平日10時~20時
土日10時~17時
(祝日休み)
家賃を滞納したまま5年が経過すると、消滅時効の完成によって支払い義務がなくなる可能性があります。
しかし、単に5年待てばよいわけではありません。
本記事では、家賃滞納の時効について、条件や注意点を詳しく解説していきます。
目 次(更新:2024年11月2日)
1. 家賃滞納の時効とは
1.1 時効とは
1.2 時効の起算点
1.3 時効援用の必要性
2.3 入居者が時効を援用すること
5.1 信頼関係破壊の法理とは
5.2 賃貸借契約解除が可能となる条件
5.3 強制退去までの法的手続き
6.1 請求されるペナルティと追加費用
6.2 信用情報への影響
7.1 すぐにできる対応
7.2 資金を確保する方法
8. まとめ
家賃滞納の時効が成立するには、単に5年間待つだけでは不十分です。
時効の完成には複数の条件を満たす必要があり、一つでも条件を満たさないと時効による支払い義務の消滅はありません。
なお、時効の完成が延びる場合には、次の2つのパターンがあります。
■時効の完成猶予(停止)
進行していた時効の期間が、一定期間のあいだ一時停止する状態を指します。時効の完成猶予の条件として、裁判外の請求、協議を行う旨の書面による合意、仮差押えがあります。
■時効の更新(中断)
進行していた時効の期間がリセットされ、新たに5年間が経過しないと時効が完成しない状態を指します。時効更新の条件として、支払いの承認、裁判上の請求、強制執行などがあります。
これらの仕組みを踏まえると、滞納中の家賃に関しては「支払いおよび支払いの承認をしていないこと」「大家などが回収手続きを行っていないこと」に加えて「借主が時効を援用すること」の3つが時効完成の条件と言えます。
具体的には、次のとおりです。
大家や保証会社、債権回収会社などが行う回収手続きには、裁判外・裁判上の2種類の手続きがあります。
時効の完成を止めるのは、主に次の2種類の回収手続きです。
■内容証明郵便による督促
配達日や書面の内容などが郵便局で記録される「配達証明付き内容証明郵便」を利用した督促で、時効の完成を6か月間猶予する方法があります。
ただし、時効の完成を一時的に猶予するための催告は、最初の1度のみ効果を持ち、同じ期間内に再度催告を行ったとしても、その催告によってさらに猶予が延長されるわけではありません。
(6か月以内に下記の裁判上の請求をする必要があります)
■裁判上の請求
簡易裁判所で手続する「支払督促」は、2週間で確定し、その時点で時効のカウントがリセットされて新たに期間が開始される(=更新)効果があります。
訴訟、調停などが提起されると、終了するまで時効は完成せず、判決や和解の時点で時効が更新されます。
■強制執行など
強制執行の手続中は時効が完成せず、手続が終了すると時効の更新があります。財産開示手続についても、時効は更新されます。
10年以上前に住んでいたレオパレスの家賃滞納分に関する請求書が届いたという状況です。
請求書には以下の情報が記載されています。
・賃貸借契約の概要
・保証委託契約の内容
・債権譲渡と請求者
・債権の内容
時効援用を主張する内容証明郵便を送付した結果、請求も止まり、支払いを免れることができました。
10年程度前に住んでいたアパートの保証会社から家賃滞納に関する(ご通知)が届いて相談。
書類には以下の情報が記載されています。
2015年から5年以上は経過していることが明らかなので、当事務所で時効を主張する旨の内容証明郵便を作成し送付。その結果、請求も止まり、支払いを免れることができました。
信頼関係破壊の法理に照らし合わせると、家賃滞納による契約解除は、一定の要件を満たす必要があります。
契約書に即時解除の条項があっても、1~2か月程度の滞納では解除は認められない可能性が高いのです。
一般的には、3か月以上の滞納があると、契約解除が認められる可能性が高くなります。もっとも、これまでの支払い状況や滞納の理由によっては、より長期の滞納でも即時の解除が認められないケースもあります。
賃貸借契約が解除される場合は、まず催告書や内容証明郵便で支払いを求められます。それでも支払いがない場合に契約解除の通知を行うのが一般的です。
この間に相談すれば、分割払いなどの相談に応じてもらえる可能性もあります。
強制退去には裁判上の手続きが必要であり、未払いの家賃があるからといって、大家が勝手に鍵を変えたり、荷物を外に出したりすることは違法です。
裁判では、判決確定後、強制執行が行われる場合は執行官が立ち会います。突然の強制執行は行われず、事前に期日が通知されます。
残置物は、原則として一定期間保管された後、処分されることになります。
■明渡し訴訟の流れ
1. 裁判所に訴状が提出される
2. 1回目の期日で和解協議が行われることが多い
3. 和解が成立しない場合は審理に入る
4. 判決まで通常3か月から6か月かかる
なお、明渡し費用および残置物の保管・処分にかかる費用は、入居者側の負担となります。ほかには、通常の引っ越しでかかる退去費用(原状回復費用)も負担しなければなりません。これらの費用発生により、ますます支払い負担が重くなると言えます。
家賃滞納の消滅時効は5年で成立しますが、単に期間が経過すれば良いわけではありません。
時効の成立には、「支払いおよび支払いの承認をしていないこと」「大家などが回収手続きを行っていないこと」「借主が時効を援用すること」という3つの条件を満たす必要があります。
また、家賃滞納は時効による支払い義務の消滅を待つような選択をする前に、さまざまな対応策を検討すべきです。
滞納が続くと、遅延損害金や督促費用などの追加負担が発生するだけでなく、信用情報への悪影響や強制退去のリスクもあります。
支払いが困難になりそうな場合は、できるだけ早期に大家さんや管理会社に相談し、分割払いなどの対応を相談することをお勧めします。
また、公的支援制度の活用など、状況改善のための選択肢は複数あります。
時効を待つ前に、これらの対応策を検討することが望ましいでしょう。
黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)
東京司法書士会所属:登録番号第4230号
簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号
行政書士(登録番号第19082582号)
ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)
経歴: 平成19年に渋谷で個人事務所を開業。債務整理を中心に12,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動
著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある
企業理念は『あなたの借金問題解決を低料金でサポートしたい!』です。
業界トップクラスの低料金であなたの借金問題解決を全力でサポートします!
司法書士法人黒川事務所
代表者 黒川聡史
東京司法書士会所属
簡裁代理権法務大臣認定
平日10時~20時 /土日10時~17時 (祝日休み)いつでもお気軽にお電話ください
【電話相談をお願いしている3つの理由】
①オーダーメイドなアドバイス
電話相談なら、相談者様の状況に合わせた具体的なアドバイスが可能
メールやLINEでは、限られた情報の範囲内での回答となる
②リアルタイムで疑問や不安を解消
電話相談では、その場で疑問や不安を解消できる
③スピーディな対応
お急ぎの方は、次のステップへの案内も迅速に対応できる
司法書士法人黒川事務所
平日10時~20時
土日10時~17時
(祝日休み)
(渋谷オフィス 渋谷駅3分)
東京都渋谷区渋谷3丁目7-3
第1野口ビル5階
(横浜オフィス 横浜駅5分)
横浜市西区北幸2丁目5-13西口幸ビル505