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昔の医療費(病院代・入院費)も時効になる?払う前に確認すべきポイントを解説

ある日突然、何年も前の病院代や入院費といった医療費の請求書が届き、「こんな昔の請求、今さら払わないといけないの?」と驚き、不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

あるいは、亡くなったご家族宛に届いた請求に、どう対応すべきか悩んでいる方もいるかもしれません。

 

実は、医療費にも借金と同じように「時効」があり、一定の条件を満たせば支払い義務がなくなる可能性があります。しかし、ただ時間が経過しただけでは時効は成立しません。

 

この記事では、昔の医療費の請求がきた場合に、慌てて支払ってしまう前に確認してほしいポイントや対処法について、専門家の視点から分かりやすく解説します。

医療費も時効になる

医療費にも借金と同じように「時効」がある

「時効」と聞くと刑事事件を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、民事上の権利、特にお金の支払いに関する権利にも「消滅時効」という制度があります。

 

医療費(診療報酬債権)もこれに該当し、一定期間、権利の行使(請求など)がないまま経過すると、その権利が消滅する可能性があります。

「消滅時効」とは?支払い義務がなくなる条件

「消滅時効」とは?

消滅時効とは、債権者が一定期間、その権利を行使しない場合に、債務者が「時効なので支払いません」と主張(これを「時効の援用」といいます)することで、支払い義務が消滅する制度です。

 

つまり、医療費の支払い義務がなくなるためには、

  1. 時効期間が経過していること
  2. 債務者が「時効の援用」を行うこと

という2つの条件を満たす必要があります。

自動的に時効が成立するわけではない

重要なのは、時効期間が過ぎただけでは自動的に支払い義務はなくならないという点です。

 

時効の利益を受けるためには、債務者自身が債権者に対して「時効が成立しているので支払いません」という意思表示(時効の援用)をする必要があります

 

これをしない限り、たとえ時効期間が経過していても、支払い義務が残った状態になっています。

弁護士事務所や債権回収会社から請求がくるケースもある

医療費は弁護士から請求がくるケースが多い

昔の医療費の請求は、必ずしも元の病院から直接来るとは限りません。

 

病院が回収業務を弁護士事務所に依頼していたり、債権そのものを債権回収会社(サービサー)に譲渡しているケースもあります。

 

請求元がどこであっても、時効の対処法は同じです。

請求書に記載されている「請求者」や「譲受人」などをよく確認しましょう。

医療費の時効は何年?

では、具体的に医療費の時効期間は何年で、いつからカウントが始まるのでしょうか?

これは、その医療費が発生した時期によって異なります。

医療費の時効期間は3年か5年

医療費の時効は何年

医療費の時効期間は、2020年4月1日に施行された改正民法の影響で、それ以前と以後で異なります。

 

●いつの医療費か?民法改正(2020年4月施行)による影響●

  • 2020年3月31日までの診療費

    • 原則として3年です。

これは、改正前の民法で「医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権」の時効期間が3年と定められていたためです(旧民法170条)。

 

  • 2020年4月1日以降の診療費

    • 原則として5年です。

改正民法では、債権の消滅時効は「権利を行使することができることを知った時から5年間」または「権利を行使することができる時から10年間」のいずれか早い方と定められました(民法166条1項)。

 

医療費の場合、通常、病院側は診療後すぐに請求できることを認識しているため、「権利を行使することができることを知った時」から数えて5年が適用されると考えられます。

 

したがって、届いた請求書に記載されている診療日(または支払期日)がいつなのかをまず確認することが非常に重要です。

 

●過去に裁判されている場合は10年

注意点として、過去に病院側が未払いの医療費について裁判を起こし、判決が確定している場合は、時効期間が判決確定日から10年に延長されます。

たとえ元の時効期間が3年や5年であっても、裁判手続きが取られていると時効成立までの期間が長くなります。

時効期間がリセット(更新)されるやってはいけない行動とは?

時効の更新を確認する

「時効期間が過ぎているはずだ」と思っていても、ある行動をとってしまうと、それまでの時効期間が無効になり、ゼロから再スタートしてしまうことがあります。

 

これを「時効の更新」(改正前の民法では「中断」と呼ばれていました)といいます。

時効の更新事由として、特に注意すべきなのが以下の2つの行動です。

●時効の「更新」(旧:中断)とは?

時効の更新とは、時効期間の進行中に特定の事由が発生した場合に、それまで進行していた時効期間がリセットされ、その事由が終了した時から新たに時効期間が進行を開始することです。

一部を支払ってしまう

一部でも支払うと時効がリセットされる

請求された医療費の一部でも支払ってしまうと、「自分には支払い義務がある」と認めたことになり、時効が更新されます。

 

突然請求がきたので、「とりあえず払える金額だけでも」支払ってしまうと時効がリセットされます。

支払う約束をしてしまう

債務承認をしてしまう

電話や書面などで、明確に「支払います」と約束したり、「少し待ってください」「分割で払えませんか?」など、支払いを前提とした交渉やお願いをしたりすることは「債務の承認」にあたり、時効が更新されます。

 

突然請求があった際に、安易に相手に連絡したり返答しないよう注意が必要です。

昔の医療費の請求書が届いたら確認するポイント

では、実際に昔の医療費の請求書が届いた場合、「書面でなにを確認して」「どのように対応すればよい」のでしょうか。

 

慌てずに、以下の手順で確認しましょう。

請求内容を確認(金額、医療機関名など)

書面で確認する内容

まずは請求書の内容を確認します。

  • 請求元の名称:病院、弁護士事務所、債権回収会社など
  • 診療を受けた(とされる)日付
  • 請求されている金額(元金、遅延損害金の内訳など)
  • 支払期日

 

請求書が届いた場合、相手に連絡するのではなく、届いた請求書で内容を確認しましょう。

時効期間が経過しているか確認する

時効期間を確認する

次に、診療日や支払期日をもとに、時効期間(3年または5年)が経過しているかどうかを確認します。

  • 診療日(または支払期日)はいつか?

 2020年3月31日以前なら3年

 2020年4月1日以降なら5年

 

これらの点を考慮し、現時点で時効期間が満了している可能性が高いかどうかを判断します。

亡くなった親の入院費の請求がきているケース

亡くなった親の入院費の時効

高齢の親が亡くなった際の入院費や手術費などの医療費の請求が、数年後に配偶者や子供など相続人に請求がいくことがあります。

 

相続人は、亡くなった方(被相続人)のプラスの財産(預貯金、不動産など)だけでなく、マイナスの財産(借金や未払いの医療費など)も原則として相続します。

 

したがって、相続人であれば未払いの医療費についても支払い義務を負います

もし、亡くなった方の医療費について時効期間が経過している場合は、相続人から時効を主張することができます。

●相続放棄はしていない?

相続開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で「相続放棄」の手続きをしていれば、医療費を含む一切の負債を支払う義務はありません(もちろん財産も相続できません)。

時効期間が過ぎていたら「時効の援用」の手続きをする

もし、時効期間が経過している可能性が高いと判断できたら、次に「時効の援用」の手続きを行います。

前述の通り、時効期間が過ぎているだけでは支払い義務はなくならず、この援用手続きをすることが必要です。

「時効の援用」とは?

時効の援用とは、「時効なので支払いません」という意思表示を、債権者に対して伝えることです。

時効援用の具体的方法

時効援用は口頭でなく内容証明郵便でする

時効の援用は口頭でも可能ですが、後々「言った」「言わない」のトラブルを防ぎ、確実に意思表示をした証拠を残すために、配達証明付きの内容証明郵便で「時効援用通知書」を送付しましょう。

 

内容証明郵便は、いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛に差し出したかを郵便局が証明してくれる制度で、配達証明を付ければ相手に届いた日付も証明できます。

通知書に記載すべき内容

消滅時効援用通知書

時効援用通知書には、一般的に以下の内容を記載します。

  • 作成日付
  • 債権者
  • 債務者(あなた)の氏名・住所
  • 債権を特定する情報:請求書に記載されている情報を元に(請求書番号、診療日、元の医療機関名、請求金額など)、なにに対する時効援用なのかがわかるように
  • 消滅時効が完成している旨
  • 消滅時効を援用する旨
  • (亡くなった方の相続人の場合)被相続人(亡くなった方)の氏名、相続人であること

時効援用通知書の作成や送付手続きに不安がある場合は、弁護士や司法書士に依頼しましょう。

連絡期日に電話した方がいい?

弁護士事務所や債権回収会社から請求書が届いた場合に、書面に「いつまでに連絡ください」「いつまでにお支払いください」「期限までに支払がない場合は法的手続きを行う」など記載されているケースが多いでしょう。

 

その期日までに相手に連絡をした方がいいのでしょうか?

安易に相手方に連絡すると時効が使えない

連絡期日までに連絡したほうがい?

時効期間が経過している可能性があるにもかかわらず、安易に請求元に電話などで連絡して不用意な発言(「少し待ってほしい」「分割なら払えるかも」など)をしてしまい、「債務の承認」とみなされ、時効が更新されてしまうリスクがあります。

 

連絡を取る前に、まずは時効について確認することが重要です。

無視し続けるのも裁判や差押えのリスク

無視し続けるのも裁判や差押えのリスク

請求書を無視し続けるのも得策ではありません。

 

時効期間が経過していても援用しなければ支払い義務は残りますし請求は続きます。

もし、裁判手続きが進んでいる場合、最終的には給与や預金など財産の差し押さえといった強制執行を受ける可能性もあります。

 

請求が来たら、まずは内容を確認し、時効期間が経過してない場合は、相手に連絡して支払う方法も協議することも検討しましょう。

連帯保証人に請求がきているケース

保証人も時効主張ができる

入院などの際に、連帯保証人を立てている場合があります(入院手続きの際にご家族が医療同意などと併せて入院費や手術代の連帯保証にサインしているケースもあります)。

 

この場合、本人が支払っていなければ、連帯保証人に請求が届くこともあります。

 

もし、主債務者の医療費について消滅時効が完成し、主債務者が時効を援用すれば、保証債務の附従性により、連帯保証人の支払い義務も消滅します。

また、請求を受けている連帯保証人も直接債権者へ時効を主張することもできます。

まとめ

昔の医療費の請求がきた場合の時効に関するポイントと対処法について解説しました。

 

  • 医療費にも消滅時効があり、期間は2020年3月31日までの診療分は原則3年、同年4月1日以降は原則5年
  • 時効期間が経過していても、「時効の援用」をしなければ支払い義務はなくならない
  • 請求書が届いたら、慌てずに請求内容と時効期間を確認する
  • 時効期間が経過していれば、内容証明郵便で時効援用通知書を送る
  • 安易に連絡して債務を承認しない
  • 連帯保証人や相続人に請求が来た場合も、時効の対応は同じ

 

昔の医療費の請求は、突然のことで戸惑うことも多いかと思います。しかし、正しく対応することで、時効で支払いをせずに済む可能性があります。

 

ご自身のケースで時効が成立しているかどうかの判断が難しい場合や、時効の援用手続きに不安がある場合は弁護士や司法書士などの法律専門家にご相談ください。

この記事の執筆者

執筆者 司法書士黒川聡史

黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)

東京司法書士会所属:登録番号第4230号

簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号

行政書士(登録番号第19082582号)

ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)

経歴: 平成19年に渋谷で個人事務所を開業。債務整理を中心に12,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動

著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある

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