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自己破産をするときに気になるのが家族への影響だと思います。
・家族に内緒で自己破産できるのか?
・自分が自己破産すると家族に迷惑をかけることになるのか?
・家族の財産や貯金まで処分されてしまうのか?
・家族のクレジットカードやローンに影響するのか?
この記事では、自己破産した場合に家族にバレるケース・バレないケース、家族に与える影響や影響がないケースを司法書士の視点から解説します。
この記事を読んでわかること
目 次(更新:2026年5月25日)
8. まとめ
自己破産の家族への影響を考える際に、まずは、自己破産をする時に家族に内緒でできるのかという問題があります。
相談者の方が気になる代表例は、次に3つです。
それぞれ内緒で自己破産ができるのか解説します。
同居の家族に内緒で自己破産をするのは困難です。
自己破産を申し立てる際の裁判所に提出する書類に、同居の家族の収入の証明や財産に関する書類の提出が必要なケースが多くあります。
また、家計収支表も提出しますが作成には同居のご家族の協力が必要になります。
内緒で書類を集めるというのは無理が生じますので、当事務所は同居のご家族に絶対に話をできないという方の自己破産の依頼はお受けしておりません。
●同居家族の協力が必要な書類
別居している両親などのご家族には内緒で手続きを進められる可能性は高くなります。
同居の家族のような書類提出に関する協力がないからです。
ただし、親が保証人になっている奨学金がある・親が自分名義で預金をしている・親から借金をしているなど、手続に関与してもらう必要があるケース(自己破産の手続きが家族に影響がでるケース)だと内緒で手続きはできなくなります。
ここでは、自己破産の手続き上、家族にバレる可能性がある経路を整理してご紹介します。
『裁判所からの通知』
裁判所からの郵便物は、ご自宅に届くケースが多いです。封筒に「裁判所」と記載されているため、同居の家族が郵便物を確認すれば気づかれる可能性があります。
ただし、自己破産を専門家に依頼している場合は、専門家宛の事務所宛に送付されます。
『債権者からの督促状』
司法書士・弁護士に依頼して受任通知を送るまでは、債権者からの督促状や電話が止まりません。同居家族がいる場合、督促によって借金の存在を知られることがあります。受任通知を発送後は督促が止まりますので、お早めにご相談されることをおすすめします。
『破産管財人からの郵便物』
管財事件になった場合、破産法81条に基づき、申立人本人宛ての郵便物は破産管財人に転送される取り扱いがあります。家族宛ての郵便は転送の対象外ですが、自宅に届く郵便物の流れが変わることで家族が不審に思うきっかけになることもあります。
『官報への掲載』
自己破産をすると、官報に氏名・住所が掲載されます(破産手続開始決定時と免責許可決定時の少なくとも2回)。ただし、官報を日常的に読んでいる方はごく一部の方に限られるため、官報経由で家族や知人にバレることは現実にはほとんどありません。
家族に内緒で自己破産したくても、自己破産の手続自体で家族に影響が出るケースは内緒ですることができません。
自己破産を検討したものの断念する理由として最も多いのが奨学金の保証人がいるケースです。
奨学金は、親と親戚が保証人になっているケースと保証会社に保証料を支払い保証してもらっている機関保証というのがあります。
機関保証の場合は、債権が移った保証会社を債権者として自己破産をすれば問題ありません。
問題がでてくるのは、親と親戚が保証人の場合です。
この場合に自己破産をすると連帯保証人である親に請求がいき、親が今後どのようにして返済するか話し合いをして頂く必要があります。
賃貸の契約にも保証人がついています。
保証料を支払い保証会社が保証しているケースと実家の親に保証人になってもらっているケースのどちらかが多いかと思います。
家賃を滞納している場合は、滞納している家賃も自己破産の対象になります。
保証会社の場合は、保証会社に債権が移っていることが多いので保証会社を債権者に加えて自己破産をすることになります。
親が保証人になっている場合は、滞納している家賃を親が支払っていたら親を債権者として自己破産の手続きに加える必要があります。
親が支払っていない場合は、自己破産をして滞納している家賃が免責されたとしても保証人の親には支払い義務が残りますので大家さんから親に家賃の請求が行くことになります。
このため親が保証人で家賃を滞納している場合も親に自己破産することがバレてしまいます。
自己破産をする際には、すべての債務を対象にする必要があります。
親や兄弟からの借り入れは無関係と思っている方も多いのですが、消費者金融やカード会社と同様に個人からの借り入れも自己破産の対象になります。
最初は個人からの借り入れを隠している方もいますが、手続きを進めていく上で発覚します。
債権者の一部を故意に隠していることが判明した場合、免責不許可事由に該当しますので隠さず手続きに加える必要があります。
このような場合には、正直に話をして自己破産の手続きに協力してもらう必要があります。
ご自身が持ち家を所有している場合、自己破産をすると持ち家は処分の対象になります。
家を処分すれば当然引っ越しが必要になり、同居の家族には自己破産の事実を隠し通すことはできません。
また、住宅ローンが残っている場合は、主債務者の自己破産により期限の利益を喪失するため、保証人になっている家族がいれば、その家族に一括請求がいくことになります。
換価額が20万円を超える価値のある自動車は、自己破産の手続きで処分の対象になります(運用基準は裁判所によって異なります)。
家族で共有して使っている自動車が処分されることで、家族にも自己破産の事実を伝えざるを得ない状況になることが多いです。
自動車ローンが残っている場合は、ローン会社(所有権留保)に車両が引き上げられます。
ここからは、自己破産をした場合に「家族にどのような影響が及ぶか」具体的に解説します。
家族に内緒でできるかどうかとは別に、家族の生活そのものに関わる影響もありますので、事前に把握しておきましょう。
ご自身名義の持ち家がある場合、自己破産の手続きで処分されます。
家族と一緒に暮らしている家も例外ではありません。家を失うことで、家族全員が引っ越しを余儀なくされる可能性があります。
住み慣れた家を離れることは、お子さまの学区が変わるなど、家族の生活に少なくない影響を与えます。
持ち家を残したい場合は、後述する個人再生という選択肢もあります。
換価額が20万円を超える価値のある自動車は処分の対象です(運用基準は裁判所によって異なります)。
普段から家族で利用していた車を処分することになるため、生活の便利さに影響が出る可能性があります。
通勤・通学・買い物などに自動車が欠かせない地域では、家族の生活に大きな影響が出ますので、事前にどのように代替するかを話し合っておくことが大切です。
ご自身名義の預金が20万円を超える場合、原則として処分の対象になります(運用基準は裁判所によって異なります)。
また、解約返戻金が20万円を超える貯蓄型保険(終身保険・養老保険など)も処分の対象になります。
家族のために積み立ててきた保険が処分されることもありますので、保険の解約返戻金額は事前に確認しておきましょう。
「子ども名義だから大丈夫」と思われがちですが、契約者がご自身(自己破産する方)で、保険料を支払っているのもご自身であれば、学資保険は処分の対象になります。
ご自身がクレジットカードの本会員で、家族カードを発行している場合、自己破産をすると本会員のカードと一緒に家族カードも利用停止になります。
家族カードを日常的に使っているご家族(配偶者など)には、自己破産の事実が伝わるきっかけになります。
事前にご家族と相談し、ご家族ご自身の名義でクレジットカードを新規に作っていただくなどの対応を検討しましょう。
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます(いわゆるブラックリスト)。
この影響で、自己破産後おおむね5〜7年間は、ご家族のために保証人になることが難しくなります。(登録期間はCIC・JICCが5年、KSCが7年)
たとえば、お子さまの賃貸契約や奨学金、ご家族のローンの保証人になれないという制約が生じます。
自己破産をすることで「家族に影響が出る(デメリットがある)のであれば手続きを躊躇してしまう」というお気持ちも当然かと思います。
しかし、実際のところ影響すると思っていても影響しないことも沢山あります。
家族に影響しない代表例をご紹介します。
自己破産をしても家族の結婚・就職に影響はありません。
『結婚』
自己破産をしたら子供の結婚に影響が出るのでは?と思われがちですが、自己破産をした事実は住民票や戸籍に載りませんので、結婚相手にはわかりません。
『就職』
自己破産の手続中の資格制限(一部の職種に就けない)は破産する本人だけです。家族には資格制限はありませんし、家族の就職に影響することもありません。
子供の就職先が家族が破産した事実を調べるという行為をすることも通常考えられません。
ポイント
自己破産をする際に、原則として家族の財産(貯金など)が処分されることはありません。
ただし、名義が家族名義でも実質が自己破産をする方の本人名義であると判断されれば処分の対象になるケースもあります。
たとえば、自分の預金・貯金を家族名義に移している場合や自分で支払っている家族が契約者の積立型の保険などがある場合が考えられます。
また、親が自己破産する人名義で預金・貯金をしている場合は、実質は親の財産ですが名義は自己破産をする人になっていることから問題になります。
裁判所へは申告して実質は親の財産であると疎明して手続きを進めていくことになりますが、財産に該当するかどうかは最終的には裁判所や破産管財人の判断になります。
この場合は家族の通帳も提出する必要がでてきますので、内緒で手続きをすすめることは難しいでしょう。
自分が自己破産したら家族が組んでいるローンや利用中のクレジットカードに影響がでるんじゃないか?
「一括請求されたり?利用停止になったり?」
それが原因でバレるんじゃないか?と不安に思う方もいらっしゃいます。
【ご安心ください】
自分が自己破産しても家族のローンやクレジットカードに原則影響はありません。
もちろん保証人になっている場合は影響がでますが、そうでないかぎり無関係です。
ご自身が自己破産をしても、ご家族の信用情報には一切影響しません。
信用情報は個人単位で管理されているため、配偶者やお子さまがブラックリストに載ることはありません。
ご家族はこれまで通り、クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることができます。
冷蔵庫・洗濯機・テレビ・ベッドなど、日常生活に必要な家具・家電は処分の対象になりません。
これらは差押禁止財産(民事執行法131条)として手元に残すことができるため、自己破産後も家族で同じ生活用品を使い続けることができます。
ご家族の生活が大きく変わるわけではない、という点はご安心ください。
ご家族に知られたくないからといって、財産や債権者を隠して申告するのは絶対にやめましょう。
財産隠しは免責不許可事由に該当し、自己破産しても借金が免除されない可能性があります。
特に、家族名義に変えた預金や、家族からの借入を申告しなかった場合、後から発覚すると手続き全体に悪影響を及ぼします。
「家族からの借金だけは先に返したい」と思われる方は多いのですが、特定の債権者だけに返済する行為を「偏頗弁済(へんぱべんさい)」といい、自己破産の手続きでは禁止されています。
偏頗弁済をした場合、免責不許可事由に該当する可能性があるほか、破産管財人によって返済したお金が取り戻される(否認権の行使)ことになります。
ご家族への返済も例外ではありません。自己破産を検討する段階では、誰にも返済をせず、すぐに専門家にご相談ください。
「家族に迷惑をかけたくないから先に離婚しておこう」と考える方もいらっしゃいますが、これは慎重に判断する必要があります。
自己破産直前の離婚で財産分与をすると、財産隠しとみなされて否認される可能性があります。
特に、配偶者に多額の財産を渡した直後に自己破産をすると、破産管財人によって財産分与の一部または全部が取り戻されるおそれがあります。
離婚と自己破産のタイミングは、専門家と相談しながら慎重に判断しましょう。
任意整理は、債権者と直接交渉して将来利息のカットや分割回数の調整を行う手続きです。
任意整理であれば保証人がついている債務を対象から除外して手続きをすすめることが可能ですので、保証人になっている家族に迷惑をかけずに済みます。
裁判所を介さない手続きのため、官報にも掲載されません。
個人再生は、住宅ローン特則を使うことで持ち家を残しながら借金を大幅に減額できる手続きです。
減額後の返済額(最低弁済額)は、借金総額に応じて定められています。
たとえば借金500万円超〜1500万円以下のケースでは原則として5分の1まで、3000万円超〜5000万円以下のケースでは原則として10分の1まで圧縮される可能性があります(債務総額や清算価値などにより実際の弁済額は変動します)。
持ち家を失わずに済むため、ご家族への影響を最小限に抑えたい場合に有力な選択肢です。
ただし、保証人がついている借金がある場合は、主債務者の個人再生開始により期限の利益を喪失するため、自己破産と同様に保証人に一括請求がいきますので、その点はご注意ください(住宅ローン特則を利用した住宅ローンを除く)。
ここではよくあるご質問をご紹介します。
家族に内緒で自己破産をすることは、同居家族の場合は難しいです。
裁判所への提出書類に同居する家族の収入の書類が必要な場合があり、家計の収支を記載した書類の作成にも協力が求められるからです。
別居している家族に対しては、保証人や債務に関わっていなければ内緒で進められます。
自己破産をしても家族の結婚や就職に直接影響はありません。
破産の事実は戸籍や住民票には記載されず、自己破産手続中の制限も本人にのみ適用されるため、家族の就職に影響することはありません。
家族の財産は、原則として自己破産による処分の対象にはなりません。
ただし、名義が家族でも実質的に本人の財産であるとみなされるもの(例:本人の預金を家族名義にしている場合)は処分対象になる可能性があります。
親が自己破産しても、お子さまの進学に直接的な影響はありません。
お子さま自身が奨学金の申込人として申請すれば、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金も利用できます。
ただし、親が連帯保証人になれない場合は、機関保証(保証会社による保証)を選択する必要があります。機関保証の場合は、毎月の奨学金の貸与額から保証料が差し引かれて振り込まれる仕組みになっています。
公的年金(国民年金・厚生年金)は自己破産の影響を受けません。
受給権は差押禁止財産として法律で保護されていますので、これまで通り受給できます。
企業型確定拠出年金や個人型iDeCoについても、確定拠出年金法32条により給付を受ける権利は差押禁止財産とされており、原則として自己破産の手続きで処分の対象にはなりません。
ただし、年金として受給開始した後に預金口座に振り込まれた金銭は預金債権となり、別途取り扱いが問題になることがあります。
名義はお子さまでも、実質的にご自身(自己破産する方)の資金から積み立てている場合は、本人の財産とみなされて処分の対象になる可能性があります。
お年玉や祖父母からの贈与など、お子さまの財産として明確に区別されているものは処分の対象外です。
通帳の入出金履歴を確認されることがありますので、ご家族の通帳の準備も必要になるケースがあります。
黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)
東京司法書士会所属:登録番号第4230号
簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号
行政書士(登録番号第19082582号)
ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)
経歴: 平成19年に個人事務所を開業。債務整理を中心に15,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動
著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある
司法書士法人黒川事務所は、債務整理(任意整理・時効援用)などを専門に扱う司法書士事務所です。これまでに19年以上の実績があり15,000人以上を解決に導きました。
企業理念は『あなたの借金問題解決を低料金でサポートしたい!』です。
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