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自己破産申請中は仕事を続けられるのか、クレジットカードは利用できるのかなど、どのような生活になるのか不安に思う人も多いでしょう。
管財事件でなければ、日常生活を送る分には、制限されることはあまり多くはありません。
一方で、知人への借金返済やギャンブルでの浪費など、やってしまうと自己破産の免責許可が下りなくなる行為があるため注意が必要です。
本記事では、自己破産申請中の生活でできること・できないこと・注意点を解説します。
この記事を読んでわかること
自己破産には、同時廃止と管財事件の2つの方法があります。
| 自己破産の種類 | 概要 |
|---|---|
| 同時廃止 | 破産手続開始決定と同時に破産手続きが廃止される 高額な財産がなく処分の必要がない人や免責不許可事由がない人に割り当てられる自己破産手続き |
| 管財事件 | 破産管財人が選任され、免責調査、財産の換金処分、債権者への配当などを行う手続き 高額な財産があったり、浪費やギャンブル(免責不許可自由)による借金が著しかったりするときにも振り分けられる |
なかでも、管財事件は財産の管理や処分、居住地の変更、通信の秘密など、同時廃止にはない制限もある点が特徴です。
自己破産申請中の生活でできないこと(制限されること)を解説します。
自己破産の中でも管財事件の場合は、自分の財産を管理・処分できる「管理処分権」を喪失し、権限は破産管財人に移り、管財人が財産の換価処分を進めます。
なお、管理処分権の喪失の対象となるのは、破産手続開始決定のときに所有していた財産のみです。決定後に給与などで新たに取得した財産は、自由に使って問題ありません。
また、以下に該当する財産は、差し押さえが禁止されているため、自由に管理・処分できます。
生活必需品(家具、家電、衣類など)
国民年金など公的受給権
99万円以下の現金
職業に必要な道具 など
上記以外にも、裁判所の運用により価値が20万円未満の財産も残せる運用が殆どです。
破産手続中は、裁判所の許可なく居住地を変更できません。
破産管財人は破産者の財産管理や調査を行うため、破産者はいつでも説明できる状態にしなくてはいけないためです。
なお、許可なく引越しなどすれば、免責(借金の帳消し)が許可されない「免責不許可事由」に該当する恐れもあるため、引越しが必要なときは事前に依頼している専門家に相談しましょう。
「居住地の変更」と同様の理由により、破産手続中は長期旅行や海外旅行も事前の許可が必要です。
ただし、2~3日の帰省など合理的な理由であればよいものの、娯楽のための海外旅行などは認められない可能性が高いでしょう。
管財事件では郵便物を自分で受け取ることもできません。
届いた郵便物は破産管財人に送られ、中身を確認した後に破産者に転送されます。
これは、破産者が保険解約金など一部の財産を隠したり、一部の債権者に自己破産の事実を隠したりなどの不正を防止するためです。
なお、郵便物の受取りの制限は、破産者のみを対象とするため、同居する家族の郵便物まで確認されるといったことはありません。
自己破産申請中は、以下のような資格を利用した職業や仕事が制限されます。
| 資格 | 職業 |
|---|---|
| 士業 | 弁護士 司法書士 税理士 行政書士 宅地建物取引士 不動産鑑定士 など |
| 役職 | 会社取締役 成年後見人 遺言執行者 など |
| その他 | 警備員 公証人 貸金業者 風俗業管理者 生命保険募集人 管理業務主任者 旅行業務取扱管理者 など |
これら職業の制限は破産法ではなく、民法や宅建業法や警備業法など、各職業や資格に関する個別の法律で規定されています。
主に他者の財産を管理する業務で制限がされている点が特徴です。
職業の制限は自己破産後も続くわけではなく、免責決定が確定すれば制限が解除されます。
自己破産の手続きを専門家に依頼すると、受任通知が債権者に送られ、その時点でブラックリストに登録されます。
ブラックリストとは、信用情報機関で個人信用情報が「事故情報」として登録されることです。
なお、信用情報機関とは、個人の今までの信用取引の情報(個人信用情報)を収集・管理する機関です。
ローンの申し込みなどの手続きでは、各金融機関が信用情報機関に個人信用情報の照会をして、貸し倒れのリスクが少ないと判断されたときに審査が通る仕組みとなっています。
このため、個人信用情報がブラックになってしまうと、以下のような手続きができません。
クレジットカードの利用・更新・新規発行
ローンの申し込みや新規借入れ
スマートフォンの本体の分割支払い
信販系の保証会社を利用する賃貸物件の利用
他者の保証人や連帯保証人になる
なお、ブラックリストも永久に登録されるわけではなく、自己破産であれば5年から7年程度で情報は削除されます。
自己破産を申請すると、クレジットカードは使えなくなるものの、破産者とは別の本会員が発行し、本会員と同様の機能が使える家族カードは利用できます(ただし、当然無駄遣いは問題視される可能性があります)。
また、銀行口座から現金を直接引き落とせるデビットカードや、事前に現金をチャージして使うキャッシュレス決済方法、プリペイドカードの新規申込や利用も問題ありません。
そのため、全ての支払いを現金でしなければいけないわけではありません。
先述のとおり、職業の中でも他者の財産を守るような仕事は、関連法により一定期間資格が制限されます。とはいえ、それらに該当しない仕事であれば、自己破産を理由に仕事を解雇することは不当となります。
自己破産申請中であっても、現在続けている仕事の多くは継続できます。
旧民法では、自己破産を理由として賃貸物件の退去を命じることができました。
しかし、法改正により上記条文は削除され、現在では自己破産のみを理由として、利用者に退去を命じることはできません。
ただし、家賃を滞納しているときは、この限りではないため注意しましょう。
これまで家賃の滞納などがないのであれば、自己破産申請中も同じ賃貸物件に住み続けることが可能です。
自己破産申請中であっても、賃貸物件を新たに契約し入居することは可能です。
管財事件のときは、事前に破産管財人などに許可を得ることが必要です。
なお、賃貸物件の中でも信販系の会社の家賃保証会社を付けるものは(主にクレジットカード払いにするなど)、審査のとき信用情報の照会が必要なため、借りられない可能性があります。
携帯電話やスマートフォンは、以下の条件に該当する場合、継続して利用できます。
本体代金を払い終わっている(分割支払いがない)
利用料金の滞納がない
携帯電話の本体価格が20万円以下
なお、利用料金の支払いをクレジットカードにしているときは、口座振替やコンビニ支払いに変更しておきましょう。
自己破産をしても選挙権が剥奪されるなどのことはありません。そのため、自己破産申請中に選挙があれば、いままで通り投票できます。
選挙権だけでなく被選挙権にも影響はないため、立候補も可能です。
自己破産申請以前から加入している保険が、自己破産を理由に解約されることはありません。また、新しい保険に加入もできます。
保険各種は申し込みのとき、個人信用情報の照会はしないため、継続・新規加入、どちらも問題がないためです。
ただし、解約返戻金が20万円を超えるものは、財産とみなされ自己破産の手続き中に原則解約が必要となるため注意しましょう。
公的年金制度の年金給付は、自己破産であっても原則差し押さえが禁止されています。このため、自己破産申請中も自己破産後も、これまで通り受け取れます。
また、自己破産を理由として、給付額が減額されることもありません。
生活保護も生活困窮者の最低限度の生活を保証する共済公的制度のため、自己破産申請中・自己破産後、どちらでも受け取れます。
なお、国により設立された法的トラブルの解決機関「法テラス(日本司法支援センター)」の法律扶助(費用の立替制度)を利用することも可能です。
生活保護受給者の場合は、立替を受けた費用の償還を免除されることもあります。
「お金がないから自己破産できない」と考えずに、まずは専門家へ相談しましょう。
自己破産手続き中は、日常生活の大部分は今までどおり送れます。
しかし、一部の行為については「免責不許可事由」に該当したり、同時廃止から管財事件に切り替わったりする恐れがあるため注意が必要です。
ここでは、自己破産手続き中にしてはいけないことを、実務でとくに問題になりやすい順に解説します。
自己破産手続き中、特定の債権者にだけ借金を返済する行為を「偏頗弁済(へんぱべんさい)」といいます。たとえ善意であっても、偏頗弁済は免責不許可事由に該当し、免責が認められなくなる恐れがあるため注意しましょう。
実務でよく問題になるのは、以下のようなケースです。
親や兄弟への返済
「家族には迷惑をかけたくない」という気持ちから、親や兄弟からの借金だけ先に返してしまう人がいます。
しかし、家族や親族も法律上は債権者の一人です。家族への返済も偏頗弁済に該当します。
勤務先(会社)への返済
社内貸付制度など、勤務先からの借入れも債権者一覧に記載が必要です。
「会社に知られたくないから先に返したい」という相談もよくありますが、これも偏頗弁済となります。
自己破産手続き中に新たに借金をすることは、絶対に避けてください。
「自己破産することがわかっているのに借りる」行為は詐欺破産罪に該当する恐れがあり、免責が認められないだけでなく、刑事責任を問われる可能性もあります。
具体的には、以下のような行為が該当します。
また、ショッピング枠で換金性の高い商品(家電、ブランド品、商品券など)を購入する行為も、新たな借金と同じ扱いになるため避けましょう。
「生活費が足りなくて借りるしかない」という状況の場合は、自分で判断せず、必ず依頼している専門家に相談してください。
自己破産申請で財産を意図的に隠すと、免責不許可事由に該当するだけでなく、悪質なものは詐欺破産罪に該当し、有罪判決を受ける可能性もあります。
財産隠しの具体例は以下のとおりです。
預金口座から現金を引き出し隠す
預金口座の一部を申告しない
株式・投資信託の利益を申告しない
不動産や自動車の名義変更
財産や現金を親族や知人に預ける
財産譲渡のように偽装する
もし、隠すつもりはなかったものの、自己破産申請中に財産が見つかったときは、すぐに申告しましょう。
ギャンブルや浪費による借金は、本来であれば自己破産の対象とはなりません(免責不許可事由)。
しかし、自己破産に至った経緯や反省・更生の姿勢などを踏まえ、裁判官の判断による「裁量免責」が認められるケースが多くあります。
問題は、自己破産手続き中にもギャンブルや浪費を続けているケースです。
「反省していない」と判断されれば、裁量免責も認められなくなる可能性が高いため、手続き中は以下のような行為を控えてください。
預金口座の入出金履歴は破産管財人がチェックするため、手続き中の支出は必ず把握されます。
裁判所や破産管財人に対して虚偽の説明をしたり、必要な情報を申告しなかったりする行為は、免責不許可事由に該当します。
実務上、これは「申告漏れ」と「虚偽説明」の2つに分けて考えると分かりやすいです。
申告漏れ(書き忘れ)
債権者一覧や財産目録に記載すべきものを、うっかり書き忘れてしまうケースです。たとえば、昔借りた友人からの少額の借金、使っていない銀行口座、解約し忘れた保険などです。
申告漏れに気づいた時点ですぐに専門家へ報告し、追加申告をすれば、大きな問題になることはほとんどありません。
「うっかり忘れていた」と「故意に隠した」では扱いが大きく異なるため、気づいたらすぐ正直に伝えることが重要です。
虚偽説明(嘘)
破産管財人の質問に対して、事実と異なる説明をする行為です。
虚偽説明は免責不許可事由にも該当します。
破産管財人は「破産者を罰する人」ではなく「公平な手続きを進める専門家」です。正直に事情を説明すれば、生活再建に向けて協力的に対応してくれるケースがほとんどです。
隠そうとせず、聞かれたことには正直に答えることが、結果として最も早い解決につながります。
上記以外にも、自己破産手続き中に注意すべき行為があります。
闇金の利用
闇金とは、法定金利の上限を超えた金利で金銭の貸付を行う違法業者で、貸金業法の指定を受けていない業者も含まれます。
闇金は、破産者の情報が掲載される公的機関紙の官報などの情報を元に、自己破産者をターゲットとするケースがあります。
「自己破産でもお金を貸します」といったDMやSMSが届いても、絶対に利用しないでください。
自己破産手続き中の離婚
自己破産申請中の離婚が禁止されているわけではないものの、財産分与による財産隠しを疑われ、同時廃止から管財事件に変更される恐れがあります。
そのため、やむを得ない事情がある場合を除き、自己破産の手続きが完了し落ち着いてから離婚をしたほうがよいでしょう。
黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)
東京司法書士会所属:登録番号第4230号
簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号
行政書士(登録番号第19082582号)
ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)
経歴: 平成19年に個人事務所を開業。債務整理を中心に15,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動
著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある
司法書士法人黒川事務所は、債務整理(任意整理・時効援用)などを専門に扱う司法書士事務所です。これまでに19年以上の実績があり15,000人以上を解決に導きました。
企業理念は『あなたの借金問題解決を低料金でサポートしたい!』です。
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