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【債権回収会社の時効援用】突然届いた督促状への対処法と裁判への対応

債権回収会社の時効援用

債権回収会社から昔の借金の請求書が届いた場合でも、最後の返済から5年以上経過していれば、時効の援用をして支払い義務を無くすことが可能です。

 

ただし、安易に相手に連絡して支払いを認めるような発言(債務承認)をすると、時効が主張できなくなることがあるため、慎重に対応する必要があります。

 

この記事では、債権回収会社からの請求に対する時効の援用について解説します。

この記事を読んでわかること

  • 債権譲渡日ではなく、最終取引から5年で時効の主張が可能。安易な連絡は危険。
  • 時効期間が過ぎた裁判に対しては、裁判上で時効を主張する。
  • 債権回収会社に時効援用しても、信用情報への直接的な影響はない。

債権回収会社とは?怖い会社?

ある日突然聞き覚えのない会社から請求書や督促状が届くことがあります。

差出人は「●●債権回収株式会社」です。

 

債権回収会社と聞くと怖いイメージがありますが、そもそもどんな会社なのでしょうか?

また、取引した記憶はないのになぜ請求してるのでしょうか?

 

債権回収会社は、サービサーといわれ、金融機関等から委託を受けて、または、債権を譲受けて、特定の金銭債権の管理回収を行う民間の会社です。

 

一般の人は、債権を回収している会社と聞くと怖いようなイメージが湧くかもしれませんが、サービサーの設立には法務大臣の許可が必要など要件が厳しく、法律に則って営業している正規の業者です。

 

サービサーを設立するには

  • 法務大臣の許可が必要で
  • 資本金が5億円以上の株式会社
  • 取締役の1名以上に弁護士を入れる
  • 暴力団員の参入排除の仕組みが必要

などの要件があります。

なぜ債権回収が請求してくるのか?

債権回収を専門とする会社で、貸付などは行っておりません。

債権回収会社から請求がくるケースは2つあります。

 

1・回収の委託を受けて債権者の代わりに回収している。

「●●の委託をうけて回収をしています」と委託している会社が書面に書いています。

 

2・債権を譲り受けて回収している。

債権は売買の対象になりますので、自分の借金が知らないところで売買されているケースは多くあります。この場合は債権譲渡通知などが自宅に郵送されています。

そして、買い取った債権を請求しています(買い取った代金と回収できた金額の差額が利益)。

債権回収会社も時効援用で解決可能

債権回収会社からの請求であっても、法律上の条件を満たしていれば消滅時効を援用できます。

時効が成立する条件

以下の条件を満たしている場合、債権回収会社へ時効を主張すれば支払い義務を免れる可能性が高いです。

 

  • 最後に取引した日(返済期限)から5年以上が経過している

この時効のカウントは、債権回収会社が債権を譲り受けた日ではなく、元の債務の期限から始まります

  

  • 過去10年以内に裁判を起こされていない

裁判で判決等を取得されている場合は、判決確定から10年経過しないと時効が主張できません。

 

  • その間、返済や支払い約束などの「債務の承認」を行っていない​

​債権者と支払についての話合いや一部でも支払ってしまうと、時効期間がリセットされカウントし直しになります。

 

上記の条件を満たしている場合は、債権回収会社に対して内容証明郵便で「時効援用通知書」を送付して、時効を援用(主張)することで、支払い義務がなくなります。

時効期間が経過していても裁判してくることが多い

債権回収会社は時効期間経過後も裁判してくる

債権回収会社は時効期間が経過していても、時効の主張がされていない限り裁判を起こしてくるケースがあります。

 

この場合は、督促異議や答弁書で時効援用の主張をすれば取り下げられるケースがほとんどです。

 

逆に、支払いについての話し合いをすると、時効援用ができなくなりますので、安易に連絡はしないほうが懸命です。

 

また、裁判を放置して判決を取得されると、判決確定から10年間は時効の主張ができなくなります。

安易にやってはいけないこと

●過去のどの件かわからないので慌てて電話してみる

債権回収会社から請求書や債権譲渡通知が届いた場合に、なんの件かわからないので「確認するために」慌てて相手に電話してしまうケースがあります。

 

その際に、内容を確認して「いくらなら来月払います」といった債務を認める発言(債務承認)をすると時効が利用できなくなる可能性があります。

 

相手からの書面に元の債権者名は記載されています。落ち着いて書面を確認し、不明な場合は専門家に相談しましょう。

 

書面のチェックポイント

  • 原債権者: 元の債権者(利用していた会社)のこと

  • 債権譲渡日: いつ債権が譲渡されたか(時効とは直接関係はない日付)

  • 最終取引日(期限の利益喪失日): 最後に借入や返済などの取引をした日が時効の起算点のヒントになる

  • 請求金額の内訳: 元金に対して利息・遅延損害金がどれくらい増えているかで放置している期間のヒントになる

債権回収会社に裁判を起こされた場合の対応

裁判所から「訴状」が届いた場合、放置は厳禁です。

裁判を放置して判決を取得されてしまうと、判決確定から10年経過しないと時効が主張できなくなります。

裁判での時効援用方法

裁判手続きの中で時効を成立させるためには、「この借金は時効であるため支払わない」という意思表示を「答弁書」で行う必要があります。

 

訴状とともに定型の答弁書が同封されています。

これに必要事項を記入し、期限までに裁判所へ提出します。

 

答弁書の具体的な書き方

時効を主張する場合、以下の2点を記載する必要があります。

  • 「請求に対する答弁」の欄

通常は選択肢になっていますので、以下のどちらかの項目にチェックを入れます。

☑ 間違っている部分があります。

☑ 知らない部分があります。

※「認めます」にチェックを入れると、時効の主張が困難になるため注意が必要です。

  • 「私の言い分」の欄

この欄に、時効を援用する旨を明記します。

【記載例】

「原告の請求する債権は、時効期間が経過しており、時効が完成しています。よって、被告は原告に対し消滅時効を援用します。」

 

相手が時効を認める場合は、裁判は取り下げられるケースがほとんどです。その場合は、後日の証拠を残すために内容証明郵便で「時効援用通知書」も送付しておきます。

債権回収会社は信用情報(JICC/CIC)には登録がない

債権回収と信用情報の関係

信用情報機関に加盟しているのは、お金を貸している貸金業者やクレジットカードを発行している信販会社のように「新たにお金を貸したりする会社(与信をする会社)」です。

 

債権回収会社のように「債権を回収するのみ」の会社は信用情報機関には加盟していません

 

すでに債権回収会社に債権譲渡されていれば、その時点で譲渡した元の会社により信用情報は訂正されていますので、保有期限が到来すれば元の会社の信用情報は削除されます(債権回収会社に対する時効援用とは関係がありません)。

債権回収会社と元の会社の組み合わせ

債権回収会社 元の会社の例
アビリオ債権回収 プロミス・三井住友カード・三井住友銀行
アウロラ債権回収 CFJ・キャスコ・マルフク・三和ファイナンス
アイ・アール債権回収 アコム
AG債権回収 アイフル・ライフ
オリンポス債権回収 アプラス・CFJ・武富士
パルティール債権回収 楽天カード・アプラス・武富士
エム・テー・ケー債権管理回収 CFJ・三和ファイナンス・ポケットカード
エムアールアイ債権回収 エポスカード
ニッテレ債権回収 Dカード・オリックスなど
札幌債権回収 CFJ・新生フィナンシャル
中央債権回収 三菱UFJニコス

セゾン債権回収

クレディセゾン

債権回収会社の時効に関するよくあるご質問

ここではよくあるご質問をご紹介します。

Q. 過去に利息をかなり支払った気がします。過払い金は発生しませんか?

債権回収会社の請求に対して過払い金が発生することはありません(過払い金は計算上考慮済み)。

 

債権回収会社が請求する場合、譲り受けたのが過去の29%などグレーゾーン金利の債権であったとしても、18%の適正金利(利息制限法の金利)で再計算して請求しています。

 

それは、債権回収会社はグレーゾーン金利のままでは請求できない決まりだからです。

 

過去にグレーゾーン金利で取引をしていた借金を放置している場合に、債権回収会社が請求してきた場合は、グレーゾーン金利にあたる部分がすでに減額されて請求されています。

Q. 債権回収が裁判してきました。もう時効は無理ですか?

債権回収会社は、時効期間が経過していても、債務者が時効を援用しない限り裁判を起こすことがあります。

 

この場合、督促異議や答弁書で時効の援用を主張することで、裁判が取り下げられることが一般的です。放置せずに対応してください。

Q. 債権回収に時効を主張するとクレジットカードは作れるようになりますか?

債権回収会社自体は信用情報機関に登録されていないため、債権回収会社からの請求に対して時効を主張しても直接信用情報に影響することはありません(債権の回収代行のケースを除く)。

 

債権譲渡された時点で譲渡した元の会社により信用情報は訂正されていますので、保有期限が到来すれば元の会社の信用情報は削除されます。

その後はカード審査が通りやすくなります。

まとめ

債権回収会社から突然請求書が届いたとしても、焦らずに対応することが重要です。

 

✅ 債権回収会社からの請求でも、最後の返済から5年以上経っていれば時効の援用が可能。

✅ 時効の可能性がある場合、安易に相手へ連絡し「支払う」意思を見せてはいけない。

✅ 時効期間が過ぎていても裁判を起こされることがあるが、裁判上で時効を主張すればよい。

✅ 債権回収会社の請求で過払い金が発生したり、直接信用情報に影響したりすることはない。

 

ご自身で判断に迷う場合や、手続きに不安がある場合は、請求書が届いた段階で、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。

 

当事務所は、年間1000件程度の時効援用を扱っています。相手から送られてくる書類の書式なども熟知しているので、時効かどうか意見を聞きたいという方はお気軽にご相談ください。

この記事の執筆者

執筆者 司法書士黒川聡史

黒川聡史(司法書士法人黒川事務所 代表司法書士)

東京司法書士会所属:登録番号第4230号

簡裁代理権認定司法書士:法務大臣認定第501067号

行政書士(登録番号第19082582号)

ファイナンシャルプランナー(CFP®:1級FP技能士)

経歴: 平成19年に個人事務所を開業。債務整理を中心に12,000人以上の依頼者を解決。現在は事務所を法人化して活動

著書に『借金の不安が楽になるお金の話』『FPに知ってほしい借金の話』がある

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