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自己破産のタイミングは、離婚前と離婚後のどちらが良いのでしょうか。自己破産のタイミングによっては、必要な手続きや費用が異なる場合があります。
また、配偶者の生活への影響も変わってくるため、離婚を先にするか、破産手続きを先にするかをよく考えることが大切です。
本記事では、自己破産をすべきタイミングや、離婚前・離婚後に自己破産するときに気を付けたいポイントを解説します。
自己破産は離婚前・離婚後のどちらのタイミングですべきでしょうか。それぞれのメリット・デメリットは以下の表のとおりです。
ここでは解説の便宜上、夫婦のうち財産の多い方が夫、少ない方が妻という家庭のケースで解説します。
◇妻が破産するケース
メリット | デメリット | |
---|---|---|
離婚前に自己破産 |
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離婚後に自己破産 |
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◇夫が破産するケース
メリット | デメリット | |
---|---|---|
離婚前に自己破産 |
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離婚後に自己破産 |
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妻が離婚前に自己破産するメリットは、「同時廃止事件として扱われやすくなる」という点です。
破産手続きには、同時廃止事件と管財事件(少額管財事件)の2種類があります。手続きが簡単な同時廃止事件に対して、管財事件は破産管財人の選任が必要で、さらに予納金(裁判所に支払う費用)の支払いも高額です。
同時廃止事件 | 破産者が財産を持たないことが明らかな場合、破産管財人を選任せずに手続きを進めること |
管財事件(少額管財事件) | 破産管財人を選任し、破産者の財産を処分して借金などの返済に充てること |
通常の破産手続きは「管財事件」として取り扱われます。
例えば、以下の例のように破産する人が一定以上の財産を所有しているか、本人に免責不許可事由がある場合(浪費やギャンブルが原因の借金など)、管財事件に該当します。
債務者に33万円以上の現金がある場合
債務者に20万円以上の換価対象資産がある場合(預貯金、保険の解約返戻金など)
債務者が所有する不動産の被担保債権額が不動産処分価格の1.5倍未満の場合
債務者の資産調査が必要な場合
債務者が法人の場合
債務者が法人の代表者又は個人事業者の場合
債務者の免責調査を経ることが相当な場合
管財事件ではなく、同時廃止事件として破産手続きを進めたい場合は離婚前に自己破産の手続きを行いましょう。
離婚してから破産手続きを開始すると、慰謝料や財産分与を通じて、破産する人が一定以上の財産を所有することになる可能性があります。
そのため、慰謝料受取りや財産分与前に破産手続きをすることで、手続きが簡単な同時廃止事件として取り扱われる可能性が高くなります。
一方、夫が離婚後に自己破産するデメリットは2点あります。
財産隠しを疑われる可能性がある
管財事件になる可能性がある
夫が離婚後に自己破産するときに注意したいのが、財産隠しを疑われる可能性です。自己破産の手続きに当たって、裁判所は破産者の資産や負債を調査します。
離婚手続きの段階で、配偶者に必要以上の財産分与を行っている場合、「手元にお金を残すために財産を隠した」「財産の過少申告を行った」とみなされ、自己破産に影響する可能性があります。
こうしたリスクがあることから、離婚後に自己破産する場合、破産管財人を選任し、管財事件として取り扱われることが多くなります。
管財事件になると、同時廃止事件よりも手続きに費用や時間がかかるため、離婚前に財産分与する場合は、渡しすぎにならないように通常以上に神経を払い、裁判所にきちんと説明する必要があります。
養育費や婚姻費用と違って、慰謝料の請求権は非免責債権ではありません。
そのため、離婚手続きの段階で慰謝料の支払いを約束していても、その後の破産手続きによって請求権が免責されます。
慰謝料の請求権が免責されないように手続きを進めたい場合は、まず破産手続きを行ってから、離婚手続きを進めましょう。ただし、破産してから離婚する場合でも、慰謝料の請求権が免責されるケースがあります。
例えば、配偶者の不貞など、慰謝料請求権の根拠となる行為がすでに発覚している場合です。この場合、離婚手続きが完了していなくても、すでに慰謝料請求権が発生しているとみなされるため、破産手続きの段階で慰謝料請求権が免責されることになります。
離婚後に自己破産を行っても、慰謝料請求や財産分与請求が免責されない場合もあります。
例えば、配偶者に対してDVを行っていたケースです。
破産法第253条によると、以下の例に該当する請求権は、非免責債権とみなされます。
破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
DVなど、悪意のある行為が原因で発生した慰謝料は、自己破産しても支払い義務が免除されません。
ただし、配偶者の不貞に基づく慰謝料は非免責債権とはみなされません。慰謝料請求や財産分与請求が免責されるかどうか不安な場合は、一度弁護士などの専門家に相談してください。
離婚手続きと破産手続きを一緒に行う場合、手続きを進める順番によって配偶者への影響が大きく変わります。
財産の大きい方が破産する場合、配偶者への影響をなるべく抑えたい場合は、まず離婚をしてから破産手続きを進めましょう。離婚する前に破産手続きをすると、夫婦の共有財産も処分対象になるため、夫婦間のトラブルに発展する可能性があります。
一方、財産の少ない方が破産する場合は、離婚をする前に破産手続きをすると、管財事件ではなく、同時廃止事件として扱われる可能性が高くなります。同時廃止事件になった場合、管財事件よりも手数料が安く、比較的短期間で手続きが完了するため、破産手続きの負担を軽減することが可能です。
離婚前に自己破産する場合と、離婚後に自己破産する場合のメリット・デメリットを理解した上で手続きを進めていくことが大切です。
自己破産のタイミングについて疑問や悩みがある場合は、弁護士や司法書士などの専門家にご相談ください。
自己破産を行うと信用情報に「事故情報」として記録されます。いわゆるブラックリストとして登録され、情報が削除されるまでには7年程度時間がかかります。
自己破産の手続きに必要な期間は、自己破産の方法や負債額、借入先の件数によっても異なりますが、半年から1年程度かかることが多い。
自己破産申請中の生活は、仕事を続けたり、賃貸物件に住み続けたりできることは多くあります。一方、やってしまうと免責が許可されない行為もいくつかあるため注意が必要です。
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