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借金の返済に行き詰まり、自己破産を検討している方の中には、「無職だと自己破産はできないのではないか」と不安を感じている人も多いでしょう。
しかし、そのような心配は無用です。
自己破産は、返済能力を失った人のための法的手続きであり、むしろ無職の方こそ利用しやすい制度といえます。
この記事では、無職の方が自己破産をする際の条件や手続き、注意点について詳しく解説していきます。
目 次(更新:2024年11月10日)
2.1 支払不能の状態であること
2.2 免責不許可事由に該当しないこと
3.1 自己破産にかかる費用の内訳
3.2 費用が払えない場合の対処法
4.1 専門家への相談
4.2 手続き開始から免責までの流れ
5.1 就職・転職への影響
5.2 生活面での制限
6.まとめ
「支払不能」とは、借金の返済能力が客観的に見て不足している状態を指します。
裁判所は以下の観点から総合的に判断を行います。
■支払不能の判断基準
● 債務の総額と返済能力のバランス
● 返済の原資となる財産の有無
● 安定的で継続した収入の見込み額
● 返済の履歴、延滞の状況
無職の方の場合、定期的な収入がないため、支払不能の状態に該当しやすいと言えます。
ただし、資産を保有している場合や、近い将来に就職が決まっているなど、返済能力の回復が見込める状況では、支払不能と認められないケースもあります。
なお、一時的な収入減少や失業による返済困難は、必ずしも支払不能には該当しません。将来的な返済能力の回復可能性も含めて総合的に判断されます。
自己破産しても免除されない債務のことを「非免責債権」と呼びます。
非免責債権が借金の大部分を占める場合、自己破産の意味が薄れてしまいます。
■主な非免責債権
● 各種税金
● 国民健康保険料などの社会保険料
● 離婚に伴う養育費や婚姻費用
● 故意の不法行為に基づく損害賠償
● 法令違反による罰金や過料
とくに税金や社会保険料は、自己破産しても支払い義務がなくなりません。
ただし、これらの非免責債権については、分割納付や減額などの相談に応じてもらえる可能性があります。税務署や自治体の窓口で相談することをおすすめします。
自己破産の申立てを検討する際は、借金の内訳を確認し、非免責債権の占める割合を把握しておくとよいでしょう。
無職で費用の捻出が難しい場合でも、以下のような選択肢があります。
■法テラスの民事法律扶助制度
法テラスでは、一定の収入・資産要件を満たす方を対象に、弁護士・司法書士費用の立替制度を提供しています。
立て替えられた費用は、手続き後に分割での返済が可能です。
特に生活保護受給者の場合は、立替金の返済が免除される可能性もあります。この制度を利用することで、まとまった費用がなくても自己破産の手続きを開始することができます。
■生活保護受給者の場合
生活保護を受給している方の場合は、前記の弁護士・司法書士費用だけでなく、自己破産における予納金についても、法テラスが費用の立替制度を提供しています。
また、この制度を利用した場合、その返済についても免除を申請することができます。なお、自己破産をしても生活保護の受給資格には影響しないため、安心して手続きを進めることができます。
■そのほかの方法
弁護士・司法書士事務所の中には、分割払いに対応しているところも少なくありません。また、家族からの援助を受けることも一つの選択肢となりますが、その場合は「借入れ」ではなく「贈与」として受け取るようにしましょう。
状況によっては、任意整理など他の債務整理手続きの検討も視野に入れることをお勧めします。
費用面で不安がある場合は、まずは法テラスや弁護士・司法書士に相談することをお勧めします。無料相談を実施している事務所も多く、費用についての具体的なアドバイスを得ることができます。
まずは弁護士・司法書士、または法テラスへの相談から始めましょう。初回相談時にはなるべく以下の書類を用意します。
● 借金の残高明細や督促状
● 源泉徴収票(退職前の収入がわかるもの)
● 家計の収支がわかる通帳
● 健康保険証や身分証明書
専門家との相談は、自己破産の手続きを進める上で最も重要なステップです。ここでのやり取りが、その後の手続きをスムーズに進められるかどうかを左右します。
特に無職の方の場合、費用面や手続き期間中の生活について、具体的な見通しを立てることが重要です。以下の点を必ず確認しましょう。
● 自己破産以外の選択肢の有無
● 具体的な費用と支払方法
● 手続きにかかる期間
● 生活への影響や制限
自己破産に強い事務所を選ぶことは、手続きを円滑に進める上で重要です。
自己破産の取扱実績が豊富で、無料相談を実施している事務所を選びましょう。
また、無職の方の場合は費用の分割払いに対応しているか、その事務所が法テラスと提携しているかどうかも重要なポイントとなります。
事務所までのアクセスのしやすさも考慮に入れ、相談時のスタッフの対応の丁寧さなども総合的に判断して選択することをおすすめします。
自己破産の手続きは、申立ての準備から免責許可決定まで、通常5~10ヶ月程度かかります。
その間、様々な手続きや面談が行われます。以下、具体的な流れを説明します。
■申立て前の準備段階
申立ての準備には最短でも2か月以上かかります。
この期間中は、必要書類の収集・整理を行い、財産目録や債権者一覧の作成を進めます。また、予納金の準備も並行して行います。
特に無職の方の場合、予納金の準備方法について専門家と十分に相談しておくことが重要です。
■裁判所での手続き
破産手続開始の決定が出されると、事案によって管財事件か同時廃止事件かが決定されます。管財事件となった場合は破産管財人との面談が行われ、必要に応じて債権者集会への出席も求められます。
その後、裁判官による免責審尋を経て、免責許可決定に至ります。この期間は通常3~6ヶ月程度です。
■手続き別の注意点
手続きは同時廃止と管財事件で大きく異なります。
同時廃止の場合は比較的短期間で終了しますが、管財事件の場合は破産管財人による財産の換価や配当の手続きがあるため、より時間がかかります。
無職の方の場合、財産が少ないため同時廃止となるケースが多いですが、これは事案によって裁判所が判断します。
■免責審尋での重要ポイント
免責審尋では、裁判官に対して借金の原因を正直に説明し、今後の生活再建計画を具体的に示すことが重要です。
特に無職の方の場合、今後の就職活動や収入確保の見通しについて、現実的な計画を説明できるよう準備しておく必要があります。
また、反省の態度を示しつつ、質問には簡潔・明確に答えることを心がけましょう。
自己破産後は、主に金融取引(信用取引)に関する制限を受けます。
これらの制限は一時的なものですが、日常生活に大きく関わるため、事前に対策を考えておく必要があります。
■クレジットカードと借入れ
自己破産の情報は信用情報機関に登録され、7年間に渡って記録が残ります。
この間は新規でのクレジットカード作成や借入れが事実上できません。携帯電話の分割払いなども制限されるため、一括払いができる資金を準備しておく必要があります。
■住居と公共料金
賃貸物件の契約では保証会社の審査が通りにくくなります。
契約時は個人の保証人を立てるか、個人信用情報機関に加盟しない保証会社を選ぶことになるでしょう。
また、クレジットカードの停止や一部口座の凍結に伴い決済手段が制限されることになるため、電気・ガス・水道の支払いはコンビニ払いや引落口座の変更をせざるを得ない可能性があります。
■口座の利用
借入れのある銀行で口座を開設している場合、口座の利用が一時的に凍結される可能性があります。そのため、給与などの振り込み先については、変更を余儀なくされるかもしれません。
新規口座の開設については特に支障なく可能であるため、検討の余地があります。
むしろ、収入がない状態は「支払不能」の要件に該当しやすく、自己破産が認められやすい状況とも言えます。
費用面での不安がある場合も、法テラスの支援制度や、分割払い対応の法律事務所を利用することで解決できます。
ただし、自己破産後は一定期間、クレジットカードが作れないなどの制限を受けることになります。これらの制限は一時的なものですが、新生活のスタートに影響を与える可能性もあります。
そのため、専門家への相談を通じて自身の状況を正確に把握し、将来の生活設計も含めた上で自己破産を検討することが重要です。
借金の重荷から解放され、新たな人生をスタートさせるための第一歩として、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。
黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)
東京司法書士会所属:登録番号第4230号
簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号
行政書士(登録番号第19082582号)
ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)
経歴: 平成19年に渋谷で個人事務所を開業。債務整理を中心に12,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動
著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある
企業理念は『あなたの借金問題解決を低料金でサポートしたい!』です。
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司法書士法人黒川事務所
代表者 黒川聡史
東京司法書士会所属
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