とされるのです。
自己破産の必要書類は大きく分けて「自分で作成する書類」と「役所や勤務先などから取り寄せる添付書類」の2種類があります。
まずは全体像を把握しておきましょう。
▼自分で作成する書類(依頼している専門家と作成する)
・申立書
・陳述書(報告書)
・債権者一覧表
・財産目録
・家計収支表(家計簿)
・滞納税金一覧表(滞納がある場合)
▼取り寄せる添付書類
・住民票、戸籍謄本などの身分関係書類
・給与明細、源泉徴収票、退職金見込額証明書などの収入・勤務先関係書類
・預貯金通帳、取引明細書などの預貯金関係書類
・保険証券、解約返戻金計算書などの保険関係書類
・車検証、査定書などの自動車・バイク関係書類
・不動産登記簿謄本、評価証明書などの不動産関係書類
・賃貸借契約書などの居住関係書類
自分で作成する書類は司法書士や弁護士のサポートを受ければ難しくありません。むしろ大変なのは、役所・勤務先・金融機関などから集める添付書類の方です。
「自分のケースではどの書類が必要なのか」は、家族構成・職業・保有資産によって変わります。
申立書は、自己破産を求める意思を裁判所に伝える基本書類です。
氏名・住所・職業・債務総額・破産に至った経緯などを記入します。
書式は裁判所のホームページからダウンロードできるほか、各地の裁判所窓口でも入手できます。
ただし記載項目が多く専門的な判断も必要なため、司法書士や弁護士に依頼すれば代理または書類作成代理として整えてもらえます。
陳述書は、なぜ借金が膨らんだのか、どのような経緯で支払不能に至ったのかを裁判所に説明する書類です。
免責の判断材料として重視されるため、事実を時系列で具体的に書く必要があります。
ギャンブル・浪費・投資失敗などの免責不許可事由がある場合は、反省と再発防止の姿勢を真摯に記載することが重要です。
事実を隠したり虚偽の記載をすると、免責が認められないだけでなく詐欺破産罪に問われる可能性があります。
借入先(債権者)の名称・住所・借入時期・借入金額・残債務額を一覧にまとめた書類です。
クレジットカード会社・消費者金融・銀行・知人からの借入など、すべての債権者を漏れなく記載しなければなりません。
借入先が不明な場合は、信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に信用情報の開示請求を行うのが確実です。
専門家に依頼している場合は、債権者から開示を受けた書類をもとに作成してくれます。
預貯金・保険・自動車・不動産・退職金見込額など、申立人が現在保有しているすべての財産をリストアップする書類です。
「価値がないから書かなくていい」と自己判断するのは危険です。
家財道具レベルの少額財産以外は、原則すべて記載しましょう。
専門家に依頼している場合は、下記の必要書類を参考に専門家が作成してくれます。
申立て前の直近2か月分(裁判所により異なる)の収入・支出を月ごとにまとめた書類です。
水道光熱費・通信費・食費・交際費・保険料など、項目ごとに金額を記入します。
領収証・通帳の引き落とし履歴と照合されるので、家計簿の数字と通帳の入出金が食い違うと差し戻しの原因になります。
住民税・固定資産税・国民健康保険料・国民年金などに滞納がある場合、滞納先・金額・滞納期間を一覧にして提出します。
税金は自己破産しても免責されない「非免責債権」ですが、申立て時には正確に申告する必要があります。
以下のような書類を市区町村役場や年金事務所などの役所で取り寄せる必要があります。
お住まいの地域の役所や年金事務所へ行って申請しましょう。
住民票については「世帯全員分」「本籍地などの記載が省略されていない」「3ヶ月以内」などのルールがあるので、注意してください。
収入を証明する資料や勤務先の会社に発行してもらう資料があります。
・給与明細書(直近2ヶ月分が必要です)
・源泉徴収票(直近1年分又は裁判所によっては2年分が必要です)
・退職金見込額証明書または退職金規程(就業規則)のコピーと計算書
退職金見込額証明書は勤務先に作成してもらいます。
勤務先に頼めない場合・頼みたくない場合には、退職金規程をもとに計算書を作成する方法もあります。
・積立金の証明書
給与明細に「財形貯蓄」「社内積立」「事業保証」等の記載がある場合には、勤務先へ申請して積立金の証明書をもらいましょう。
なお同居人に収入がある場合の収入証明書については、「状況別に必要となる追加書類」の項目で詳しく解説します。
勤務先に退職金証明書を申請すると「なぜ必要なのか」聞かれるでしょう。
これをきっかけに自己破産を知られてしまう可能性があるので、「できれば退職金証明書を申請したくない」方が少なくありません。
また勤務先から発行してもらえないケースもあります。
そういった場合、就業規則や退職金規定によって代用できる可能性があります。
自分で退職金規程を用意し、計算すればよいのです。
ただし「ポイント制」の退職金規程などで人事評価によって金額が変動する場合、退職金規定によっても計算が困難となるので、代用できない可能性があります。
退職の予定がなくても退職金に関する証明書は必要です。
計算上の退職金見込額の8分の1が20万円を超える場合、資産として処分の対象になります。
ただし、実際に退職する必要はありません。退職金見込額の8分の1に該当する額を積み立てて管財人に引き渡し、債権者の配当に充てることになります。
近々退職の予定がある場合やすでに退職して退職金の入金前といった段階になっていると、8分の1ではなく4分の1が資産計上されて債権者へ配当されます。
すでに退職金が振り込まれている場合は「預金」として全額が換価対象になります。
自動車・火災・生命・簡易生命・医療・学資・傷害保険などの保険証券を用意しましょう。
基本的に自分が契約者になっているものが必要で、自分で支払っているかどうかは無関係です。
自分が契約者でなくても、自分が支払っているものは必要となる可能性があります。
過去2年以内に失効・解約しているものについても、保険証券と解約に関する書類を集めましょう。
20万円を超える解約返戻金があれば解約されて換価されます。
掛け捨ての保険や解約返戻金が20万円以下の保険であれば、解約されずに残すことが可能です。
なお20万円は、保険の「合計額」で判定するので、1つの保険は20万円以下でも合計が20万円以上であれば配当対象になります。
解約返戻金が20万円を超えている場合は、自己破産の手続きで換金され管財人の報酬や配当に充てられます。
自己破産の直前であっても保険を解約してかまいません。
ただし、解約返戻金は、原則として手元に残す必要があります。
生活費などの必要な消費に使うことはできますが、きちんと裁判所へ説明しなければなりません。
現金を隠したり正当な理由なしに使い込んだりすると、免責が認められないケースもあります。
勝手に解約しないで、事前に自己破産を依頼している専門家へ相談してください。
保険の名義変更も財産隠しとみなされる可能性があるので、勝手に変更してはいけません。
銀行の預金通帳の履歴から保険料の支払いや解約返戻金の受け取りがわかるので、隠すのは難しいと考えてください。
現在価格については、中古車ショップに査定を依頼したり、ネット査定を利用したり、ディーラーに下取り価格を提示してもらったりするとよいでしょう。
車やバイクも自己破産の換価対象となるケースがあります。
基本的には査定額が20万円を超えると、処分されると考えましょう。
反対にいうと「20万円以下の金額の査定書を取れれば、車を保有し続けられる」ということです。
また査定額が低くても「車両(バイク)ローン」が残っていると、所有権留保にもとづいてローン会社に引き上げられる可能性があります。
所有権留保とは、ローン完済まで自動車の所有者をローン会社にとどめることです。ただし車のローンの中でも「銀行ローン」を利用した場合、一般的に所有権留保はつきません。
車検証にローン会社名が書かれていたら、所有権留保がついているので車が失われる可能性が高いので注意しましょう。
車の査定額が20万円以下であれば、所有権留保がついていない限り車を残せます。
普通自動車の場合初年度登録から6年が経過していたら、20万円以下の査定書は不要、軽自動車の場合、初年度登録から4年が経過していたらやはり査定書が不要となって車を残せます。
車のローンがある場合には失われる可能性が高くなりますが、「所有権留保」がついていなければ車を残せる可能性があります。
家族構成や職業によって、追加で必要となる書類があります。
代表的なケースを紹介します。
事業を営んでいる人や会社役員の場合、以下の書類が追加で必要になります。
・確定申告書の控え(直近2〜3年分)
・青色申告決算書または収支内訳書
・売掛金・買掛金の一覧
・事業用資産の一覧(在庫・機械・設備など)
・取引先一覧
・賃貸借契約書(事業所がある場合)
事業の継続可否によっては管財事件となり、予納金が高額(20万円〜数十万円)になるケースがあります
家族と同居している場合は、家計全体を把握するために以下の書類を求められることがあります。
家族の収入証明が必要な場合でも、家族に詳細な事情を説明する必要はありません。「家計全体の状況を示すために必要」と伝えれば足りるケースがほとんどです。
公的扶助を受けている場合は、それぞれの受給証明書が必要です。
これらは管轄の役所窓口で再発行してもらえます。
家計簿に書いた支出と、通帳の引き落とし履歴が一致していないケースは非常に多い不備です。
たとえば家計簿に「通信費3万円」と書いているのに、通帳には通信費に当たる引き落としが見当たらない場合、現金で支払ったのか、誰かに立て替えてもらったのかなど説明を求められて手続きが長引きます。
申立て直前に10万円を超える入出金がある場合、その理由を明確に説明できる資料が必要です。
「親から借りた」「車を売った」「保険を解約した」など、入金の出所と使途を裏付ける書類(借用書・売買契約書・解約返戻金計算書など)を併せて提出しましょう。
知りながら記載しなかった債権者の借金は免責されません。
特に「家族・知人からの借入」「保証人になっている債務」などは忘れがちです。
記載漏れがあった債権者の借金は破産後も支払義務が残るため、信用情報機関に開示請求をして全債権者を確認することをおすすめします。
住民票・課税証明書・登記事項証明書などは「発行後3か月以内」のものを求められます。
書類集めに時間がかかって有効期限が切れてしまい、取り直しになるケースが少なくありません。
提出直前にまとめて取得するのが最も効率的です。
自動車・不動産・保険など、20万円を超える可能性がある資産については査定書や評価証明書が必要です。
「価値がないから不要」と自己判断せず、車であれば中古車店の査定書、不動産であれば不動産会社の査定書を準備しましょう。
住民票・課税証明書・年金関係書類・賃貸借契約書など、多くの書類は発行元に問い合わせれば再発行や写しの交付を受けられます。
・住民票・課税証明書 → 市区町村役場
・年金受給証明書 → 年金事務所
・賃貸借契約書 → 不動産管理会社・大家
・生命保険証券 → 保険会社のコールセンター
・車検証 → 運輸支局
必要書類の中には、代替書類で認められることがあります。
・退職金見込額証明書 → 退職金規程+自分で計算した書類
・源泉徴収票 → 課税証明書
・古い通帳 → 金融機関発行の取引明細書
裁判所によって認められる代替書類は異なるため、自己判断せず必ず申立てを依頼する専門家に確認してください。
給与明細は通常、毎月手渡しまたはWebで発行されています。
手元にある分のコピーを使えば、勤務先に追加で発行を依頼する必要はありません。
紛失した場合は経理担当者に「住宅ローンの審査で必要」など、自然な理由を添えて再発行を依頼しましょう。
源泉徴収票も毎年末に配布されています。
紛失した場合の再発行依頼は、確定申告・住宅ローン審査などでも普通に行われる手続きなので、再発行依頼自体で自己破産を疑われる可能性は低いといえます。
再発行の依頼先は、勤務先です。
退職金見込額証明書を勤務先に依頼すると、理由を聞かれて自己破産を察知される可能性があります。
その場合は、就業規則・退職金規程のコピーをもとに自分で計算した「退職金見込額計算書」で代用できることがあります。
ポイント制など計算が複雑な退職金制度の場合は代用できないこともあるため、依頼する専門家に相談してください。
黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)
東京司法書士会所属:登録番号第4230号
簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号
行政書士(登録番号第19082582号)
ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)
経歴: 平成19年に個人事務所を開業。債務整理を中心に15,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動
著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある
司法書士法人黒川事務所は、債務整理(任意整理・時効援用)などを専門に扱う司法書士事務所です。これまでに19年以上の実績があり15,000人以上を解決に導きました。
企業理念は『あなたの借金問題解決を低料金でサポートしたい!』です。
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